富山マネジメント・アカデミー

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マテリアル科学の相対の劣化

2017年11月25日 | Weblog

神戸製鋼、さらに三菱マテリアルにおいても、素材の強度に関するデータ偽装が表面化した。この原因をマネジメントの問題として追及しても、実は、それは組織管理論に終わる。何が劣化を招きいれたのか?それは、マテリアルの生産に科学が、相対的に劣化しているからである。周辺の科学の進化に応じて、マテリアルの物性の物理学が、21世紀の科学の最先端から大きく遅れ、優秀な研究人材が参入していないからである。新素材を開発する場合でも、A素材とB素材を粉末にして、手仕事で混合し、高熱、高圧で融解して合成してサンプルを生み出し、それにニュートン以来の伝統力学で物性のテストをするという方法から、神戸製鋼、三菱マテリアルの背後内ある国立大学の大学院の研究が停滞しているからである。最近は、磁性に関心が集中したため、強度という古典的で、地味な研究の存在感は弱くなっている。

村田智【ムラタサトシ】さんの「可能性の工学」(『学士会会報』第927号)を読むと、基本は量子力学で、高度な計算科学により、理論設計から、形而下のモノに演繹する方法での新マテリアル科学の方法が提示されている。すでに、日本国のトップは新次元に進んでいる。このような角度から、富山の素材産業を観ると、技術史の世界では、何周もの周回遅れであるといえる。富山の製造業は、2020年代の大劣化が避けられないのである。

 

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