トシコロのありのままの暮らし


  世田谷カフェとの交信の必要性で、登録しました。それ以外の皆さんもよろしくお願いします。

オウム真理教が日本人の仲間志向の深層心理を壊したようです

2019-09-07 10:50:00 | 日記
1995年3月。東京の複数の地下鉄でサリンガスのテロで、多くの方が死傷された。山梨県などにあったオウム教団施設のサティアンもニュースなどに連日報道されるように。乳幼児は別として、日本人の多くはオウム真理教に向き合った。僕も向き合っていた。


   自分の属する教団にばかり目を向ける彼ら。内向きで、外部者には無関心である事を僕も素早く察した。ほとんどの日本人がそのように見たようだ。又、会長格の麻原の言う事ばかり聞き、自分の意見で動く事はない事も。何分、会組織は会長・役員の言う事を会員たちが聞かなければ成立しないものだし。また、その信徒たちは「教団組織の活動からの社会変革」を唱えていた。人口の1万分の1にも満たない彼らが社会変革する事はおかしいと、当時の僕は思った。日本国憲法の柱の一つの「国民主権」にも反しているし。そのオウム真理教との向き合いはその後もずっと続いた。こうして書く以上、今も続いているのかもしれない。サリン事件の時は思わなかったが、その後、次第に高校卒後に僕が入った多くの会や、行った島田療育園、多磨全生園にも想いは及んだ。それらも仲間主義の色彩が強かったではないか。「社会変革」を唱える会は複数あったが、いずれも仲間単位の行動での社会変革を目指していた。どれも内輪にしか通じない言葉になっていき、内向きにもなって潰れていった。又、内輪の仲間だけを大事にし、非会員が困っていても「同情しても始まらない」と言って切り捨てる。サリン散布みたいな事はしなくても、非会員の人権は考えないオウム真理教とどう違ったのか?と考えるようになり、仲間関係は恐ろしくなっていった。当時は僕も夏に福祉キャンプに参加していたが、それも仲間意識を尊ぶものであり、次第に疑問に感じ、別のキャンプでX君という精神障碍を持つ人を追い出した事も思い出され、サリンの2年後にそのキャンプも僕は止めてしまった。グループ否定の気持になったわけだ。世間にもそのような人たちが多かったようだ。

  それは政治経済にも強い影響を与えていた。その少し後、雪印が不良製品を販売する事や、住専の問題も起きたが、世間はその2つを強く叩いた。どちらも仲間意識の強い会社であった。雪印は製品の良さの他、会社内の仲間意識の強さの面でも人気があったが、想定外の叩きを世間はした。同様な事件かあっても、それ以前は世間は余り叩かなかったのに。結果的に雪印は潰れたみたいになった。

  政治面も。サリン事件当時は社会党の村山氏が首相だったが、すぐ退陣し、自民党の橋本や小渕、森と短期間に政権が交代。その自民党の3人は旧来通り、仲間関係を重んじる考え方だった。かつてはそのような首相は人気が高かったが、非常な不人気になった。森さんの後、自民党内で選挙があり、以上の橋本氏と、個人行動を重んずる考え方の小泉さんが立候補して、圧倒的得票で小泉さんが選ばれたわけである。今思うと、その交代もオウム事件の影響が強かったと見る事が十分に可能である。

   麻原の利用したのは、明治以来のそれまでの日本社会だったようだ。仲間意識を利用すればどんなこともできると気が付いて、利用した。確かに、そこまで麻原は日本社会を研究し尽くしていたわけである。僕が所属した多くの会にも、島田療育園や多磨全生園にも、話に聞く右翼や新左翼関係にも、仲間意識重視、内向き志向、我が団体からの社会変革など、オウム真理教に通じる面があったわけであるし、日本人である以上、この僕にもオウムに通じる何かがあったに違いない。今もあるのかもしれない。

  結果的にはオウム真理教は日本を変えたようだし、それ以前に日本の社会変革を目指すのならば、まずは仲間主義にメスを入れないといけなかったが。新左翼も違うセクトとは叩き合ったわけだし。それも仲間意識のためだと。新左翼系の中には、仲間意識重視の教育運動をしている会もあった。その通りにしたら、内向きな学校になるわけで、逆に非常に保守的な社会になる事も見えるわけである。皮肉に今は思う。


  因みに、若い時、僕は二人から「仲間意識は当てにならない。最低だ」と聞いている。一人は全生園で知り合った無教会派伝道師、もう一人は海外奉仕活動を多くされているYMCAの人である。海外から日本を見ると、内向きで、冷たい事が判るそうだ。確かに、内輪さえ良ければ、仲間さえ良ければ、は冷たいから。

  因みに、それまでの日本は壊れたが、新しい価値観がまだ生まれていない。だから、日本は政治も、経済も、福祉も、個人個人も迷走しているし、非恋愛・非婚も多くなっていると思われる。又は、性的な要素だけの結婚とか。日本もこれからである。





最新の画像もっと見る

コメントを投稿