人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

新日本フィルでマーラー「交響曲第5番」、モーツアルト「交響曲第35番」を聴く

2016年01月28日 08時13分00秒 | 日記

28日(木)わが家に来てから487日目を迎え足の爪を切ってもらっている間、恐怖で大人しくしているモコタロです

 

          

          爪切りは嫌いだよ~ なんで切るんだよ~ やだよ~ オロオロ

 

  閑話休題  

 

昨夕、サントリーホールで新日本フィルの第553回定期演奏会を聴きました プログラムは①モーツアルト「交響曲第35番ニ長調”ハフナー”K385」、②マーラー「交響曲第5番嬰ハ短調」です。指揮はデンマーク出身のトーマス・ダウスゴーです

 

          

 

指揮台に現れたダウスゴーはかなりの長身です。現在、スウェーデン室内管弦楽団首席指揮者、シアトル交響楽団の首席客員指揮者を務めています 小澤征爾のアシスタントとして北米での指揮活動を開始したそうなので、この新日本フィルに客員したのも(2012年3月以来とのことだそうですが)桂冠名誉指揮者・小澤征爾繋がりなのかも知れません

オケは左から奥にコントラバス、前に第1ヴァイオリン、右にチェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対向配置を取ります コントラバスが左サイドに構えている関係で、ホルンが右サイドにスタンバイします。これがマーラーでどういう影響が出るか?コンマスは西江王子です

1曲目のモーツアルト「交響曲第35番ニ長調K385」は「ハフナー」という愛称で呼ばれています これは原曲が1782年の夏(モーツアルト26歳の時)にザルツブルクのハフナー家の息子ジークムントの爵位授与を祝うために依頼されて作曲したことによります

ニ長調という調性が表すように全体的に明るく祝祭的な響きをもった音楽です ダウスゴーは溌剌と新日本フィルを指揮し、奇しくもこの日、生きていれば260回目の誕生日(1756年1月27日生まれ)を迎えたモーツアルトに音の花束を捧げました

 

          

 

休憩後は待ちに待ったマーラーの交響曲第5番嬰ハ短調です マーラーは、交響曲を書くにあたって、第1番は純器楽で、第2番”復活”、第3番、第4番は声楽を入れて作曲しましたが、この第5番は再び純器楽で作曲しました どういう心境の変化があったのか分かりませんが、後にいくにしたがって曲が巨大化していきます そして、第6番、第7番も純器楽で作曲し、第8番”千人の交響曲”で再度声楽を取り入れますが、第9番はまた純器楽に転じています 「交響曲とは『使えるだけのあらゆる技法的手段を用いて、一つの世界を構築することである』」と定義するマーラーにとっては、人間の声も一つの『技法的手段』に過ぎないのでしょうから、声楽が入っていようがいまいが、あまり重要ではないのかも知れません

第1楽章は独奏トランペットによって「葬送行進曲」のテーマが奏でられます これは明らかにベートーベンの第5交響曲”運命”の冒頭のテーマ「ジャジャジャジャーン」の変形です。大作曲家マーラーにとってもベートーヴェンは超えなければならない巨人だったのでしょう このトランペットの演奏はこれから始まるドラマの幕開けに相応しい素晴らしいもので、このコンサートの成功を確信させるに十分な演奏でした ダウスゴーは大きな身体を使って、ダイナミックに新日本フィルの面々から持てる力を引き出します 金管楽器では、オーボエの古部賢一、クラリネットの重松希巳江、ファゴットの河村幹子、ホルンの吉永雅人といった首席クラスの演奏が冴えわたっていました 彼らは時に応じて楽器の先端を持ち上げて演奏(ベルアップ)していましたが、これはマーラーの指示をダウスゴーが忠実に守っていたからです

第2楽章の嵐のような激しい音楽を経て、第3楽章のスケルツォに入りますが、この楽章では冒頭からホルンが大活躍します 私が心配していたのは、コントラバスとの位置関係で、ホルンがステージ右サイドに配置されたため音が直接客席の方に届かないのではないか、ということです つまり、ホルンが右サイドで演奏すると、音の出るアサガオの部分が客席側ではなく後ろの壁の方に向いてしまうからです そこはプロの指揮者とプロのオケです。うまく壁の反響を計算に入れて配置したのでしょう。何の問題もなく素晴らしい音響効果で迫力のある音楽が迫ってきました

第4楽章は、ヴィスコンティの映画「ヴェニスに死す」で有名な「アダージェット」です ハープ奏者は第3楽章の後半以降は不安から緊張して落ち着かなかったでしょう 弦楽器とハープとによって夢幻的な音楽が静かに奏でられます こういう音楽にはただ耳を傾けるしかすべがありません 次いで、間を置かずに第5楽章「ロンド・フィナーレ」に移ります。オーケストラの総力を挙げての渾身の演奏が展開されます。フィナーレは圧倒的でした

最後の音が鳴り終わるや否や拍手とブラボーの嵐です 聴衆は熱狂しています。ダウスゴーは新日本フィルから持てる力を十二分に引き出しました

さて、演奏については以上の通り申し分のない素晴らしいものだったのですが、今回も一部の聴衆に不届きな者がいたので書いておきます

マーラーの演奏に入ってからでした。最前列ど真ん中の席の高齢男性が靴を脱いで床に放置し、さらにペットボトルも床に転がして放置していたのです この事実に気が付くのは同じ最前列の数人と2階席前方の聴衆くらいしかいませんが、すごく目立ちます 何しろ指揮台のすぐ下の席ですから 指揮者を見ようとしても靴とペットボトルが目に入ってくるのです。コンサートの雰囲気が台無しです 「あなた、人間やめた方がいいんじゃないの 少なくともコンサートには来るべきじゃないんじゃないの」と言いたいところです。幸か不幸かご夫婦でお出でだったようなので、奥さまには、ご主人の靴が足から離れないように靴ひもをキツク縛っておくようお願いしたいと思います まさか、定期会員にこんなだらしのない人はいないと思いますが、困ったものです

 

          

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 梅田俊明+日本フィルでドヴ... | トップ | 原節子主演「女であること」... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事