第2部
国債売りのオオカミ少年 第2部”羊”は誰だ!
紘一郎雑記張
■弱体化する「羊」
羊飼いの財務省はそこで次の手を打った。狼と相通じている米欧の金融専門家を集めては日本の財政危機がギリシャ並みに深刻だ、もっともっと増税しないと財政破綻すると吹いてまわる。羊がいかに弱ろうと、財務省という羊飼いにとっては増税という羊を締めつける権限の拡張が何よりの生き甲斐なのだ。決め手も用意周到だ。傀儡(かいらい)の野田首相や羊飼い御用掛の安住淳財務相に後戻りさせないよう、「G20サミット」という、世界の主要20カ国の首脳が集まる国際会議で「増税します」と言わせ、国際公約のタガをはめたのだ。
増税は消費や投資を抑制し、デフレを加速させる。つまり羊をやせ細らせる。インフレ政策をとっている米欧や中国など新興国と対照的に日本だけが増税というデフレ促進策をとるのだから、超円高になってデフレ不況がひどくなる。税収が激減し、財政収支が一層悪化する恐れが高いのに、財務官僚は仲間の日銀官僚も引き入れて増税・円高デフレよりも狼対策が大事だと村人に説く。村に駐在するメディアの多くは経済を知らないし、永田町村の中の諍(いさか)い事にしか関心を示さない。
野田村長らはこうして増税路線を突っ走る。
増税が避けられない情勢を見て、羊たちは意気消沈し、ますます元気がなくなってきた。
疲れ果てて逃げる体力もない羊。村人の多くは羊が従順に見えるので一安心。羊飼いや村長には以前ほど反対しなくなった。
だが、それを見て、好機到来と張り切るのが狼たちだ。米欧ばかりでなく中国やロシアからも狼が押し寄せ、日本羊を襲う。羊飼いの財務官僚が主導する増税とデフレ・円高の容認政策が「狼」を招き入れるのだ。
(特別記者・編集委員 田村秀男/SANKEI EXPRESS)より