人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ブレイディみかこ著「ヨーロッパ・コーリング・リターンズ」を読む:2014年 ~ 2021年の混迷するイギリスの姿を地べたからの視点で捉えたポリティカル・レポート

2022年02月10日 07時14分31秒 | 日記

10日(木)。昨日のブログでご紹介した「スリー・グッド・シングス」を昨夜やってみました その日に起きた良いことを3つ書き出します。①朝、日経の代わりにM紙がメールボックスに入っていたので電話して日経を届けてもらった結果、朝日、日経、M紙の3紙を読むことができたこと、②470ページあるブレイディみかこ著「ヨーロッパ・コーリング・リターンズ」を6日間かけてやっと読み終えたこと、③東京都交響楽団から2022年度の年間チケットが送られてきたことーの3つです なお ③については、新年度の会員継続(変更)手続きをしたのに まだチケットが届いていないのは読売日響と東京シティ・フィルです

ということで、わが家に来てから今日で2588日目を迎え、Spotifyの超人気番組「The  Joe  Rogan  Experience」でコロナウイルスの誤情報を拡散し、人種差別的な暴言を吐いたとして非難の矢面に立たせられているローガン氏は5日夜に謝罪したが、トランプ前大統領は「フェイクニュースや頭のおかしい極左の連中に謝罪するのはやめるべきだ。どれだけ表現を変えて謝罪すれば気が済むんだ? ジョー、自分の得意なことに専念しろ、奴らのせいで腰抜けだと思われてはいけない。君はそんな人間じゃないし、この先も違う」と怒りを露わにした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     どんなに悪事を働いても絶対に謝罪しないトランプには 一般人の常識が通用しない

 

         

 

昨日、夕食に「もやし巻き豚肉生姜焼き」「生野菜とツナのサラダ」「舞茸の味噌汁」を作りました 「もやし巻き~」で下に敷いているのはブロッコリースプラウトです 豚肉と相性が良くて とても健康に良いです

 

     

 

         

 

ブレイディみかこ著「ヨーロッパ・コーリング・リターンズ 社会・政治時評クロニクル  2014-2021」(岩波現代文庫)を読み終わりました ブレイディみかこ は保育士の傍らライター・コラムニストとして活躍。1965年福岡市生まれ。1996年から英国ブライトン在住。2017年「子どもたちの階級闘争ーブロークン・ブリテンの無料託児所から」で新潮ドキュメント賞を受賞    2019年「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」で毎日出版文化賞特別賞、本屋大賞ノンフィクション本大賞などを受賞 ほかに「女たちのテロル」他、著書多数あり

 

     

 

本書は、ブレイディみかこ「ヨーロッパ・コーリング ー 地べたからのポリティカル・レポート」(2016年、岩波書店版)から再録されたものに、同書刊行以降に執筆された記事を大幅に加え、文庫オリジナル版として新たに編集されたものです

本書を読んで、自分がいかに英国の実態を知らなかったかを思い知らされました ”鉄の女”マーガレット・サッチャーから引き継がれてきた新自由主義的政策と財政緊縮策のお陰で英国は政治的にも経済的にも結構うまくやっていると思っていました しかし、実際にはその緊縮政策により、ロンドン市内の住宅はミドルクラスにも手が出ないほど高騰する一方で、2000年代後半から子供の貧困率が上昇し、生活保護の打ち切りによる餓死者も出て、労働者階級からも落ちこぼれる「アンダークラス」が拡大しているといいます

2018年8月に書いた「我慢するな」で著者は次のように書いています

「新自由主義でどんどん政府が小さくなっていくと、社会の末端では政府が存在しないアナーキーな状態になると昔 書いたことがあるが、あれはまだ序の口だった   緊縮は新自由主義の最終進化形だ。こうなるともう、アナーキーどころか人命が失われる。財政というカネの問題が人命より大切になり、財政規律という経文を唱えさせられ、その道しかないと財政支出の削減を受容させられる (中略)『我慢』は道徳的に聞こえるが、闘わない言い訳になる   それは緊縮を進めたい勢力に容易に取り込まれ、利用される。何度も繰り返すが、緊縮は美徳ではない。新自由主義の呼び名が変わっただけの究極の進化形だ

ブレグジットについては、2016年6月に書いた「地べたから見た英EU離脱」の中で次のように書いています

「そもそも、反グローバル主義、反新自由主義、反緊縮は、欧州の市民運動の3大スローガンと言ってもよく、そのグローバル資本主義と新自由主義と緊縮財政押し付けの権化ともいえるのがEUで、その最大の被害者が末端の労働者たちだ だから、『大企業や富裕層だけが富と力を独占するようになるグローバリゼーションやネオリべや緊縮は本当に悪いと思うけど、それを推進しているEUには残りましょう』と言っても説得力がなく、そのジレンマで苦しみ、説得力のある残留の呼びかけができなかったとしていよいよ退任を迫られそうなのがジェレミー・コービン(労働党党首)だ

このようにして、与党の保守党ばかりでなく、野党の労働党の不甲斐なさを斬っています

2019年6月に書いた「格差とシニシズム」ではロンドン市長から英国首相に転身したボリス・ジョンソンについて書いています

「ブロンドのざんばら髪や、だらしなくズボンからシャツを出して歩く姿などから、トランプ大統領と比較されたり、アンチ・エスタブリッシュメント的と勘違いされることのあるジョンソン。だが、実はこの人ほど英国上流階級を体現する人はいない 父方の祖先には英国王ジョージ2世がおり、名門イートン校からオックスフォード大学に進んだ彼は、大学ではかの有名なブリンドン・クラブ(名門私立校出身の超エリート男子しか所属できない排他的社交クラブ)に所属していた 同クラブは上流階級の男子がタキシードで正装し、レストランで酒を飲んでは暴れることを活動内容としていた

これを読んで、「ああ、なるほどね」と思いました。新型コロナウイルスの感染が拡大する中、ロックダウンを実施し国民に外出禁止を強いる一方で、官邸で何度かパーティーを開いていたことが暴露され、現在窮地に立たされているからです なお、EU離脱を国民投票にかけることを決め、投票の結果を受けて辞任したキャメロン前首相もイートン校 ⇒ オックスフォード大学コースで、同クラブのメンバーだったそうです 著者は嘆きます

「王族も通うイートン校からオックスフォードに進んだ首相がEU離脱投票の責任を取って辞めてから3年後、われわれはまた似たような出自の首相を迎えようとしている。エスタブリッシュメントと庶民の意識の乖離が、現在の英国の混迷の元凶と言われているのに、である。もちろんこれは格差の象徴でもある

著者のブレイディみかこさんはジャーナリストでもなければ経済評論家でもありません。子供たちを預かる保育士です いわば社会の底辺を支える”地べたの視点”から英国の政治や経済を見ています それだけに生活に密着した説得力のある文章が迫ってきます

本書は470ページを超える大作で、しかも内容が”固い”本なので読み終わるのに6日間かかりましたが、現在の英国を知るとともに、英国を通して日本の現状を振り返るにあたって示唆に富んだ本です 覚悟を決めてお読みください

         

今日は都内でも雪が降るらしいけど、夜サントリーホールに「読響特別コンサート」を聴きに行きます どうやら2024年末に指揮者を引退する井上道義がショスタコーヴィチ「交響曲第5番」を振るのは今回が最後らしいので、外せません もう1曲のショスタコーヴィチ「ヴァイオリン協奏曲第1番」も服部百音が弾くので、なおさら外せません 幸いホールまでは地下鉄で行くので雪でも影響ありません 転ばないように気を付けねば

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