人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

パシフィカ・クァルテット他でメンデルスゾーン「弦楽八重奏曲変ホ長調」を聴く

2014年06月18日 07時00分47秒 | 日記

18日(水)。昨夕、サントリーホール「ブルーローズ」(小ホール)で、サントリーホール・チェンバーミュージックガーデン「室内楽アカデミー・コンサート」を聴きました プログラムは①ベートーヴェン「弦楽四重奏曲第1番ヘ長調」、②シュラミット・ラン「燦・凶・礫・憶」(弦楽四重奏曲第3番)、③メンデルスゾーン「弦楽八重奏曲変ホ長調」です。演奏はパシフィカ・クァルテットとサントリーホール室内楽アカデミー選抜フェローです

 

          

 

自席はC1-10番、センターブロック最前列のやや右、ほとんど目の前が演奏者です パシフィカ・クァルテットは2011年のチェンバーミュージックガーデンで初めて、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲演奏会を成し遂げたグループです 私はこの時に聴いたベートーヴェンやメンデルスゾーンにすっかり魅了され、彼らのファンになってしまいました その後、彼らがCDでメンデルスゾーンの弦楽四重奏曲全集を出しているのを知って、さっそく買い求めたものです。演奏は最高です

 

          

 

パシフィカ・クァルテットはアメリカの弦楽四重奏団で1994年に結成されました したがって今年が創設20年を迎えます。第1ヴァイオリン=シミン・ガナートラ(女性)、第2ヴァイオリン=シッピ・バーンハートソン、ヴィオラ=マスミ・バーロスタード、チェロ=ブランドン・ヴェイモスの4人から成ります

1曲目のベートーヴェン「弦楽四重奏曲第1番ヘ長調」は、つい先日ウィーン・フィルメンバーによるキュッヒル・クァルテットの演奏で聴いたばかりです 「第1番」となっていますが、実際には第3番に続いて2番目に書かれた曲です

照明が落ち、パシフィカ・クァルテットが・・・・・と思っていたら、若者たちが入場してきました プログラムをよく見ないで勝手に出演者を決めていたようです 頭を切り替えて彼らを拍手で迎えます。向かって左から第1ヴァイオリン=外園萌香(白のドレス)、チェロ=鎌田茉莉子(淡いピンク)、ヴィオラ=飯野和英、ヴィオラ=北見春菜(淡いオレンジ)というメンバーです 若さあふれる演奏でした。強いて言えば、第2楽章のアダージョが課題かな、と思いました

いよいよ今度は間違いなく、パシフィカ・クァルテットの登場です。第1ヴァイオリンのシミン・ガナートラは空色の明るいドレスが鮮やかです 2曲目のシュラミット・ランの「燦・凶・礫・憶~弦楽四重奏曲第3番」は、ミュージック・アコード、サントリーホール、ヴィグモアホール共同委嘱作品で、作曲者の説明によると、2006~2007年にニューヨーク・メトロポリタン美術館で開かれた「燦めきと破滅:1920年代ドイツの肖像」という企画展に影響を受けて作曲したとのこと。この日はアジア初演とのことです

曲はⅠ.起こったこと、Ⅱ.脅威、 Ⅲ.もし僕がいなくなってもー僕の絵は死なせないで、Ⅳ.礫・憶 の4つから成ります。「Ⅰ.起こったこと」の冒頭部分は高音部での演奏で、まるでヒバリが青空に舞い上がる様な爽やかささえ感じさせる曲想ですが、やがて不穏な音楽に変わり悲痛さえ感じさせる曲想となります ガナートラはじめ、演奏者たちは身体全体で表現します。「Ⅱ.脅威」はスケルツォですが、3人で足踏みしたり、第2ヴァイオリンが口笛を吹いたり、多彩な表現が見られました 「Ⅲ.もし僕がいなくなっても」「Ⅳ.礫・憶」と続きますが、一人一人が雄弁に悲痛といえる音楽を語ります。現代音楽そのものですが、なぜか私は、この曲は”秩序がある”と思い、言わんとするところをある程度理解できるような気がしました

 

          

 

休憩時間に室外に出ようとすると、後方席にカルテット・エクセルシオの面々の姿がありました サントリーホールアカデミーでの教え子が演奏したのでそれを聴いていらっしゃったのでしょう

ロビーに出ると、パシフィカ・クァルテットのCDが販売されていました メンデルスゾーンは持っているので、今度22日の「フィナーレ」コンサートでパシフィカ・クァルテットが演奏するショスタコーヴィチの「弦楽四重奏曲第2番」を収録した2枚組CDを2,200円で買い求めました

 

          

 

休憩後は、待ちに待ったメンデルスゾーン「弦楽八重奏曲変ホ長調」です 向かって左サイドにパシフィカ・クァルテットが、右サイドに室内楽アカデミー選抜フェローが対向配置でスタンバイすると予想していたら、まったくの外れでした 向かって左から、ガナートラ、バーンハートソン、小形響、福崎雄也(以上ヴァイオリン)、バーロスタード、福井萌(以上ヴィオラ)、ヴェイモス、中実穂(以上チェロ)という態勢をとります 女性陣は濃淡はあるもののブルー系のドレスで統一しています。色をチューニングしましたね

「弦楽八重奏曲」は1825年に作曲されましたが、メンデルスゾーンが16歳の時の作品です とても信じられません。モーツアルト並みの神童と言われたのも頷けます

第1楽章の推進力はどうでしょう 前へ前へと音楽が進みます。第1ヴァイオリンのガナートラは身体全体を使って音楽を表現します 彼女の顔を見ていると、ある時は喜びに満ち、ある時は悲痛に耐え、ある時は驚きの表情を見せ、千変万化、瞬間瞬間でコロコロと表情が変わります その表情とともに躍動感溢れる演奏を展開します。彼女に引っ張られるように他のメンバーもメリハリをつけて若きメンデルスゾーンの名曲に対峙します 第4楽章の冒頭は一番右端のチェロ=中実穂から左へ順番にガナートラまで8人の奏者がフーガを演奏し、フィナーレになだれ込みますが、その快感は例えようがありません これぞメンデルスゾーンの真骨頂です

この日のメンデルスゾーン「弦楽八重奏曲」は、間違いなく今年のマイ・ベストテンに入るでしょう

 

          

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