『等伯』の下巻も一気に読み終えた。信長が死去し、秀吉が天下を掌握したことによって自由を得た長谷川等伯は京に戻り、能登屋という絵屋を始める。扇絵を描き、それを売りながら襖絵や屏風絵などにも仕事を広げる。やがて絵描きの世界を支配している狩野派との争いになっていく。等伯は苦しみながら、力をつけ最終的には「松林図」をものにすることによって「天下一」の座を手にするのだが…。安土桃山時代の画家を一度は書いてみたいと思ったと作者は、あとがきで書いている。私も、中学生のころ美術部にいて担任が美術の先生であったので、外国の美術史や日本の美術史についても少しは知識があるが、この作品を読んで長谷川等伯について、もういちどじっくり鑑賞する機会がほしいと思った。