タイトルに山本五十六とある以上、山本長官が前面に出て描かれるのは致し方ありませんが、作りそのものが安易でチャチなものでした。話の筋をあらかたナレーションで済ましてしまい、史実に或いは資料を駆使して長官の全体像を描こうとした努力は買いますが、いかんせん2時間の枠内では無理と言わざるを得ません。また長官の真意として勝利した段階で、講和に持ち込むといった主張が遂げられなかった経緯がはっきりと致しません。所詮は山本五十六も昭和における、一海軍軍人とひとかけらに括られる存在であったという印象は免れませんでした。
真珠湾の奇襲が結果的に、不意打ちであったと言うことが、山本をして苦汁の汚点になり、懊悩する姿も一通りに過ぎず、観客に伝わってまいりません。また戦争映画として、海戦シーンのお粗末さは目を覆いたくなるほどの安易さ、とくに連合艦隊の墓場となったミッドウェイ海戦のお座なりさは、どうしてなのと疑問を呈したくなるほどでした。
そんなわけでいささかがっかりしての帰路であります。
11時50分の上映時間に間に合うように、10時50分のバスで来たわけでして、終わった段階で2時を回っており、いそいそと蕎麦屋の暖簾をくぐりました。