長島敏春「逗子日乗」(旧「生命のサンゴ礁」)

2007年温暖化による石垣島のサンゴ礁大白化に遭遇。「生命のサンゴ礁」を開始。2023年に「逗子日乗」とする。

「深海のロストワールド 追跡!謎の古代魚」を見る

2015年03月26日 | ラジャアンパット

3月21日に放映されたNHKBS103のザプレミアム「深海のロストワールド 追跡!謎の古代魚」を見ました。

インドネシアのラジャアンパットから始まりパプアニューギニアのビスマルク海に向う探検です。サンゴ礁の下の深海を海洋生物学者マーク・アードマン博士が謎の古代魚を追う番組でした。番組はNHKとマーク・アードマン博士が乗る潜水艇ナディア号が制作しています。200mの深海を潜水艇から撮影した映像は非常に興味深い。

博士はインドネシアのスラヴェシの市場でシーラカンスを発見したことで知られている。博士はシーラカンスを深海で見たいと思い潜水艇に乗り込みます。場所はラジャアンパット、世界的に有名な多種多様なサンゴや魚類がある場所です。ラジャアンパットは歩くサメが最近発見されています。ここでは生きた化石と呼ばれるウミユリが紹介されます。シーラカンスは発見されず、潜水艇はパプアニューギニアのビスマルルク海のカニエット諸島に向います。そこはまったく人が入っていない原始の海です。私も機会があれば是非行ってみたいと思うような凄い海です。

博士は粘り強く何回も潜水艇に乗り込み、シーラカンスの発見に挑戦します。探検の最終日に謎の古代魚を発見します。結局シーラカンスは見つかりませんでしたが、ヒョウモンシャチブリと呼ばれるシーラカンスに似た魚を発見します。この魚は腹びれに長い突起を持ちます。突起は左右三本ずつの六本あります。猫のヒゲのような役割で深海の洞窟を泳ぐのに役立っているそうです。

番組の終盤ではこの魚が日本の久米島で発見され、その標本が紹介されます。この古代魚の紹介で、地球の歴史的観点から生き物の進化が語られます。恐竜の時代が巨大隕石の衝突で終わり頃、深海に追いやられた魚が、その深海が逆にその魚が生き延びる環境であった。その深海は一億年も変わらず、同じ状態であり、ヒョウモンシャチブリがずっと太古からいた。この標本は神奈川県の生命の星・地球博物館にあります。大変興味深い番組でした。

再放送があります。4月5日(日)午後2時~3時59分 BS103「深海のロストワールド 追跡!謎の古代魚」

写真絵本「サンゴの海」が偕成社から好評発売中。

日本自然科学写真協会  ニッコールクラブ


「環境と生物」の時代

2015年01月20日 | ラジャアンパット

「生命のサンゴ礁」とはこのブログのテーマです。2007年の石垣島で起こったサンゴ礁白化に遭遇し、その有様をカメラに収め発表したのがきっかけでブログを始めました。サンゴの中で共生している褐虫藻が地球温暖化で、海水温が上昇したのが原因でサンゴから離れました。サンゴに栄養を与えていた褐虫藻がいなくなり、サンゴは骨格がむき出しになりました。それがサンゴの白化です。サンゴが長年、積み重なった地形がサンゴ礁です。サンゴ礁は生き物たちを育む場所でもあります。そこでは様々なレベルでの植物連鎖が行われています。私はその現象をつぶさに見たとき、それはサンゴ礁そのものが生命に見えました。そして、「生命のサンゴ礁」と名付けたのです。そのころからでしょうか。「生命」という言葉がいろんなところで使われるようになりました。

最近、その「生命」を考えているうちに「環境と生物」といったテーマを考えるようになりました。一昨年からマングローブの撮影を始めました。マングローブがサンゴ礁とよく似た環境だと思えたからです。マングローブそのものの撮影に加え、生き物も撮影しています。そうするとサンゴ礁と同じような現象が見えてきます。それが「環境と生物」の関係性です。サンゴ礁もマングローブも独自の水を取り巻く環境です。その独自な環境に棲む生き物たちは一体どのような生き方をしているのか。ただその環境に生きているだけなのか。そうではないことが分かりました。生物が環境をつくり出しているのです。互いの生物達の営みが結果的に環境をつくり出しでいるのです。これからの時代は「環境と生物」の時代になると思います。それは人間も生物だからです、これからの時代を考え、未来を予測するのは私たちにとって急務な使命ともいえるでしょう。なぜなら、地球環境をコントロールしているのはすでに人類です。数十年後は人間は人間以上の人工頭脳を持つとされています。年の初めにこのようなことを考えています。人類の生き方が試される時代が始まりました。写真は地球上で最も生物多様性に富む海といわれるインドネシアのラジャアンパットのソフトコーラルとラジャアンパットを象徴するイエローリボンスイートリップスです。

写真絵本「サンゴの海」が偕成社から好評発売中。

日本自然科学写真協会  ニッコールクラブ

 

家の光8月号にグラビアページ4ページ「ようこそ!太古の海」が掲載されました。

2013年07月02日 | ラジャアンパット

「ようこそ!太古の海」はインドネシアのラジャアンパットのパッセージを紹介しました。ラジャアンパットはマングローブの林とサンゴ礁が共生する世界でも稀な海です。2つの島が隣接して細長い回廊のようになった海に、マングローブに木々の間から光が差しこみ海を照らし出します。ラジャアンパットは、地球上で最も生物多様性に富む赤道直下のサンゴの海、太古の昔から変わらない生命の楽園がそこにあります。

「石垣島 サンゴの世界」開催中 和真新宿ギャラリー7月31日まで 無休 新宿区新宿3-28-7 AM10:00~PM8:00 新宿中央東口徒歩3分

写真絵本「サンゴの海」が偕成社から好評発売中。


ラジャアンパットの夕景

2013年01月09日 | ラジャアンパット

ラジャアンパットクルーズでの、船上からの夕景だ。

スジ状に見える光が広がっている。広く地球を照らすように見える。

最近、気になる言葉に出遭った。「写真家の肝(きも)」という言葉だ。写真家は何を見て写真を始めたのかが大切だという事、言い方を変えれば写真を撮る目的は何かともいえる。写真界の先達の多くは日本の終戦を見ている。終戦を体験した事が後の写真活動に大きな影響を与えているように思える。終戦という事実を受け入れることにより、事象をリアルに受け止めるなったと思う。写真界のリアリズム運動は多くはここから始まっているように思う。

私は大学を卒業後、しばらく外国通信社に勤務した。ここでは世界中で起った事象をマスメディアを通し伝えていく事が仕事でした。その後、映像の制作会社を経て、フリーランスになりました。私の中では水中写真に取り組んでいたときの石垣島で起きたサンゴ礁の大白化に出会ったことが大変大きな転機でした。その時はこの自然の異変をそのまま伝えなければならないと思い白化の海を這いずり回り撮影しました。世界で起って事象や自然現象をそのまま伝えたいという思いを持ち始めた頃でした。その思いを持ち続け今に至っています。

茅場町のレクトバーソギャラリーで開催される「フォトグラファーの視点:光と瞬vol.8」に出展します。

Art Photograph group show

フォトグラファーの視点:光と瞬vol.8 ~気鋭の写真表現者たち~

大倉清司 長島敏春 蒔苗仁 岡本洋子

2013年1月15日(火)~1月19日(土) 13:00~19:00 最終日のみ13:00~16 :30

東京都中央区日本橋茅場町2-17-13-401 TEL03-5641-8546 茅場町駅「東改札」3番出口より徒歩2分


水中写真家への道

2012年12月27日 | ラジャアンパット

写真はラジャアンパットのパッツセージでの写真だ。マングローブからの光が美しく赤く輝くオオトゲトサカを照らす。一昨年の2月に撮影した。

本年は私がフリーの水中写真家になって9月で3年目になります。55才で長年勤めていた会社を退職し、水中写真の道に入りました。なぜ第二の人生ともいうべき55才で水中写真家になったというと、それは明確な理由がありました。

丁度そのころニコンサロンbisで2回目の個展がありました。一回目のニコンサロンbisは石垣島で起ったサンゴ礁の大規模白化をテーマし、2回目はサンゴ礁そのもの、そして環境問題にも触れた内容でした。個展をきっかけに、私の作品が雑誌や新聞にも取り上げられました。

その時私が考えていたのは海やサンゴ礁の素晴らしさ、そして現実を多くの人に知ってもらう事の大切さでした。そう考えると、私には時間がないと思いました。55才の時点で水中写真が撮れるのは10年間の65才までだろうと思い始めていました。10年間あれば水中写真家として一つの仕事が出来ると考えたからです。私は55才でサラリーマンを辞め、水中写真家の道に入ったのです。

水中写真家は多岐にわたる知識や技術がまず必要です。ダイビングの技術、写真の技術、海と海の生きのもの知識等、トータルな分野での技術と知識がなければ水中写真は撮れません。そして体力が必要です。最近は水中写真家の先輩を見ていると、あと20年位は大丈夫かなとも思います。

写真はよくその人の人生観がそのまま出るといわれています。そうすると人生経験が写真に反映されることは明らかです。水中写真も例外ではないと思います。そして写真を次世代の子どもたちに伝えることが大切です。

今まで、水中写真は特殊な世界で大変難しいといわれてきました。しかし今ではデジタルカメラの発達で水中写真が撮りやすい時代になりました。コンデジでも十分素晴らしい写真が撮れます。ただ、やはり水中という条件は光やホワイトバランスや色の発色など地上とは異なります。それを理解すればコンデジなりの撮影の仕方で素晴らしい写真が撮れます。もちろんデジタル一眼はいうに及ばず素晴らしい写真が撮れます。私は水中写真の愛好家の方に、どんどん水中写真をとってもらいたいし、いろんな場で発表して欲しいと思います。

 

Art Photograph group show レクトバーソギャラリー

フォトグラファーの視点:光と瞬vol.8 ~気鋭の写真表現者たち~

大倉清司 長島敏春 蒔苗仁 岡本洋子

2013年1月15日(火)~1月19日(土) 13:00~19:00 最終日のみ13:00~16 :30

東京都中央区日本橋茅場町2-17-13-401 TEL03-5641-8546 茅場町駅「東改札」3番出口より徒歩2分 


ホワイトキューブ レクトバーソギャラリー 

2012年12月21日 | ラジャアンパット

明年に開催されるレクトバーソギャラリーはホワイトキューブのギャラリーだ。白い壁が取り囲み、キューブのようになっているギャラリーだ。地方の美術館ではいくつかあるが、都内で稀で、レクトバーソギャラリーが代表的なギャラリーだ。前に下見をした際にまるで水中にいるような錯覚をする空間でした。ここで新しい試みが出来ると思った。今回は全てインドネシアの秘境ラジャアンパットのパッセージを5点展示します。写真は「横たわる巨木に付くホヤ」です。倒壊した巨木に新しく緑色のホヤが付いています。その巨木の先は永遠に繋がるようです。

Art Photograph group show

フォトグラファーの視点:光と瞬vol.8 ~気鋭の写真表現者たち~

大倉清司 長島敏春 蒔苗仁 岡本洋子

2013年1月15日(火)~1月19日(土) 13:00~19:00 最終日のみ13:00~16 :30

東京都中央区日本橋茅場町2-17-13-401 TEL03-5641-8546 茅場町駅「東改札」3番出口より徒歩2分 

 


レクトバーソギャラリー 「フォトグラファーの視点:光と瞬vol.8」に出展します

2012年12月12日 | ラジャアンパット

茅場町のレクトバーソギャラリーで開催される「フォトグラファーの視点:光と瞬vol.8」に出展します。

Art Photograph group show

フォトグラファーの視点:光と瞬vol.8 ~気鋭の写真表現者たち~

大倉清司 長島敏春 蒔苗仁 岡本洋子

2013年1月15日(火)~1月19日(土) 13:00~19:00 最終日のみ13:00~16 :30

東京都中央区日本橋茅場町2-17-13-401 TEL03-5641-8546 茅場町駅「東改札」3番出口より徒歩2分


泥の中の巨大サンゴ

2012年10月13日 | ラジャアンパット

 

「海からのメッセージ ラジャアンパット 長島敏春編」の最後で広部さんと探検した未知のエリアです。ライトを照らしているのが広部さんです。下の写真が番組で使われました。撮影の時点では名前が特定出来ない見た事もないサンゴでした。調べてみるとチヂミウスコモンサンゴでしたが、あまりに巨大です。泥の中の不思議なサンゴです。


ナンヨウキサンゴと魚たち 共感する写真

2012年10月09日 | ラジャアンパット

番組では何点かの写真が使われました。この写真は丸いナンヨウキサンゴに黄色が映えるハナダイの仲間が群れます。丸く整った形のナンヨウキサンゴは凄く珍しいもので初めて見ました。この写真を見ていると海の中の共生が感じられます。そして静かな魚たちの歩みを感じます。私は写真は他者が見ることを絶えず意識しなければならないと思います。であるならば写真は事実を美しく見せるのが大切だと思います。写真を見て心が安らぐ事が求められます。共感されなければ写真としての価値はないでしょう。


ラジャアンパット「海からのメッツセージ」テレ朝チャンネルで放送される。

2012年10月05日 | ラジャアンパット

2日にテレ朝チャンネルの「海からのメッセージ」で『ラジャアンパット 長島敏春編』が放送されました。ご覧になった方も多く、好評でした。特にアジアの秘境エリアといわれるラジャアンパットの素晴らしさが丁寧に描かれていました。私はサンゴ礁を撮影する水中写真として、サンゴ礁についてのコメントや提言も紹介されました。ナビゲイターの広部さんはじめスタッフの皆様ありがとうございます。再放送は10月21日と26日です。

写真はハードコーラルとソフトコーラルが混在するラジャアンパットの海です。ハードコーラルにトゲトサカとガヤ、ウミシダが見えます。右にはユタカハタがいます。上はタカサゴが舞います。様々な生物が共存する、本当に濃厚な海ですね。

 


CSテレ朝チャンネル「海からのメッセージ」に出演します(10.2.pm23~24)

2012年09月24日 | ラジャアンパット

番組は海中探検家である広部俊明さんがナビゲイターの「海からのメッセージ」です。#104「episode-103」になります。本年2月にラジャアンパットで取材を受けました。世界的なサンゴ礁と生物の多様性を誇るラジャアンパットから水中写真家として皆様に海のメッセージを送るといった内容です。広部さん、関係者の皆様ありがとうございます。写真はサンゴ礁とマングローブが混じり合うパッセージです。


池本さやか写真展「海の中のゆっくりな時間の流れ」ギャラリー冬青

2012年06月09日 | ラジャアンパット

昨日、ギャラリー冬青で開催中の池本さやか写真展「海の中のゆっくりな時間の流れ」を見る。以前よりモノクロの水中写真に興味がありました。池本さんとモノクロ写真についてお話が出来、大変参考になりました。写真としての完成度も高く、プリントも大変美しい仕上がりでした。会期は6月23日まで ギャラリー冬青 東京都中野区中央5-18-20

 


国連環境計画(UNEP)報告 サンゴ礁保全など悪化 (東京新聞)

2012年06月07日 | ラジャアンパット

本日の東京新聞で「国連環境計画(UNEP)は六日、環境保全のために掲げる九十項目の国際目標のうちサンゴ礁保全など八項目の現状は以前より悪化し、目立った進展があったのはオゾン層破壊物質の削減など四項目にすぎないとする報告書を発表した。」と報じている。今月ブラジルで開かれる国連持続可能な開発会議(リオ+20)に向けた報告である。さらにサンゴ礁に関して「報告書は一九八〇年以降に世界で38%ものサンゴ礁が失われ、なおも深刻な状況が続いていると指摘した。」とある。ダイバーや水中写真家の皆さんはサンゴが少なくなったと実感される機会があると思いますが、世界的なデータのからも事実である事は確かです。私は様々な機会を通しこの事実を訴えていくつもりです。