中爺通信

酒と音楽をこよなく愛します。

短い夏に花束を

2020-08-17 23:11:00 | 子育て奮闘記
 なんだか、何もできないうちに夏休みも終了。1週間の休暇が終わり、明日から山響もいろいろと始まります。

 たまたま娘の中学も、夏休みは今日まで。2週間の夏休みが終わりました。

 ということで、今日はバタバタと宿題を片付けておりました。たった2週間ですから、いつもの感覚だと間に合わない。休みだ!…と羽を伸ばした瞬間に、もう追い込まれている。なんとも気の毒ですね。

 読書感想文だけ、少し手伝いました。…私の好きな分野なので。

 今年、娘が選んだのは「アルジャーノンに花束を」。…名作かつ王道ですね。私も二十年以上ぶりに読み直しましたが、やっぱり素晴らしい。再び知能が低下してゆくところなどは、わかっていても本気でつらくなる。

 知的障害者の主人公が、手術を受けてから、文字が読めるようになり、あっという間に一般人を超え、ついに学者を超えて、天才になる。しかし、その治療法には欠陥があることを突き止めて、自らの予想どおり、再び急速に知能が低下してゆく。

 自覚がありながら知能が低下してゆくのは、恐ろしいことです。少し前まで読んでいた外国語の本が読めなくなる。この間まで好きだったストラヴィンスキーの音楽が退屈で仕方なくなる。

 …と、昔読んだ時も思いましたが、ここにはどうしても引っかかる。ストラヴィンスキーはIQが高い人のみが理解できる楽しみであるような捉え方は、ちょっと違うかなと。著者のダニエル・キイスは、多分、音楽にはあまり興味が無かったんじゃないでしょうか。

 ストラヴィンスキーはべつに高尚ではありません。むしろ、ロックンロールなどよりもずっとショッキングなものです。高尚であるはずの場で、いきなり原始的なものを炸裂させる。…「なんとかと紙一重」の天才にのみ可能なことで、それはIQでないところに訴えかけるから凄いのだと思うのです。あれで「退屈」するのは、逆に常識がある、と言うより常識しかない人間でしょう。…少なくともオケマンは退屈してませんよ(他意なし)。

 もちろんこんなことを、読書感想文に書かせたわけではありません。

 残念なことに、旅行に行きづらい夏ですが、こういう名作をしっかり読む人が増えたなら、それなりに意義のある夏だと思います。大人も。

 …まあ、なかなかそんな人は少ないんでしょうけど。

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