花紅柳緑~院長のブログ

京都府京田辺市、谷村医院の院長です。 日常診療を通じて感じたこと、四季折々の健康情報、趣味の活動を御報告いたします。

啓蟄の養生

2015-03-06 | 二十四節気の養生


啓蟄(3月6日)は、二十四節気の第三番目の節気である。春の温暖の気候を感受して、泥土の中で冬ごもりをしていた虫が地上に姿を現す頃である。元来は驚蟄、蟄は蔵の意味で、初雷が轟き、土中の地虫を揺り動かして目覚めさせるのである。野山に各種の有形の虫が蠢き始める頃は、無形の邪毒や病原性微生物も活動を始める時節となる。また内外で陽気が次第に高まってくると、陰陽のバランスのくずれから相対的な陰血不足になりやすい時節でもある。余った陽気が熱を帯びると火と呼ばれ、陽の特性である動が行過ぎた興奮状態となって体内で燃え上がり、不眠、めまい、のぼせ、イライラ感などを引き起こす。また先の冬季に往々にして肉類、辛いもの、酒など熱性の食材をとりすぎると、体内で様々な内火が生まれ易くなる。この際の養生は保陰潜陽、体内の陰血を補い保ち、陽気を偏らせず巡らせて、陰陽の失調を防ぐことにある。23時から3時の時間帯は肝胆の臓腑の機能が最も旺盛になる時期であり、この時間帯に横臥することにより、肝への血液の戻りを高め、肝の解毒作用を経て、また新たに全身に新しい血液を送り出すことができる。遅くまでの読書、TVやPCのモニター、スマホ、タブレットなどを見続けて眼を酷使することは、さらに肝を痛めることになる。これらを早めにシャットダウンして、遅くとも23時になる前には寝床に着かれます様に。

東山はればれとあり地虫出づ      日野草城 青芝