27日(木).わが家に来てから今日で1030日目を迎え,専門職で年収の高い人を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」を条件付きで容認する方針転換を巡って混乱していた連合の執行部が,高プロの政府案の修正に関する「政労使合意」を見送る方針を固めたことが,関係者への取材でわかったという日経の記事を見て感想を述べるモコタロです
結局「残業代ゼロ法案」だから使用者側に有利だ 越後屋 おぬしも悪よのう
昨日,夕食に「麻婆茄子」「生野菜とサーモンのサラダ」「冷奴」を作りました 後述の通り,都響のコンサートを3時半開始の公開リハーサルから聴くため,午前中に作りました 夜にコンサートがある時は,いつもは出かける直前に作っています
昨夕,ミューザ川崎シンフォニーホールで東京都交響楽団の「ヤクブ・フルシャの『わが祖国』」公演を聴きました これはフェスタサマーミューザの一環として開かれたコンサートです.プログラムはスメタナ:連作交響詩「わが祖国」全6曲=「高い城」「モルダウ」「シャールカ」「ボヘミアの森と草原から」「ターボル」「ブラニーク」です スメタナは1874年から79年にかけて演奏順に作曲しましたが,第1曲を書いている最中に難聴になり,第2曲以降の作曲に当たっては完全に聴力を失った状況で作曲を続け完成しました
指揮は1981年チェコ生まれのヤクブ・フルシャです フルシャは都響の首席客員指揮者のほか,バンベルク響首席指揮者,チェコ・フィル常任客演指揮者,フィルハーモニア管客演指揮者も務めています
午後7時からの本番に先立って,午後3時半から本番と同じホールで公開リハーサルが開かれました 楽員への指示は英語で行われます.楽員はそれぞれ指摘事項を楽譜に書き込んでいきます.楽員は演奏力とともに英語を聴き取る力も必要なようです フルシャは第1曲から順番に要所を選んで演奏し,注意事項を告げてやり直し,次にいきます.見ていて小気味が良いくらいです 第5曲「ターボル」を演奏する時は,楽譜に挟んであった絵葉書を取り出して「これがターボルです」と客席に見せました.ターボルはプラハの南100キロのところにある街の名前です 最後の「ブラニーク」のリハーサルを終えたのは4時15分.何と「最長2時間」と書かれていた公開リハーサルは45分で終了しました 私がこれまで聴いたフェスタサマーミューザのリハーサルの中で最短時間でした 都響のメンバーの力量を普段から把握している首席客員指揮者としてはこれで必要且つ十分なのでしょう 個人的には本番まで時間が余り過ぎて困りましたが,こればかりは仕方ありません
さて本番です.楽員が配置に着きます.オケは左から第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,チェロ,ヴィオラ,その後ろにコントラバスという,いつもの都響の編成です 2台のハープが左右に分かれてスタンバイしています.コンマスはソロ・コンマスの矢部達哉,ヴィオラ首席には読響ソロ・ヴィオラ奏者の柳瀬省太がスタンバイしています.都響さん,レンタルしましたね
フルシャが登場し指揮台に上がりますが,譜面台がありません しかし,フルシャはメガネをかけています 譜面を見ないで指揮をするのになぜメガネが必要なのか? 彼はタクトとともに,もう一つのタクト,つまりアイコンタクトによって指揮する方法を選んだのです
フルシャのタクトで第1曲「高い城」の演奏に入ります 「高い城」とはプラハのモルダウ河畔に建つヴィシェフラト城のことです.かつてボヘミア王国国王の居城でしたが,戦乱により廃墟になっています 冒頭,左右に分かれたハープが交互に古城を表す竪琴のテーマを奏でます このテーマは全曲を通して繰り返し演奏されます.ハープに続いて管楽器が入り,次いで弦楽器の分厚い演奏が続きます.この時点で,やっぱり都響の弦楽セクションは凄いな,と思います
第2曲「モルダウ」は,プラハ市内を蛇行するモルダウ河や沿岸の人々の営みを音楽によって描写しています 冒頭,2本のフルートとヴァイオリン・セクションのピッツィカートによってモルダウ河の源流が表現されますが,このフルートが素晴らしかった 何度聴いても感動的な曲です
第3曲「シャールカ」は,チェコの伝説を題材とした音楽ですが,シャールカとはプラハ北東の谷の名前で,チェコの伝説の英雄的女性の名前です 弦楽器の気迫がダイレクトに迫ってくる渾身の演奏が展開します 中盤でのクラリネットの演奏が素晴らしく,フィナーレの畳みかけは,会場の天井が抜けるほどの迫力でした
ここで20分間の休憩に入ります.1階ロビーでたむろしていると,見たことのある高齢男性が近づいてきて「お久しぶりでした.相変わらずお元気そうですね」と挨拶してきました.昨年,この「フェスタサマーミューザ」でたまたま隣り合わせになった人でした お互い名前も知らないのですが,懐かしさで思わず握手をしました.彼は,自席の通路を挟んで斜め後ろの席にいることが分かりました.2年連続で近くの席を取るって不思議です 何か縁があるのでしょうね.お互いにセット券を取っている関係で同じ席で数公演を聴くことになるので,また今日もお会いすることになるでしょう
プログラム後半は第4曲「ボヘミアの森と草原から」でスタートします この曲はスメタナが少年時代を過ごした地方の美しい思い出を描いた音楽です.冒頭近くでの弦楽器の弱音による演奏が印象に残ります
第5曲「ターボル」は街の名前ですが,15世紀のチェコの歴史的人物ヤン・フスの死後,フス団を結成した人々の雄姿を描いた音楽です 振幅の大きな音楽が管弦楽によって描かれます そして,「ターボル」のフィナーレの曲想をそのまま引き継いだ第6曲「ブラニーク」が演奏されます.ブラニークとは山の名前です.フス団の戦士たちはボヘミアを救おうとこの山の麓に隠れ,そこで立ち上がり,勝利を収めたという内容です
この曲では中間部でのオーボエ首席の広田智之の演奏が抜群に上手かったのが印象に残ります そして,フィナーレの躍動感あふれる演奏は,都響の総力を結集した渾身の演奏でした
演奏が終わり何度もカーテンコールが繰り返され,フルシャがステージに呼び戻されましたが,その嬉しそうな表情を見ながら,都響はフルシャの「わが祖国」でこの音楽祭に勝負を懸けてきたな,と思いました N響と読響の「脱クラシック路線」と比べれば明らかです 都響は真っ向勝負で臨み,その目論見は成功しました これによって都響の定期会員は増えるかも知れません
なお,この曲を聴くにあたり,ラファエル・クーベリック指揮バイエルン放送交響楽団によるCDで予習しておきました
昨日のブログに,東京シティ・フィルのコンサートで「竹山愛さんがフルートを吹いていた」と書きましたが,読者のともさんから「竹山さんではなく,客演奏者だった」旨のご指摘がありました ともさんの指摘ですから間違いないと思います.しかし,ともさんもいろいろ調べて下さったようなのですが,誰が吹いていたのかは不明であるとのことでした したがって,「フルートは客演奏者が吹いていた」と訂正させていただきます.定期会員でないと 時にこういうミスが出ますね.反省して再発防止に努めたいと思います
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