げにや光陰とどまらず春過ぎ夏も来て 草木心なしとは申せども
時を忘れぬ花の色 貌佳花とも申すやらん あら美しの杜若やな
(「杜若」)
げにや安樂世界より 今この娑婆に示現して
我らがための觀世音、仰ぐも高し、高き屋に
上りて民の賑ひを 契り置きてし難波津や
みつづゝ十とみつの里 札所々々の霊地霊仏
めぐれば 罪もなつの雲、あつくろしとて、
駕籠をはや をりはのこひ目、三六の
十八、九なるかほよ花 今咲出しの はつ花に
笠は着ずとも 召さずとも 照日の神も男神
よけて日負はよもあらじ 頼みありける巡礼道
西國三十三所にもむかふと 聞くぞ有難き
(「曾根崎心中」観音めぐり)
貌佳花(かおよばな)は杜若(かきつばた)の異名である。
参考資料:
廿四世観世左近訂正著:「観世流大成版 杜若」, 檜書店, 1999
祐田義雄校注:岩波文庫「曾根崎心中 冥途の飛脚」, 岩波書店, 1944
鳥越文蔵, 山根為雄, 長友千代治, 大橋正叔, 阪口弘之校注訳:日本古典文学全集75「近松門左衛門集二」, 小学館, 1998
時を忘れぬ花の色 貌佳花とも申すやらん あら美しの杜若やな
(「杜若」)
げにや安樂世界より 今この娑婆に示現して
我らがための觀世音、仰ぐも高し、高き屋に
上りて民の賑ひを 契り置きてし難波津や
みつづゝ十とみつの里 札所々々の霊地霊仏
めぐれば 罪もなつの雲、あつくろしとて、
駕籠をはや をりはのこひ目、三六の
十八、九なるかほよ花 今咲出しの はつ花に
笠は着ずとも 召さずとも 照日の神も男神
よけて日負はよもあらじ 頼みありける巡礼道
西國三十三所にもむかふと 聞くぞ有難き
(「曾根崎心中」観音めぐり)
貌佳花(かおよばな)は杜若(かきつばた)の異名である。
参考資料:
廿四世観世左近訂正著:「観世流大成版 杜若」, 檜書店, 1999
祐田義雄校注:岩波文庫「曾根崎心中 冥途の飛脚」, 岩波書店, 1944
鳥越文蔵, 山根為雄, 長友千代治, 大橋正叔, 阪口弘之校注訳:日本古典文学全集75「近松門左衛門集二」, 小学館, 1998