人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ジャン=クリストフ・スピノジ ✕ HIMARI ✕ 新日本フィルでヴィエニャフスキ「ヴァイオリン協奏曲第1番」、ヴェルディ:歌劇「運命の力」序曲、ビゼー「カルメン組曲」第1番、第2番から5曲ほかを聴く

2023年11月11日 00時16分55秒 | 日記

11日(土)。わが家に来てから今日で3224日目を迎え、ロシアのぺスコフ大統領報道官は9日、プーチン大統領が国民から質問などを受けるテレビ番組「直接対話」と「大記者会見」を、年内に合同で開催すると明らかにしたが、プーチン氏は来年3月の大統領選での当選が確実視されており、政権の安定を国内外にアピールする狙いとみられる  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     プーチンのやる事だ 役者を雇ってシナリオ通りに質問させて得意げに答えるんだろ

 

         

 

昨日の夕食は焼肉にしました 牛カルビと牛タンです。洗い物を少なくするため肉と生野菜サラダをワンプレートに乗せました

 

     

 

         

 

昨日、すみだトリフォニーホールで新日本フィル「第19回クラシックへの扉」定期演奏会を聴きました プログラムは①ロッシーニ:歌劇「アルジェのイタリア女」序曲、②ヴェルディ:歌劇「運命の力」序曲、③ヴィエニャフスキ「ヴァイオリン協奏曲第1番 嬰へ短調 作品14」、④ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」より「前奏曲と愛の死」、⑤ビゼー「カルメン組曲」第1番・第2番から5曲です 演奏は③のヴァイオリン独奏=HIMARI、指揮=ジャン=クリストフ・スピノジです

指揮をとるジャン=クリストフ・スピノジはフランス・コルシカ生まれ。ヴァイオリニストでもある彼はフランスで「アンサンブル・マテウス」を創設し、パリ・シャトレ座をはじめヨーロッパ各地で演奏活動を展開しています 新日本フィルとは2010年以降、共演を重ねています

 

     

 

HIMARI人気もあってか、この日の公演は文字通り満席です

オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの新日本フィルの並び コンマスは西江王子、隣はアシスタント・コンマスの立上舞です。チェロのトップには東京フィルの服部氏が客演しています

1曲目はロッシーニ:歌劇「アルジェのイタリア女」序曲です この曲はジョアッキーノ・ロッシーニ(1792-1868)が1813年にヴェネツィアで初演したオペラの序曲です

スピノジの指揮でゆったりした序奏から開始されます。オーボエの岡北斗をはじめ木管楽器群が素晴らしい 次第にテンポアップしていき、最後には「ロッシーニ・クレッシェンド」(短いフレーズを繰り返しながら音量を増大させていく)による躍動感溢れる演奏で大々的に締めくくられました こういう軽快な演奏を聴くと、やっぱりロッシーニは爽快でいいなあと思います

2曲目はヴェルディ:歌劇「運命の力」序曲です この曲はジュゼッペ・ヴェルディ(1813ー1901)が1862年にサンクトペテルブルクで初演したオペラの序曲です

荘重な3つの和音から開始され、弦楽器が渾身の演奏を展開しますが、スピノジは速めのテンポでグイグイ押していきます 悲劇的なテーマの部分ではマルコス・ペレス・ミランダのクラリネット、野津雄太のフルートが良く歌います キビキビした無駄のないテンポがこのオペラの悲劇性を一層際立たせていました

3曲目はヴィエニャフスキ「ヴァイオリン協奏曲第1番 嬰へ短調 作品14」です この曲はポーランドの作曲家ヘンリク・ヴィエニャフスキ(1835-1880)が18歳の時=1853年に作曲しました  第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「ラルゲット」、第3楽章「ロンド:アレグロ・ジョコーソ」の3楽章から成ります

ヴァイオリン独奏のHIMARIは2011年生まれの12歳 2022年に難関名門校のカーティス音楽院に最年少で合格、アメリカと日本を中心に活動しています 第15回リピンスキ・ヴィニャフスキ国際ヴァイオリンコンクールで史上最年少で優勝したのをはじめ、出場したすべてのコンクールで1位を獲得しています またザルツブルク音楽祭に史上最年少で出演しました

舞台から指揮台が取り除かれます これはスピノジがソリストのHIMARIの身長(日本の学校で言えば小学6年生!)を考慮して採られた措置だと思われます

オーケストラによる長い序奏に続いて、HIMARIの独奏ヴァイオリンが入ってきます 相当の超絶技巧曲ですがHIMARIは確かな技術の裏付けを背景に難なく弾き続けます 終盤のカデンツァは鮮やかでした 第1楽章が終わった段階で、会場のそこかしこから拍手が湧き起こりましたが、ソリストの素晴らしい演奏に対する素直で自然な反応のように思いました 第2楽章は作曲者が「祈り」とタイトルを付けた通りの、静謐で美しい音楽が静かに奏でられました 第3楽章は一転、舞曲のリズムに乗って独奏ヴァイオリンが超絶技巧で天翔けます 全曲を通して、オケはクラリネット、オーボエなど木管楽器群を中心にソリストを引き立てました

文字通り満場の拍手にHIMARIは、J.S.バッハ「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ短調 BWV.1003」から第3曲「アンダンテ」を切々と演奏、聴衆を黙らせました

休憩時間にパトロネージュ部の登原さんと立ち話しましたが、登原さんが「HIMARIさんは、ヴァイオリンがヴィオラみたいに見えますね」と言われたので、ちょっと驚きました というのは、私もそのように感じたので、プログラム・ノートの余白に「VnがVaに見える」とメモを書いていたからです 12歳の少女が大人用のヴァイオリンを弾いていると、楽器が相対的に大きく見えて、まるでヴィオラを弾いているように見えるのです

 

     

 

プログラム後半の1曲目はワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」より「前奏曲と愛の死」です この楽劇はリヒャルト・ワーグナー(1813-1883)が1857年から59年にかけて作曲、1865年にミュンヘンで初演されました 「前奏曲と愛の死」はこの作品の始まりと終わり(第1幕への前奏曲と第3幕の終結部)を組み合わせて演奏するものです

スピノジの指揮で演奏に入りますが、冒頭の「トリスタン和音」が鳴り響いた瞬間からワーグナーの世界に引きずり込まれます これほど不安定で官能的な音楽も珍しいでしょう スピノジはゆったりしたフレーズから、次第に盛り上げていきクライマックスで爆発させるまでの緩急の付け方が見事です この曲ではオーボエ、クラリネット、フルートをはじめ、ファゴット、バスクラリネットといった木管楽器群が大活躍しました

最後の曲はビゼー:「カルメン組曲」第1番・第2番から5曲です この曲はジョルジュ・ビゼー(1838-1875)が1873年から翌74年にかけて作曲したオペラを組曲として編んだものです この日演奏されたのは第1組曲から「前奏曲」「アラゴネーズ」「間奏曲」「セギディーリャ」、第2組曲から「ジプシーの踊り」の計5曲です

拍手の中、スピノジが指揮台に上りますが、オケに振り向きざまにタクトを振り降ろし、「前奏曲」を高速テンポで開始しました これを見て、彼はカルロス・クライバーを意識しているのではないか、と思ったりしました 80年代に神奈川県民ホールでクライバーがバイエルンのオケを振ってアンコールにJ.シュトラウス2世のポルカ・シュネル「雷鳴と電光」を振った時、まさに 振り向きざまにタクトを振り降ろしたことを思い出しました そういえば、スピノジは指揮台の上で踊るように指揮をしていましたが、これもクライバーを意識しているのかもしれません 「アラゴネーズ」ではオーボエとフルートが冴えた演奏を繰り広げていました 「間奏曲」はハープの伴奏に乗せて野津のフルートが優しく美しいメロディーを奏でました フルート奏者なら誰もがこの曲を演奏したいと思うのではないかと想像します 「セギディーリャ」ではオーボエとトランペットが素晴らしい演奏を展開しました 最後の「ジプシーの踊り」では弦楽器、金管楽器、打楽器総動員によるアグレッシブな演奏が繰り広げられました 私は演奏を聴きながら、数年前にMETライブビューイングで観たエリーナ・ガランチャのカルメンの歌と踊りを思い出していました

満場の拍手にスピノジは、「アンコールに『前奏曲』冒頭部分を演奏しますんで、皆さんは手拍子で参加してくださいましまし」てなことをアナウンスして、威勢よく演奏を開始し、客席の方に向き直って手拍子を催促、聴衆はウィーン・フィルの「ニューイヤー・コンサート」における定番アンコール曲「ラデツキー行進曲」さながらの「聴衆参加型アンコール」に見事に乗せられ、嬉々として手拍子に興じるのでした これはもう山本リンダ状態です。もうどうにも止まらない スピノジは演歌テナー、もとい、エンターテナーに違いない 「音楽は音を楽しむと書く」ということを絵に描いたような、実に楽しいコンサートでした

 

     

コメント
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