人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ライナー・キュッヒル,モーツアルトの協奏交響曲でバイオリン弾く~東響第591回定期演奏会

2011年07月17日 07時50分00秒 | 日記
17日(日).昨夕,東京交響楽団第591回定期演奏会を聴きにサントリーホールに行きました.いつも入り口でコンサートのチラシを配っていますが,”今日は随分重いな”と思って数えてみたら何と140枚もありました ”いい重いでになる”なんて洒落ている場合ではありません.まあ,チラシを見るのも楽しみのひとつではありますが

プログラムは前半は1曲目がモーツアルト「交響曲第25番ト短調K183」で,2曲目がウィーン・フィルの第1コンサートマスターのライナー・キュッヒルのバイオリン,東響の主席奏者・西村真紀のビオラによるモーツアルト「バイオリンとビオラのための協奏交響曲K364」です.

1曲目のモーツアルトの交響曲第25番ト短調の第1楽章は,1984年公開の映画「アマデウス」の冒頭で,モーツアルトのライバル作曲家サリエリが自殺する場面で効果的に使われた音楽です.第25番といえば「アマデウス」を思い浮かべるほど人々の心に見事に結び付けられています.指揮者のスダーンはモーツアルトの生誕地ザルツブルク・モーツアルテウム管弦楽団の音楽監督を歴任したこともあるせいか,テンポ感,リズム感が自然でした 第3楽章「メヌエット」でのオーボエの荒絵理子の演奏は素晴らしかった

2曲目の「協奏交響曲K364」では最初から最後までライナー・キュッヒルがその存在感の大きさを見せつけました 最初の出だしからメリハリのある演奏スタイルでストラディバリを駆使して美しいメロディーを奏でていました 西村真紀もよくついていましたが,もう少し前に出ても良かったのではないか,とも思いました.ビオラという楽器の特性でしょうか,遠慮がちに見えました

プログラム後半はシェーンベルクの「浄夜(弦楽合奏版)」です.演奏のためオーケストラの団員が徐々に席に着いていきますが,途中で拍手が起きました.何事か?と思って舞台を見るとコンサートマスターの席にライナー・キュッヒルが座っていました.ウイーン・フィルのコンマスが今日は東響のコンマスを務めるということのようです この曲は弦楽だけで演奏するため,編成が変わります.向かって左から第1バイオリン,第2バイオリン,チェロ,ビオラ・・・とここまではいつも通りです.しかし,コントラバスが舞台中央の後ろの壁に沿って8人が横一列に並ぶスタイルを取っています.かつてブロムシュテットがゲバントハウス管弦楽団を指揮したときに管楽器がいるのにこのスタイルを取っていたのを思い出しました それにしても,弦楽奏者だけ約60名が舞台いっぱいに並んでいるのを見ると実に壮観です

「浄夜」はドイツの詩人デーメルの詩に基づいてシェーンベルクが作曲したもので,当初,弦楽六重奏のために書かれましたが,初演から14年後の1916年にコントラバスを加えて弦楽合奏に編曲されました.「別の男の子供を身ごもった女の苦悩とその子を自分の子として受け入れる男の愛を描いた詩」に基づいた曲です 曲は単一楽章で,デーメルの詩の構造に沿って「月夜ー女の告白ー月夜ー男の告白ー月夜」という5つの部分から構成されています

この曲では各楽器の主席がソロを演奏する箇所がいくつかありますが,キュッヒルはじめ各主席奏者は見事にその務めを果たしました

今日の演奏会はライナー・キュッヒルをヒューチャーしたプログラムだったように思います.そういえば,きょう会場入り口で渡されたチラシの中にキュッヒルのバイオリン・リサイタルのチラシが入っていたのを思い出しました.この道のプロはしっかり,いや,ちゃっかりしていますね

下の写真は東京交響楽団のプログラム最新号の表紙ですが,解説によると,この絵は「Noctune」と題するシェーンベルクが描いた絵だそうです.彼は一流の画家でもあったようですね


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