うたのすけの日常

日々の単なる日記等

うたのすけの日常 山頭火の日記を読む その138

2008-11-30 06:02:28 | 日記

 翌二十一日、雨の中、おまけに脱肛の出血を抑えながら歩きます。これもひとえに懐都合で休めないわけです。流浪行乞の宿命でしょうか。それでも道中の道筋、丘また丘、むせるような若葉のかおり、そして農家を囲む蜜柑のかおりと褒めるゆとりはあるようです。「今日はよく声が出た、音吐朗々ではないけれど、私自身としてはこのぐらゐものだらうか。」多少元気が戻ってきたようです。<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

 おどつてころんで仔犬の若草<o:p></o:p>

 ふるさとの言葉のなかにすわる<o:p></o:p>

 密柑の花がこぼれるこぼれる井戸のふた<o:p></o:p>

 <o:p></o:p>

☆同宿三人、何という善良な人だろう。家の無い人間は、妻も子も持たない人間は善良々々。<o:p></o:p>

☆故郷の言葉を旅人として聴いているうちに、いつとなく誘い入れられて、自然と故郷の言葉で話し込んでいた。<o:p></o:p>

☆まさに蚤のシーズンである。彼等はスポーツマンだ。<o:p></o:p>

☆どうも夢を見て困る。夢は煩悩の反影だ。夢の中でも泣いたり腹立てたりしている。……<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

五月二十二日 危ない天気だが休めない。行乞しつつの四里は辛かった、身心の衰えを感じると言います。切なさが滲んでまいります。(コッ)(トイ)港は三国屋です。この宿が遊郭の中にあり、おまけに巡査駐在所の前にあると面白がります。もっとも四五軒の遊郭に過ぎないとのことです。<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

 けふは霰にたたかれてゐる<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

 五月二十三日 行程六里、小串町(山口県)、むし湯。久しぶりの天気晴朗、身心も軽快どしどし歩きます。久玉、二見、湯玉といったところを行乞し小串で宿を求めますが、明日は市が立つとかで断られ、この蒸湯を教えられて来たのですが、事情を話してやっと泊めてもらいます。<o:p></o:p>


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (■かわぐち えいこう)
2008-11-30 14:27:47
遊郭の前に駐在所がある。なんとなくのどかな時代に感じます。きっと駐在さんが遊びに行くと特別割安料金で歓迎してくれたりして、何て思ってしまうような時代ですね。本官も帰りには敬礼して帰ったりして?
返信する
Unknown (うたのすけ)
2008-11-30 16:02:10
かわぐち えいこうさんへ。
今日は。
嘘のような本当の話というわけです。若い警官なんてそうだったかも知れませんね。帰りには倅共々敬礼したりして…。
返信する

コメントを投稿