花紅柳緑~院長のブログ

京都府京田辺市、谷村医院の院長です。 日常診療を通じて感じたこと、四季折々の健康情報、趣味の活動を御報告いたします。

デジタルカメラ

2014-12-21 | デジタル
後代、いかに優れたものが市場を席巻しようとも、パイオニアの金字塔が揺らぐことはない。デジタルカメラと申せば、これまで各社の歴代のカメラに手を出してきたが、心に残るのは1994年にCASIOが世に出した、撮影画像をその場で確認できる液晶パネルを用いた、世界発のデジタルカメラQV-10である。画像は独自の画像ファイル形式での保存となり、現行のカメラと比べるとおもちゃのようなしょぼい画質であったが、実に画期的な草分け商品だった。その買ったばかりのQV-10を携えて、1995年、始めての海外での国際学会発表のために単身USAに渡った。Fort Lauderdaleでの国際中耳炎シンポジウムで演題を発表した後に、Bethesdaに今は亡きかつての恩師を表敬訪問し、最後にセントラルパークを眼下に見下ろすホテルに滞在し、憧れだったメトロポリタン美術館に行くこともできた。
 空港や駅でそのカメラを構えてあちこち撮りまくっていると、たちまち好奇心むらむらの彼の地のおじさん、お兄さん達がわらわらと集まってきて、「何やねん、それ?!」とばかりに液晶画面を覗き込まれ色々と質問攻めにあった。新しいモノを見つけると血沸き肉踊るというタイプのお仲間は何処の国でも生息しているのだ。実に怪しい英語で応対しながら、それでも話は大いに盛り上がった。

巷の噂を耳にし涎を垂らしながら辿りつき、一目見て触れるやいなや思わず全身の産毛が逆立ってくる、言わば五感に殴り込みをかけられる様な「しびれモノ」に出合いたいという気持ちは、若いころの好奇心や感性がすっかり磨滅したこの齢になっても、心の内におき火の如く燻っている。人生街道も折り返し点を遥かに過ぎてしまったが、てくてくまだ歩かねばならぬこの道の先、その街角を曲がった辺りで、また新手のモノが私の来るのを手ぐすね引いて待っていてくれる気が何時もしている。


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