富山マネジメント・アカデミー

富山新聞文化センターで開講、教科書、参考書、講師陣の紹介、講座内容の紹介をいたします。

中国と北朝鮮との社会福利の逆転

2017年11月22日 | Weblog

われわれは、中国の方が、国家としての社会福利が充実し、同じ朝鮮族でも、中華人民共和国に属した方が社会福利に恵まれ、朝鮮人民共和国では不遇であると思いつ図けて来た。実は、過去数年までは、そんなに単純な比較ですむような状況ではなかった。ところが、ここ数年、中国は国家予算で公共投資として、さまざまな社会福利の保険制度を充実させてきた。特に大きく改善されたのは年金制度、健康保険制度である。北朝鮮は。2000万人の人口で、全て軍隊の軍事組織の「互恵型経済原理」により囲い込むことが可能であったので、その体制から抑圧された反体制の志向をもつ亡命者が、脱北者として扱われてきた。いうまでもなく、北朝鮮の軍事組織の配給・分配の「互恵型経済原理」は、基本、貧しさの共有構造には変わりない。しかし、それ以上に、中国の辺境の農民、農村、農業の貧困で、劣悪な社会福利の環境は、北朝鮮の最末端の下層兵士の農村家族よりも、何らの恩恵がなかった。だから、5年ほど前は、中朝の国境には、長い鉄条網の遮断璧がなかった。

今回、中国側が北朝鮮側の遮断璧をこれ幸いにして、経済制裁の強化に踏むこみ、政策協定から協同の行動計画の実施に踏み込んだのには、中国>北朝鮮という社会福利の不等号が、ここ数年でようやく完成の途に就いたからである。北朝鮮から逃げて来られては困るという明解な理由が、中国領内の朝鮮族に芽生えたからである。韓国は、これ以上は、脱北者を抱え込みたくないという経済不振という中国とは異なる事情がある。

こうして、中国が習近平政権のもとで、辺境の農村の救貧の政策にほぼ成功したことで、中国は北朝鮮との国境に「相対的に富める公民」と、「貧困な軍事国家の隷属民」という壁を張り巡らすことに成功したのである。このことにより、中国の民間市場にあふれる消費材は、北朝鮮に闇商品として流れ込み、軍事組織の下からの崩壊を呼び込むことができる。まして、金正恩が特殊な少数精鋭にミサイル部隊のみ優遇し、陸軍の辺境の警備組織を優遇する余裕がない。こうして、漢方薬のように経済制裁が効果をもつ状況が生まれたのである。習近平政権は、辺境の農村に貧困対策に成功した結果、実は、国土全体の辺境防衛の民間力を高めたのである。


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富山県に喫緊の大学院博士レベルの研究拠点

2017年11月22日 | Weblog

地方大学の振興により地域社会を高度化しながら活性化する基本的な考え方は間違いではない。ただ、それは2つの方向軸がある。1つは、雇用人材の確保のためである。大学4年あるいは修士2年の卒業生を地元優良企業が採用する「就業の産学連携」である。普通の行政職の方は、4年制大学の卒業経験があるので、このレベルの雇用には理解が及ぶ。問題は、何百人という理工系の博士号を取得した方の先端学術と先端産業技術の関係に理解が及ぶか否かである。

富山の場合、極めて限られた分野しか、大学院博士課程の「後期研究指導」の審査を合格した先端研究者がいないことが深刻な問題である。ただ、このレベルとなると、石川、福井、富山、新潟、長野の量的な格差はない。不思議にも、地域の解決課題が明解な分野が先端化している。長野では、繊維の研究がそうである。新潟では、脳梗塞など脳の病気のデータが豊富なので、そこが先端である。食生活の関係だろうか。そして、福井では、原子炉の関係、被爆医療が際立っている。富山では、医薬品の開発につながる基礎研究に先端性がある。

そこで、富山では大学連携は、実はほとんど意味を持たない。学生、教員のレベルが違いすぎる。連携にはならない。富山大学が大学院大学ではないが、一部は医療と薬業の面で、全国の先端研究の一環を担える体制が組める。独立大学院といって、学部教育を担当しない研究主眼の大学院が必要である。石川県の場合、北陸先端科学技術大学院が存在する。富山県の場合、北陸先端医薬品工学研究大学院が絶対に必要である。

 

 


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