紘一郎雑記帳

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野村克也の遺産  紘一郎雑記張

2011-12-23 04:40:05 | Weblog

知将 野村克也の遺産 
紘一郎雑記張

 

 元・ヤクルト⇒阪神⇒そして東北楽天監督の「野村克也」が好んで使った言葉のひとつに『財を残すは下、仕事を残すは中、人を残すは上なり』というものがある。

 

 今季、史上最年長でゴールデングラブ賞を受賞した東京ヤクルトの宮本慎也と、過日、ヒザを交えて話す機会があった。

 

 

宮本は語った。「今の僕があるのは野村さんのおかげです。プロで生きる術の全てを教えてもらった。今でも覚えている言葉があるんです。ミーティングの時にこう言われました。『皆、主役になりたい。それは分かる。しかし脇役もいないと野球というスポーツは成り立たないんだ。“一流の脇役”を目指せ!』と」。

 

「この言葉を聞いて、僕は“プロで生きていくにはこれしかない”と確信しました。野村さんにはよく怒られました。最初は相手と試合をする前にベンチと戦っているようなものでした。常に意識したのは“今、監督は何を考えているのか、監督はどうしたいんだ”ってこと。野村さんからは“野球の奥深さ”を教わりました」。

怒られるのは期待の裏返しだ。

 

それについて、野村はこう語っている。「人間は無視、称賛、非難という段階で試されている。選手は非難されるようになって、ようやく一人前。期待するゆえに非難するのである。期待していない選手に対し、非難はしない。無視されたり、称賛されている間は“半人前”である」。

 

 巨人は来季、“野村門下生”を2人、コーチとして外部から迎えることになった。秦真司バッテリーコーチと橋上秀樹戦略コーチである。この人事を断行したのが、先頃、解任された「清武英利」前球団代表兼GMである。

 

 なぜ野村門下生なのか。招聘の理由について清武はこう語っている。「橋上氏は、今季BCリーグ、新潟アルビレックスBCの監督をやっていた。巨人のファームと何度か試合をしたんですが、まぁ戦い方が素晴らしい。当然、“相手の大将は誰だ?”と話になるじゃないですか……」。

 

「秦氏については、失礼ながら指導者としては全く知らなかった。実際にお会いすると、非常に知的な方でよく勉強されている。“これは入団してもらう価値のある方だ”と判断して組閣リストに入れたんです」。

 

 つまり巨人に足りないのは野村流“ID野球”なのかと質すと、清武は苦笑していた。ユニホームを脱いで2年が経つが、野村克也の“遺産”はかくも大きい。

            (スポーツ評論家:二宮 清純)より