今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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ローライ35系の巻

2022年03月08日 13時40分00秒 | ブログ

すみません、ローライ35系の作業が続いているのと私的に事情がありまして、時間的な余裕がないためしばらくUP間隔は長めとさせて頂きます。で、この個体はシャッター羽根が閉じていませんね。

 

原因はこれでしょうね。シャッター羽根のピポット部分が錆びています。水気でも入ったか・・

 

本体側にも腐食の汚れが付いていますので清掃します。

 

 

今回の個体はすべてドイツ製ですが、ドイツ製はファインダーがプリズムでアイビースもシンガポール製とは設計が異なりますが、とにかく古いですから傷以外に樹脂の劣化が目につきます。

 

この個体はCdsが不良でメーター針が中央から左側に下がらなくなっていました。この場合はCdsを交換する以外にありませんので交換しました。

 

左側がドイツ製の殆どに使われているCdsで、黒のマスクがあります。右側は以後のタイプで、一般的なパターンが見えるタイプです。受光窓を覗くと、どちらのタイプが使われているか見えます。黒タイプは不良が多くなっています。

 

底部のカバーですが、長い引っかき傷がありますね。工数には入っていませんが目立つのでタッチアップをしておきます。

 

まぁ、夜目遠目です。

 

 

この個体はレンズの後玉のホルダー部分が腐食気味です。

 

 

背面の化粧ネジは社外です。うちでも試作してありますが、旋盤の挽目は純正品は非常にきれいで再現が難しいです。その他、レバーアテが欠落していますので取付けておきます。

 

角をへこませている個体も多いですね。こちらも工数には入っていませんが、出来るだけ修正をしておきます。

 

この個体は露出計の指針の動きが不安定です。良くあるのはメーター窓左の導通確保ネジが緩んでいるケース。この個体の場合は電池室の接点不良でした。

 

スプロケット軸に嵌っている巻き戻し用のクラッチの動きが固着気味です。これは意外に多い症状です。分解洗浄のうえ注油で組み立てます。

 

本体側とシャッターユニットの連動です。

 

 

この個体は使い込まれて疲労していて、上手でない分解を受けています。化粧ネジは傷だらけ。巻上げレバーをゆっくり戻すと途中で止まります。リターンスプリングが弱いとカム部分で止まる症状が出ますが、この個体の場合はテンションが弱い組立とギヤの噛み合いのタイミング間違いが原因でした。

沈胴ロック解除ボタンが飛び出し気味で締め込んでも絞まりません。原因は部分のカシメが甘くなって空転しているからでした。過去の分解で無理な負荷を掛けたようです。再カシメをして組み立てます。まぁ、やればやるほど色々な症状が現れますね。しばらくローライ35系をやっていますが、UPは少なめにします。

 

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PEN三兄弟の巻き(その2)

2022年03月02日 13時40分00秒 | ブログ

PEN-Wについては普通のPEN-Sと同じなので割愛。ダイヤルカバーがクラックが入っているように見えましたが・・

 

じつはすでに欠けていて接着をされているのでした。再接着をしておきましたが、PEN-Sジャンクより調達交換された方が良いかと思います。

 

で、最後は長男ですかね? 三光PEN #1100XX ですが、初期型の特徴を持っている個体で、基本的には消耗はしておらず外観のへこみやメッキの劣化は少ない個体です。ただし、どこから出て来たのかなぁ? 現役で保存されて来た個体ではないですね。内部は塗装面にも大量のカビが発生しています。良い機会なのでここでお話をしておきますが、一般的にオーバーホールは機能の改善をすれば良いのであって、外観や内部の洗浄、清掃は私の拘りと好意で行っているものですから工数計算には入っていません。基本的には清掃はオーナーさんが行って頂くものと考えています。

裏蓋側もすごいことになっています。

 

 

ファインダーブロックの樹脂は深層まで材質の劣化があって、軽く研磨をしても白化した部分は取り除けません。この個体は留めネジの1本が折れていますが、そもそも正規のネジではありません。M1.7のところM2.0を強引にねじ込もうとして折っているのです

初期のPENはスプロケット軸、スプール軸などを留める下側のナットのスリ割りが非常に狭く、また、経年により強く固着をしていますので緩まないことが多いです。無理をするとナットを傷にしてしまいます。この個体の場合は逆に上側から緩めることにしました。

シャッターは予想通り殆ど消耗していません。洗浄組立と注油で問題ありません。

 

 

裏蓋を洗浄していましたら、三脚ネジが緩んできました。ここは左ネジになっています。

 

覚悟はしていましたが、問題はレンズです。PEN系は後玉の曇りが持病です。赤木圭一郎の「霧笛が俺を呼んでいる」状態で、このままでは濃霧の写真しか撮れません。

 

撮影できないカメラでは仕方ありませんので研磨をしました。実像を確認しましたが、ちゃんと写ります。後年のPENから移植しても良いかと思いますが・・

 

内部もきれいに清掃してあります。圧板もきれいです。

 

 

ファインダーはピカピカに研磨をすると時代が無くなってしまい違和感が出ますので、敢えて軽く磨いてあります。その他、駒数ガラスも研磨をしてあります。

 

初期に付属した乳白のレンズキャップも貴重です。使われていない個体ですのでピントリングやシャッターリングの劣化も無く、素晴らしい外観の三光PENとなりました。

 

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