26日(水).わが家に来てから今日で1029日目を迎え,学校法人「加計学園」の獣医学部新設問題をめぐり,安倍晋三首相が25日午前,参院予算委員会の閉会中審査で,1月20日の国家戦略特区認定まで同学園の計画は知らなかったとの認識を繰り返す一方で,「申請段階で承知をした」とした過去の答弁について「混同があった」と修正し陳謝した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
ますます疑惑が深まった 次の選挙はどこだ? そこで国民の審判が下されるだろう
昨日は「土用丑の日」だったので,夕食は「鰻丼」にしました 中国産は過去に怖い事件があったので,高くても国産にしました
やっぱり国産は美味い
昨日,ミューザ川崎シンフォニーホールで東京シティ・フィル「典雅なるバロック名曲集」公演を聴きました これは「フェスタサマーミューザ」の一環として開かれたコンサートです
プログラムは①ヴィヴァルディ「四季」,②ヘンデル(ハーティ編):組曲『水上の音楽』,③バッハ(マーラー編)「管弦楽組曲」です
①のヴァイオリン独奏=有希 マヌエラ・ヤンケ,管弦楽=東京シティ・フィル,指揮=村上寿昭です
ヴァイオリン独奏の有希 マヌエラ・ヤンケはミュンヘン生まれ.2004年パガニーニ国際ヴァイオリン・コンクールで最高位(1位なしの2位),2007年チャイコフスキー国際コンクール第3位,サラサーテ国際ヴァイオリン・コンクール優勝と,数々の入賞歴のある実力者です 私は数年前に一度だけ日経ミューズ・サロンで彼女の演奏を聴いたことがあります
一方,指揮の村上寿昭は東京生まれ.桐朋学園大学で小澤征爾他に師事.大学在学中からサイトウ・キネン・オーケストラ等で小澤征爾のアシスタントを務めました 1997年に渡独,ベルリン国立芸術大学,ウィーン国立音楽大学で研鑽を積み,オーストリア・リンツ州立歌劇場,ドイツ・ハノーファー州立歌劇場で指揮を取りました.現在,東京藝大,桐朋学園大学の講師を務めています
午後3時の開演に先立って,午前11時30分から本番と同じホールで公開リハーサルが開かれたので見学しました 2階センターブロックで聴きましたが,リハーサルはプログラムに沿って前半にヴィヴァルディの「四季」を,10分間の休憩後にヘンデル「水上の音楽」とバッハ「管弦楽組曲」を一通りさらい,午後1時半に終了しました
楽員はカジュアルな私服でリハーサルに臨みます.指揮者もソリストも私服です 前半のヴィヴァルディは最初から途中で止めることなく さらいました.一通り終わってから,村上氏は何カ所か改善点を指摘しましたが,その場で演奏し直すことは求めませんでした
オケだけではなくソリストを迎えた協奏曲のリハーサルだったので省略したのかもしれません
後半のリハーサルでは本番に向けてちょっとした手直しがありました 1曲目の「水上の音楽」が終わって,バッハの「管弦楽組曲」に移り,弦楽だけによる「アリア」を除いてすべてさらったのですが,聴いていてオルガンの音が大きく,他の楽器の音を消してしまう恐れがありました
この曲の第1曲「序曲」と第2曲「ロンドとヴァディヌリー」は,さながらフルート協奏曲のような曲想なのですが,舞台後方の木管楽器群の中で立ったまま演奏していたフルートの竹山愛さんが,「オルガンの音が大きくて吹きにくいので,オルガンをもっと離してもらうなり何とかしてほしい」と指揮者に求めました
村上氏はコンマスとも相談したようですが,やはりオルガンの音の大きさは気になっていたようで,係り員を呼んで,管楽セクションと同じ台にのっていたオルガンを台から降ろし右下に移動しました
さらに村上氏は竹山さんに指揮者の隣で演奏するよう求め,リハーサルを再開しました
たしかにこちらの方がはるかにフルートの音が良く聴こえます
村上氏の「本番はこれで行きましょう」の言葉で解散しました
こういうことってリハーサルを見ていないと分からないものです
指揮者とオーケストラのメンバーとは,直前までこうしたやり取りをしてベストな環境を整えて本番に臨んでいるのだな,と感心しました
さて本番です.弦楽器奏者が登場し配置に着きます.ヴァイオリン・セクションが左右に分かれる対向配置をとります ソリストの有希 マヌエラ・ヤンケが水色の爽やかな衣装で登場,ステージ中央にスタンバイします
村上氏の指揮でヴィヴァルディ「四季」の演奏が開始されます.彼はタクトを持ちません
この曲は4つのヴァイオリン協奏曲から成ります.第1番ホ長調「春」,第2番「夏」,第3番「秋」,第4番「冬」ですが,それぞれ3つの楽章から成ります
マヌエラ・ヤンケのヴァイオリンは音自体が非常に美しく,ソフトに響きます それもそのはず,彼女の使用楽器は日本音楽財団から貸与されている1736年製ストラディヴァリウス「ムンツ」です
4つの協奏曲のうちで特に印象に残ったのは第2番「夏」の第1楽章でのヴァイオリンとチェロによる二重奏と,第4番「冬」の第2楽章「ラルゴ」での弦のピッツィカートにのせて奏でられる独奏ヴァイオリンの美しい演奏です
演奏後,マヌエラ・ヤンケはコンマス,チェロ首席,ヴィオラ首席,第2ヴァイオリン首席と握手,健闘を讃え合いました 彼女,このオケが気に入ったようです
プログラム後半の1曲目はへンデル(ハーティ編):組曲「水上の音楽」です この曲は,ロンドンのテムズ川で催された英国王ジョージ1世の舟遊びパーティーのために作られた音楽です.この日演奏されるのは,全19曲のうちイギリスの作曲家ハミルトン・ハーティが6曲構成の組曲として編んだ作品です
第1曲「アレグロ」,第2曲「エア」,第3曲「ブーレ」,第4曲「ホーンパイプ」,第5曲「アンダンテ・エスプレッシ―ヴォ」,第6曲「アレグロ・デチーゾ」の6曲からなります
この曲は弦楽器はもとより,管楽器が大活躍します.第1曲「アレグロ」は冒頭ホルンが宴の開幕を告げます 第4曲「ホーンパイプ」ではフルートが活躍しますが,竹山愛さんの演奏はしみじみと聴かせます
そして最後の第6曲「アレグロ・デチーゾ」ではホルンとティンパニが華々しく演奏されます
最後の曲はバッハ(マーラー編)「管弦楽組曲」です バッハは管弦楽組曲を4曲作曲しましたが,ニューヨーク・フィルの音楽監督だったマーラーは1909年に,その第2番と第3番から4曲を抜粋して再構成し,新たな組曲を編み出しました
第1曲「序曲」,第2曲「ロンドとバディヌリー」,第3曲「アリア」,第4曲「ガヴォット」の4曲から成りますが,第1曲と第2曲がバッハの「組曲第2番」から,第3曲と第4曲が同「組曲第3番」から採られています
楽員が再登場し配置に着きます.フルートの竹山愛さんは,リハーサルでの打ち合わせ通り,指揮者の隣にスタンバイします 村上氏の合図で第1曲「序曲」が華々しく開始されます
竹山愛さんは前に出て正解でした.メロディーがよく聴きとれます.演奏は言うまでもなく素晴らしかったです
第3曲「アリア」は,「G線上のアリア」と呼ばれている曲ですが,低弦のピッツィカートにのせてヴァイオリンが穏やかで美しい音楽を奏でます
そして,最後の「ガヴォット」ではトランペットとティンパニが華々しく鳴らされ,気持ちよく曲を閉じます
弦も管も打も,東京シティ・フィルなかなかやるじゃないか,という演奏でした 最後に,村上寿昭氏の指揮を見ていて思ったのは,タクトを持たない指揮の手さばきが師匠の小澤征爾氏にどこか似ているな,ということでした