花紅柳緑~院長のブログ

京都府京田辺市、谷村医院の院長です。 日常診療を通じて感じたこと、四季折々の健康情報、趣味の活動を御報告いたします。

華展と学会発表

2018-08-23 | 日記・エッセイ

雷公│大津絵・高橋松山

華道大和未生流本部主催の華展は年二回、大阪と奈良で開催される。本年九月初旬の華展は一年ぶりの出瓶予定である。春期の華展は、地域の学校検診や日耳鼻学会、日本東洋医学会の総会・学術講演会と時期が重なるために、毎年裏方も含めて参加を御辞退申し上げている。先日は御家元、副御家元の下、華務職の諸先生、理事や推進委員が参集し、華展前の最終会議と本番前の稽古が行われた。会で頂戴して持ち帰った花は残すことなく用いて、帰宅後一気呵成に様々な形に生けてみた。以前にも書いたが、限られた手元の花材を生けてみる工夫は大いに勉強になる。華展の本番前に家で挿す花は予行演習であり、最適の条件出しの為の予備実験ともいえる。

流派の華展に出瓶する生け花は個展の作品ではない。我意や我執が漂う花であってはならず、一枝一花、流儀の原則を踏まえたものでなければならない。その点壇上で、例え不備を目敏く追及されて集中砲火を浴びるとも、己一人が腹を括り自己の責任にて論説を展開する方が楽といえば楽なのかもしれない。しかし華展の出瓶も学会発表も、一堂に会した御方々の眼前に自分という札を全て晒すことには違いがない。その様な場所に身を置く機会は、知らぬうちに増上慢に陥った行路を正しく照らしてくれるだろう。雲上の雷公様でも時には太鼓を落とすのである、況してや。医師をやめるか花鋏を置く時までは、懈怠なきように心して。