花紅柳緑~院長のブログ

京都府京田辺市、谷村医院の院長です。 日常診療を通じて感じたこと、四季折々の健康情報、趣味の活動を御報告いたします。

秋嶺│花信

2022-10-10 | アート・文化


日を礙(さ)ふる暮山は靑くして簇々(ぞくぞく)たり
天を浸す秋水は白くして茫々(ぼうぼう)たり
   
礙日暮山靑簇簇 浸天秋水白茫茫  白   和漢朗詠集・巻下 山水
(「和漢朗詠集 梁塵秘抄」, p178)

  登西樓憶行簡   白居易
每因樓上西南望 始覺人閒道路長 
礙日暮山靑簇簇 浸天秋水白茫茫  
風波不見三年面 書信難傳萬里腸
早晩東歸來下峽 穩乘船舫過瞿唐
   白氏文集・巻十六  
樓上に因りて 西南を望む每に、始めて覺ゆ 人閒 道路の長きを。日を礙(さまた)ぐる暮山 靑くして簇々たり、天を浸す秋水 白くして茫々たり。風波見ず 三年の面、書信傳へ難し 萬里の腸(はらわた)。早晩 東に歸り來りて峽(けふ)を下り、穩(おだやか)に船舫に乘りて 瞿唐(くたう)を過ぎん。
(「白氏文集 三」, p447-448)

*礙(ガイ、さまたげる):疑は顧みて立ちどまり、凝視する形。石などにさえぎられて、進みえないことをいう。(「字通」, p159)
*さふ(障ふ):妨げる

参考資料:
川口久雄, 志田延義校注:日本古典文学大系「和漢朗詠集 梁塵秘抄」, 岩波書店, 1974
大曾根章介, 堀内秀晃校注:新潮日本古典集成「和漢朗詠集」, 新潮社, 2000
岡村繁校著:新釈漢文大系「白氏文集 三」, 明治書院, 1988
白川靜著:「字通」, 平凡社, 1996