TSUNODAの経営・経済つれづれ草

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リーダーの研究、ワタミ渡邉社長-日経ビジネス2009.4.27から-

2009-04-25 07:57:22 | 経営全般
 今週号の日経ビジネスのリーダーの研究は、テレビによく出ているワタミの渡邉社長のことが記載されています。創業者である渡邉社長が会長になり、集団指導体制に移行するワタミの企業分析が書かれています。

 ワタミは、和民などの外食産業と、老人ホームを運営する高齢者向け事業が柱になっています。また渡辺社長の個人事業として、非営利事業としての学校経営を展開しています。

 事業ポートフォリオからは無秩序に見えますが、ワタミ独特の事業ポートフォリオがあることが記載されています。それは「人が差別化となる事業」のみに参入しるということです。つまり、人材の質が競争力を決める、労働集約型の事業にしか参入しないという意味です。

 この方針が徹底していることは財務内容から見えます。ワタミの外食店舗も介護施設も不動産は賃貸借かリースが基本の「持たざる経営」を実践してきています。2005年3月期から2009年3月期までの売上高は7割増しの見込みなのに対して、土地や建物などの固定資産は弁当工場などを買収した3割増しにとどまっています。

 ワタミが介護への本格参入で老人ホーム16棟を運営する企業を買収した時、施設の入居率は60%を切っていました。それが、現在では入居率が90%を超えています。その背景に、労をいとわぬ人的サービスで生き残るという経営戦略があるわけです。これが正に「人が差別化となる事業」への参入です。

 増収増益を重ねてきたワタミの課題は、カリスマ渡邉社長の存在です。圧倒的なカリスマですので、従業員は指示を仰いでおけばよい社風が形成されてきました。
 しかし、それでは企業の成長も限界があります。今回の集団指導体制への移行はその脱皮のためです。

 ユニクロ、すずき自動車などカリスマ社長の存在する企業は、その強烈なトップのリーダーシィップが企業の成長をもたらしてきましたが、さて次の段階はどのように進むのかという課題を解決するのは簡単なことではないようです。

 創業者やカリスマトップの企業理念がスムーズに継承されればよいのでしょうが、カリスマに指示を仰いでいればよかった者がその理念を本当に理解しているかは疑問です。ここにカリスマ社長が存在する企業の弱みがあるのではないでしょうか。

 カリスマ社長の協力な指導力は企業の強みになりますが、弱みにもなるということなのでしょうか。