紘一郎雑記帳

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混迷の世界  前進の日本へ 紘一郎雑記長

2011-12-04 04:18:52 | Weblog

混迷の世界 前進の日本へ

紘一郎雑記帳

 

経済評論家:西崎 哲郎[83歳]から戴いたメールです

 

 今年も残りわずか。激動の年・2011(平成23)年だった。バブルが崩壊した1990(平成2)年以来、日本経済は長期デフレのトンネルに入り、国民は、坂の途中でうずくまる状態が続いた。それを打ち破ったのは3月11日の東日本大震災。東北支援の波が全国に広がり、更に災害復興から日本の将来をどうするかに論議が高まった。

 

 世界を見渡すと、混迷・混乱が深まっている。まず米国―――。3年前、圧倒的な支持で第44代大統領に当選したバラク・フセイン・オバマ氏。来年には選挙を控えているのに元気がなく、『チェンジ・チェンジ』の威勢の良い声も聞かれない。

最近の世論調査による支持率は41%。任期3年経過の大統領に対する支持率としては、最下位の第39代ジミー・カーター元大統領に次ぐ低支持率だ。

 

その背景には、中間層の強い不満がある。過去30年弱で上位1%の最富裕層の所得は275%増加、それに続く上位20%の富裕層も65%増えているのに対し、下位20%の低所得層は18%増にとどまり、残り60%の中間層の所得も37%増に過ぎなかった(米議会予算局調査)。貧困数は統計を取り始めた1959(昭和34)年以降最多の4,600万人。大衆の自然発生デモ(ティー・パーティやウォール街占拠デモ)は貧困層はもちろん中間層の不満を代弁している。オバマ氏の前途は楽観できず、対外政策より国内政策に全力投球せざるを得ない。

 

 欧州も混乱状態だ。ギリシャの経済危機に続き、イタリアも財政危機が深刻化、EU(欧州連合)は、対応に苦しんでいる。政治統合は成功したが、財政統合は未完だった。負担はドイツとフランスにかかり、EU拡大の動きもストップだ。

 

 高度成長のレールを走っていた中国もインフレと地域格差に悩んでいる。大都市の地価高騰、沿岸部と内陸部の経済格差の拡大、更には共産党による一党支配(国民レベルでの総選挙がない)下での市場経済の行方など前途は楽観できない。

 

 日本も生活保護の増加や正社員の採用抑制など円高・デフレ経済の影響が表面化しているが、欧米経済に比べると、安定度は高い。“ドジョウ政権”を自称する野田首相は、野党との協調を看板に、泥の上での“低姿勢長期政権”を目指している。来年度予算成立後、解散・総選挙の日程が焦点となるだろうが、長期展望が見えてこない。日本を前進させるためには東日本大震災で盛り上がった日本再生への動きを戦略的政策で爆発させることだ。TPP(環太平洋経済連携協定)参加など、対外開放の促進と並行して思い切った地方分権による日本列島改革。そのための“爆薬”としては、これまでも本欄で主張し続けてきた東京からの「首都機能移転」と税を含む政策決定権を地方に委ねる「道州制の導入」だ。

 明2012(平成24)年は“タツ年”。「ドジョウが“龍”に化ける」かどうか。野田政権の責任は大きい。 

                      (経済評論家:西崎 哲郎[83歳]