そのころ、世に数まへられぬ古教授ありけり。

この翁 行方定めず ふらふらと 右へ左へ 往きつ戻りつ

4月24日(土)23:30@Seattle

2010年04月25日 | Seattle日記
 あ~面白かった。Seattleに来て、最高に充実の一日だった!

 10:00に、こちらのコミュティ・カレッジで日本語教育を担当していらっしゃるK先生に、車で宿舎まで迎えにお越しいただいた。Seattle市内を案内してくださる約束だ。まずワシントンパーク樹木園の一角にある日本庭園を見る。回遊式のみごとなお庭で、茶室もあった。裏千家の社中の方々が、お茶事の準備をしておいでのようだった。

 それから、ダウンタウンへ向かい、フェリーで到着したNさんをピックアップ。橋の下のトロール像を見た後、チッテンゲン水門へ連れていっていただく。魚道やパナマ運河式の船の誘導を見学、いやはや、大変な水位! 画像は水門の海側(西)見える鉄道の跳ね橋。

 昼食はユニオン湖畔の「IVAR'S SALMON HOUSE」へ行く。ネイティブアートの意匠に溢れたユニークなシーフードレストランである。この前、院生諸君とお食事会をしたウォーターフロントのお店の同系列らしい。まず、クラムチャウダーのカップを試すと、これが美味いのなんのって…。NYで食ったものよりずうっと濃厚で、タルタルソースみたい。「Ivar’s World-Famous Clam Chowders」と称するだけのことはあった。メインはもちろん鮭にする。「Alder Grilled Alaskan Salmon Sampler」$17也を選ぶ、「Wild Coho and King salmon, red mashed potatoes, seasonal vegetable」と説明されていた。当地はやっぱり 「King salmon」だ。いや、このレストランは素晴らしい。もしもSeattleにみえたら、ぜひ訪れてご覧なされい。

 会話を楽しむうち、時間はどんどん過ぎて行った。ダウンタウンに戻り、「パイク・プレイス・マーケット」で鮭の燻製を買う。K先生によれば、高いけれど、ここの燻製を食べたら他のは食べられないそうだ。スモークがかなりきつい。店のあんちゃんが試食させてくれたが、なるほど、オツな味だ。しかし、ものすごい人出である。平日の午前中とは大違いだ。騎馬警官も出ていた。もしや観光用か?

 宇和島屋の駐車場に車を入れて、パイオニアスクエア辺のポイントを徒歩でご案内いただく。このあたり、路面をかさ上げしたとは驚きだ。アンダーグラウンドツアーの群れがひっきりなし。このツアーも面白そう。パイオニアスクエアに面したスターバックス(日本人の女店員さんがいた)でコーヒーを飲み、トイレを借りてから、K先生、Nさんとはお別れする。

 それから、214 1st Ave.S B10の古書店へ。地下への入り口のところでA先生と太郎君が手を振っている。A先生と待ち合わせ、洗井大学のライブラリアンKさんが、お連れ合いと経営している本屋さんをお訪ねする約束なのだ。お店は小さいけれど充実している。日本のものもいくつかあった。『お鯉物語』の正続セット、野口米次郎(イサム・ノグチの父)の詩集など。面白かったのは、日本の名所や文化財の写真セットで、裏には丁寧に英語のメモが書かれているのだが、その一番上に出雲大社の写真が載っていた。床下の柱がむき出しで、昔はこんなふうであったのかと興味を引かれた。Kさんがタイで作らせている楮紙・竹紙製品をいくつかもとめた。また訪ねてみたい。

 古本屋の隣には、製本工房があった。聖書などの装丁を受注するところで、職人さんに日本人女性がいらっしゃった。お伺いすると、11年仕事をなさっているという。そのほか、この地下にはユニークなお店がありそうだ。

 その後、Kさんに案内されて、近くの骨董品店「CHIDORI」(108 So.Jakson St.)を訪ねる。加賀千代女の掛軸を鑑定して欲しいと頼まれていた。箱には明治期に表具をした旨の書付があったが、ごく新しく改装がなされている。本紙はよさそうで、絵入で鶯の句が書かれている。インターネットからプリントアウトした、千代女筆跡の画像をいくつか、ご主人にお渡ししたら喜ばれた。店内には日本・朝鮮・中国モノを中心に、質もよいアジアの骨董品・美術品が山と積まれている。ちょっとすてきな玉があったが、値段は聞かず仕舞い。ちなみに千代女は1600$とかおっしゃっていたが、表具がああだと、ちと高いかなあ。正式には「応相談」らしい。

 A先生の車に乗って、それからトランクを買いに連れて行ってもらった。シータック空港で受け取った際に、トランクが破損していたので、買い換えることにした。結局、jeepの頑丈そうなのを選んだら、70$ほどだった。トランクを車に積んで、A先生のご自宅へ。夕食に招待されているのだ。焼き鳥をたくさんと、ワインはWA産2007年ピノノワールの例外的に美味しいのを開けてくださった。次郎君は大暴れ。太郎君は来週、カソリックの初聖体拝領を行なうよし。皆で面白いゲームをした。酔っ払ってやると面白い。買って帰ろうかな。

 A先生の奥様が宿舎まで送ってくださる。緯度が高いせいか、宵はいつまでも暗くならないが、さすがに夜の帳がすっかり下りた。部屋に帰って、スモークサーモンを肴にナイトキャップを飲む。サーモン、実に美味い! 体中に燻製の匂いが染み込んで行く。