花紅柳緑~院長のブログ

京都府京田辺市、谷村医院の院長です。 日常診療を通じて感じたこと、四季折々の健康情報、趣味の活動を御報告いたします。

小寒の養生

2016-01-06 | 二十四節気の養生


小寒(1月6日)は、二十四節気の第23番目の節気である。小寒から立春の前日までを「寒」と称し、小寒の後に続く大寒とともに冬の寒冷気候が最も厳しい時節である。小寒以降、寒の入りにお相手を気遣って出すのが寒中御見舞である。人体を侵襲して疾病をおこす六種類の外感病邪である、風、寒、暑、湿、燥、火を総称して六淫というが、元来は六気と呼ばれる自然界に存在する気候の変化である。このうち「寒」が冬を支配する気であり、これが外邪となった場合が「寒邪」となる。寒邪は陰邪であるために、陽気を傷つけて寒証(悪寒、腹部の冷痛や下痢、手足の冷感、尿が薄く多量、活動性の低下など)を起こしやすい。また凝滞(滞り通じないこと)の性質を持ち(寒性凝滞)、気血津液を循環させている陽気の働きを阻害し、これらが固まり流れなくなるために局所に痛みを起こす。さらに収引(収縮、牽引を意)の性質を有し(寒性収引)、人体内外での気の循環を縮こまらせ、腠理、経絡を引き攣らせることにより、悪感、発熱、発汗しないという症状の表寒証の風邪や、四肢の疼痛、運動障害を引き起こす。従って小寒においては、先の時節以上に防寒保温に努めるとともに、医食同源の観点から食養生においては温め補う作用のある温補とともに、経脈、経絡の滞りを改善する活血通絡の作用がある食材が望まれる。生薬や食材の性質は、四気(寒、熱、温、凉)および五味(辛味、甘味、酸味、苦味、鹹味、淡味も加える)で分類される。この中で辛味は発散、行気、行血の作用の作用を持ち、表証に対する発散、気滞に対する行気の他に、血瘀を散らし経脈を温めて血行を促進する働きを持つ。辛味、温性の性質を持つ辛温性の食材(生薬となるものを含む)には、紅花(コウカ、ベニバナ)、葱(ネギ)、大蒜(ニンニク)、韮(ニラ)、陳皮(チンピ)、生姜(ショウキョウ、ショウガ)、紫蘇(シソ)、小茴香(ショウウイキョウ、フェンネル)、丁香・丁子(チョウコウ、チョウジ、クローブ)などが挙げられる。


見わたせば 松の葉白き 吉野山 いく世をつめる 雪にかあるらむ       和漢朗詠集 巻下「山」 平兼盛 
   

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