花紅柳緑~院長のブログ

京都府京田辺市、谷村医院の院長です。 日常診療を通じて感じたこと、四季折々の健康情報、趣味の活動を御報告いたします。

領域講習を受講する

2016-07-09 | 日記・エッセイ


再び専門医更新に必須である単位付与講習の話である。本年度から日本耳鼻咽喉科学会関連の学術講演会や研究会では、領域講習受講証明書が配布されることになった。5月の総会では「受講証明書顛末記」に記した通り、受講証明書は参加登録時に渡される引換券と引き換えに、個々の講習修了後の退出時に手渡される方式が取られた。専門医制度の変更を余儀なくされた他学会のHPを覗いてみたが、どれも似たり寄ったりである。この方式の採択は、証明書を先に渡せば必ず途中で会場を抜け出す不逞の輩が出るとの見解に基づいているに違いない。各学会首脳部の先生方は、日夜、粉骨砕身、学会運営にしのぎを削っておられるのだが、外野に向かい、
「我等一同を、小人閒居して不善を為し至らざる所なしとお思いか。そのような不心得者は一人なりとも居りません!」
と啖呵のひとつもお切り下さったのだろうか。

強制的に会場に留まる仕組みを作りあげようとも、参加者が拝聴し己が血肉と為すかは別物である。一方、参加証取得だけが目的で講演途中で抜けようと計る者が出たとして、惜しむらく明日からの診療の糧となるtake-home messageをもらい損なっているかもしれない。どのような道を選んだかの結果は良く悪くも自分に返る。その成行きを見通した上で如何に行動してゆくかの選択は個々に委ねられるべきであり、与えられた自由裁量を生かすも殺すも自業自得である。十目に視られずとも十手に指さされずとも、「君子は必ずその独を慎しむなり。」を行うが、あらまほしき大人の道というものだろう。紳士淑女の学徒が集まる学会などと言うつもりは更々ないが、我々は小学生か幼稚園児か。否、小さな彼等も頭ごなしに型にはめれば反発に終わるだけである。この頃は、先の総会で長い行列に並んだ挙句に頂戴した受講証明書が、はるか昔にもらって喜んでいた筈の「たいへんよくできました」の花丸に見えてならない。