古川薫の『覇道の鷲 毛利元就』を読んだ。新潮文庫の(1993年8月25日版)だ。もともとは1990年に新潮社から単行本が出ている。古川薫は1925年の下関市生まれ、山口大学教育学部を出て教職につき、後に山口新聞記者となり編集長までつとめて1970年に退社し文筆活動1本になる。1991年『漂泊者のアリア』で直木賞を受賞した。
『覇道の鷲 毛利元就』は、元就初陣の時からその没する時までの生涯を描いた作品である。戦国末期に中国地方に覇を唱えた元就は、「下剋上」を絵にかいたような武将だが、中国地方は制覇したが、天下を目指さなかったという点で興味をひかれる。元就は古希を過ぎるまでたたかいぬいたが、その孫の輝元の代に「関ヶ原のたたかい」では西軍に属し、徳川の天下となって現在の山口県の範囲に押し込められ、明治維新まで幕府に恨みを抱いてきた。毛利の覇業は、元就1代のものであったのだろうか。盛岡の古書店で見つけておいた本を読んだ。