29日(土)。昨日は仕事納めで、社員の半数が出勤しました 9階の宴会場と10階のホールでレストラン・アラスカの「おせち料理」の箱詰め作業が始まったので覗いてみました。宴会場は”なます”の酸っぱい匂いが充満していました。注文したおせち料理は宅配便で31日に届くとのことです
閑話休題
中島京子著「小さいおうち」(文春文庫)を読み終わりました 著者の中島京子さんは1964年東京都生まれ。出版社勤務、フリーライターを経て、2003年「FUTON」でデビューし、2010年に「小さいおうち」で第143回直木賞を受賞しました
昭和初期、東北から東京に女中奉公に出た少女タキは、赤い屋根のモダンな家の女中になります。そこには玩具会社に勤めるご主人と若く美しい時子奥様、その連れ子の恭一ぼっちゃんが住んでいました。タキは持ち前の機転の良さで家事をてきぱきとさばき、恭一坊ちゃんのお世話をして家人から信頼されていきます そして時子奥様を心から慕います 平凡な毎日が過ぎる中、ご主人の会社に勤める若い社員・板倉正治が、いつしか時子奥様に恋心を抱くようになり、ちょっとした事件が起こります
物語は晩年のタキが記憶を綴ったノートを回想していく形で進みますが、大きな変化もなく淡々と日常生活が書かれていると思っていると、最後の章で意外な事実が判明します
最後まで読んで思うのは、タキは時子奥様を”慕っていた”というよりは、”恋していた”という方が相応しいのではないか、ということです だから、時子奥様の書いた宛名のない封書(実は板倉正治宛てで、”是非会いたい”と書かれていた)を板倉に渡さなかったのではないか、と思うのです
私がこの本を買ったそもそもの理由は、「小さいおうち」というタイトルと本の表紙の絵が、子どもたちが幼いころに読んであげていたバージニア・リー・バートンの描いた絵本「小さいおうち」(日本では石井桃子訳)と作りが同じで、すごく懐かしい思いがしたからで、どんな内容かはまったく分からずに買い求めたものです
ところで、この本の中に次のようなくだりがあります。
「昇進のお祝いに、京橋のアラスカへお食事に連れていただいたのも、よい思い出である。そういう特別の日には、前もって頼んでおいたハイヤーが坂を上がってくるのだ。旦那様はアラスカがお好きで、地方からのお客様やお祝いがあると、奥様とぼっちゃんを連れてよくお出かけになった。・・・・・・・・どこへ行ってもカレーライスを注文するので、カレーのタキちゃんと呼ばれていたことも懐かしく思い出す」
ここに出てくる「アラスカ」という店はひょとして当ビル10階のレストラン・アラスカのことかも知れない、と思い、ホームページで同店の歴史を調べてみました。しかし、京橋にアラスカがあったという記述は見当たりませんでした そこで、当社のU専務を通じてアラスカのM社長にお聞きしたところ、「昭和3年~5年頃、確かに京橋にアラスカがありました」とのことでした
文庫本の「小さいおうち」の53ページに店名が出てくるので、そのページをお見せすると、「表紙をコピーさせてください。すぐに買ってきますわ」とおっしゃるので、コピーして差し上げました。M社長の話では、アラスカは谷崎潤一郎や菊池寛の書いた本にも出てくるとのことです。タキも食べたアラスカのカレーは最高に美味しいです。「小さいおうち」とともにお薦めします
レストランガイド
広告
に掲載されていたのでしょうか。