中爺通信

酒と音楽をこよなく愛します。

持ってます

2009-05-21 06:44:01 | 雑記
 うちの庭です。…嘘です。ゴールデンウィークに行った「花夢花夢」のチューリップ畑です。文翔館の庭もきれいですし、良い庭はそこらじゅうにあります。

 家はマンションなのでもちろん庭などはありません。が、「もし広々とした庭を持っていたら、何するだろうなー」と考えてみると、何もしそうもないということに気づきました。畑を作って何かの作物を植えたりとか、きれいにガーデニングしたり…しないだろうな。「まめさ」が足りないんです。

 何もしないでほっぽらかしとくような人は、庭なんか持ってない方が良いに決まってます。荒れ放題で蚊がわいたり、ヘンな花粉を飛ばす雑草がはびこったりして、近所にも迷惑ですからね。つまり自分にとって「庭を持っている」ことの良さは、咲く花を見て季節を感じたり、草のにおいをかいで広々とした気持ちになることですから、庭を「僕が持っている」必要はないわけです。


 「わたしはいったい何を持っているだろうか!と考えることがあります。たとえばわたしはチャーリー・ミンガスやマル・ワルドロンのモダン・ジャズのレコード。あまりスポーティーではない何枚かのシャツやセーター。都心の安アパートや古いボクシング雑誌、まわらなくなったコーヒー挽き機械を持っています。なかなか標準語化しない青森訛りも持っているし、病歴も、アダムスやスタインベルグの漫画本も持っています。
 だが『持っている』といっても、いつも手に持っているわけではない。
 おもうときに、おもうように自由にできるから『わたしのもの』だというふうに考えている、というという程度のことなのです。

 だが、おなじような意味でなら、わたしは広い空全体も持っているし、東京の町も持っている、ということもできるのです。つまり『思う時に使用しても、文句を言われない』という意味でなら、わたしの所有の範囲はぐんと広まるのであって、…とくに『わたしのもの』と主張しなくても、わたしは先にあげた以外の数え切れない多くのものを『もって』おり…、言葉をかえていえば、かなりの財産家である、ということもできるのです。」 
 (寺山 修司 「家出のすすめ」より)


 そう考えるとやっぱり自然は一番貴重な財産でしょうね。

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2 コメント

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私も、持っています。 (narkejp)
2009-05-22 20:22:00
私に取って、それはかけがえのない、たいへん素晴らしい財産です。山形交響楽団や山形弦楽四重奏団といいます。いつも、私のために演奏してくれます。(^o^)/
私は、ハイドンを雇っていたエステルハージ侯よりも、ずっと多彩な音楽を楽しむことができます。
同様に、所有してはいませんが(^o^)/
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>narkejpさん (中爺)
2009-05-23 13:00:29
 ありがとうございます。なるほど、そう言っていただけると嬉しいですね。
 「持っている」ことの価値が「それによって楽しむことができる」という事であれば音楽家は確かに、聴く人のものです。我々もいつもそれを忘れてはいけませんね。
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