山クジラの田舎暮らし

岩手県北の田舎に生息する「山クジラ」です。定年後の田舎暮らしや趣味の山行きのことなど、発信していきます。

漫画『蟹工船』=小林多喜二原作

2013-02-16 06:53:29 | レビュー/感想

 昨日(15日)、『天川伝説』の下巻を探しに八戸市内の古書店をまわった。『天川伝説』の上巻はかなりあるのだが、下巻が見つからず2軒目の八食センターのとなりの書店に併設されている本のリサイクルショップでようやく見つけて購入(88円)した。ついでに、書棚を眺めているうちに漫画版の『蟹工船』を発見。元の定価の半分の値段で売っていたので購入した。

 『蟹工船』は言わずと知れたプロレタリア作家・小林多喜二の代表作である。漫画版はイースト・プレス社から発行され企画・漫画をバラエティ・アートワークスが行っている。2007年10月1日に初版第1刷が出ている。『蟹工船』だけでなく、太宰治の『人間失格』、夏目漱石の『こころ』、島崎藤村の『破戒』など内外の名作を漫画にし「読者と文豪の橋渡しになれば」という意図で発行されているらしい。

 『蟹工船』のストーリーをなぞるつもりはない。「おい地獄さいくんだで」で始まる、海の上での孤立した蟹工場の悲惨さとそれに対する労働者のたたかい、彼らが頼みにした日本海軍は実は資本家の手先であったことなどを小林多喜二が鋭く描き出した作品であり、私も何度か読み返し映画も見たものだ。漫画『蟹工船』はやはり漫画であって、小林多喜二の文章の香りというようなものは十分発揮されていないと思った。