人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

パク・へユン、バイオリン・リサイタルを聴く

2011年07月28日 07時34分33秒 | 日記
28日(木)。昨夕、紀尾井ホールで韓国のバイオリニスト、パク・へユンのリサイタルを聴きました 彼女は1992年ソウル生まれといいますから、まだ若干19歳。4歳のときにバイオリンを弾き始め、9歳でソウル・フィルハーモニー管弦楽団と共演しオーケストラ・デビューをしました。その後はバイエルン放送交響楽団、シュトットガルト放送交響楽団など世界的なオーケストラと共演しています。2007年にはルイ・シュポア国際コンクールで優勝、さらに2009年には第58回ミュンヘン国際音楽コンクールで史上最年少優勝のほか2つの特別賞を受賞しました

このコンサートは「プロジェクト3×3」という企画の一環で、同じ奏者が東京、大阪、名古屋の3都市で3年続けて公演するというものです。企画した「アマティ」は「同じ奏者を3年連続で聴いて成長を見守ってほしい」として、スタッフが実演を聴いて実力を確かめたうえで、パクのほか、バイオリニストの三浦文彰、ピアニストのリーズ・ドゥ・ラ・サール、同ヤン・リシツエツキの計4人を選んだとのことです

主催者側は「”石の上にも3年”の先行投資だ 利益は、ここで育った演奏家が一人前になった時、マネジメントを引き受けるなどして回収する」と言っているそうですが、素晴らしい考え方です こういう企画は大歓迎です

発表されたプログラムは、ベートーベン「バイオリン・ソナタ第7番」、ワックスマン「カルメン幻想曲」、R.シュトラウス「バイオリン・ソナタ」、ラベル「ツィガーヌ」。伴奏ピアニストはアルメニア生まれのマリアンナ・シリニャンです。

開演にあたり会場にアナウンスが入りました.「パク・ヘユン体調不良により,ワックスマンの”カルメン幻想曲”を取り止め,代わりにシリニャンのピアノ独奏によりリストの「ダンテ・ソナタ」を最初に演奏,そのあとベートーベンを演奏します」.

急な変更でしたが,シリニャンというピアニストの実力を知ることができたのは収穫でした 薄いオレンジ色の衣装で現れた彼女は力強い説得力のある演奏で聴衆を魅了しました

いよいよパク・ヘユンの登場です.薄紫色のドレスで登場,ベートーベンの演奏に入りました.メリハリのある,人に語りかけるような演奏スタイルです.どこが体調不良なのか?と疑うほど素晴らしい出来です

休憩後のR・シュトラウス「バイオリン・ソナタ」は,演奏者より少しだけ年長のときの作品で,作曲者大恋愛中の情熱的な曲です.パクとシリニャンは曲にのめり込むのではなく,冷静な中にも情熱を秘めた表現で作曲者の心の内を描き出しました

最後のラベル「ツィガーヌ」はこの日の白眉でした 前半部分はバイオリン・ソロによる演奏ですが,最初はビオラ,あるいはチェロで演奏しているのかと勘違いするほど,重心の低い深い音楽表現で,バイオリンがビオラに見えたほどです 途中からピアノ伴奏が入ってきて高音部のメロディが出てくるのですが,これも確かなテクニックに裏付けられた表現でフィナーレに突き進みました

この2人は非常に相性がいいのではないか,と思います.拍手に応え,パクの独奏でバッハの無伴奏バイオリン・ソナタ第2番から「アンダンテ」が演奏されましたが,静かで深いバッハの世界が展開され,すっかり魅了されました 来年も再来年も是非このコンビで聴きたいと思いました 

過去のブログでも書きましたが,いま韓国の演奏家に注目しています.同じ女性バイオリニストではシン・ヒョンス.8月13日の東京交響楽団オペラシティ定期演奏会で,来日不可となった演奏家の代演でストラビンスキーの協奏曲を弾きます.彼女の演奏が聴けるようにしてくれた来日出来なくなった演奏家に感謝します

    
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