花紅柳緑~院長のブログ

京都府京田辺市、谷村医院の院長です。 日常診療を通じて感じたこと、四季折々の健康情報、趣味の活動を御報告いたします。

小満の養生

2015-05-21 | 二十四節気の養生


小満(5月21日)は、二十四節気の第八番目の節気である。小麦などの夏の収穫を迎えた作物の実がふくらんできて、しかしいまだ成熟には至らずという意味である。この時期は草木が生い茂り、万物の成長が最も盛んとなる。これからさらに盛夏にむかって気温が上昇してゆくが、夏の養生としては、まず暑熱と湿邪から身を守ることが大切である。大量に発汗すると、津液(臓腑や組織・器官にある体液や正常な分泌物)と気が同時に失われるので、ミネラルを含む水分を少しづつ、こまめに補充する必要がある。湿邪の性質、発病のあらわれ方は「重濁粘滞」と表現され、外界の湿邪を感受すると、頭や手足が重たくだるい、滞ってすっきりとしない、汚い排泄物や分泌物などの症状が出現してくる。また現代の夏の養生としては、「夏の冷え」にも留意する必要がある。暑さを避けるために終日冷房をかけっぱなしにしたり、冷たいものばかりの飲食を続けていると、体内の陽気を傷つける。その結果、体表の防衛機能が低下して夏風邪をひきやすくなる。また脾の陽気を損ねると、さらに消化吸収機能が低下し、巡らせることができなくなった水湿が体内に停滞して、むくみや乏尿、下痢などを生じてくるので注意が必要である。

雨晴れの 雲のたぐひて ほととぎす 春日をさして こゆ鳴き渡る      万葉集、巻第十 夏雑歌