今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

茶暮れさんのSEIKO 5 ACTUSの巻

2015年12月18日 21時46分26秒 | ブログ

以前に茶暮れさんにお譲りをしたセイコー・アクタス6106-8660が戻って来ました。すでに一度、穴石の脱落で修理に戻ったことがありましたが、今度は文字盤の取付け足が折れてしまったようです。自転車通勤ですから振動が原因でしょうかね。古い精密機械ですから、いろいろ出て来ますね。

2つの足の両方とも折れて文字盤が回ってしまう状態でした。シルバーの文字盤でしたら代用できるのですが、やはりこのブルーがお気に入りなので・・

 

歩度もだいぶ遅れ気味ですので各部の注油をして様子を見ます。天真への注油はカレンダーの曜車を外してから・・

 

ダイヤショックのバネはピンセットでつまむと、ピンッと飛んで行ってしまう危険性があるので、ロディコ等でくっつけて取ります。

 

機械とスペーサーは接着で文字盤は両面テープ固定とします。ケースも洗浄してあります。

 

針をつけて文字盤とのクリアランスを確認します。

 

 

いかにも70年代の鮮やかな文字盤が特徴ですね。また、元気で活躍できるでしょう。

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遅れて来たPEN-Wの巻

2015年12月11日 17時49分00秒 | ブログ

その前に。。最近PENのご依頼が減っていまして暇にしています。O/Hをご予定の方はよろしくお願いします。で、暇の間にセイコーのクロノグラフの部品を収集しています。スピードタイマー6138-0030は海外でも定番の人気モデルです。状態の良いものは福沢諭吉10枚を軽く超えますので手が出ません。安めのものを入手すると画像のように水入りだったりします。この手の時計をオークションに出品される方が裏蓋を開けていないはずがないので騙されましたね。そこで、別の6138Bを用意してありますが、文字盤は残念ながら状態が悪く、アフターパーツを手配中です。部品が揃ったら作業をUPする予定です。しかし、巨大なケースです。

ネットから内緒で画像を拝借してきました。海外でもKAKUME(角目)と称してコレクターズアイテムです。うん、きれいですねぇ・・こんなにきれいには出来ませんけどね。

 目の玉が飛び出しそうに高価な純正の風防ガラスを仮にセットしてみました。すると、周りのベゼルとブルーのTACHYMETERのキズが目立ちます。両方ともアフターパーツは存在しますが、純正の品質までは再現出来ていないし、何よりなるべくオリジナルで組みたいですからね。ちょっと思案・・

で、本題。遅れて来たPENマニアさんから、またまたコンパクト系のPEN-Wが来ました。付属の取説が目当てだったとのことです。

 

残念ながら、取説は付属してこなかったので、メール画像をUPします。PEN-Wの取説は他のモデルと合本なんですね。単独の取説は私は見た記憶がありませんが・・

PEN-Wの場合は、まずレンズをチェックします。曇りとカビがありますね。幸い見にくいバルサム黄変まではいっていないという状態。

 

基本的にシャッターその他の部分をO/H?されている個体ですけど、あまりお上手ではない印象ですね。ファインダーは何故か前面ガラスのみを分離している(意味がない)が、両端がバリバリに割られて寸法が短くなっている。要するに・・言わない。

距離リングの3本のイモネジのうち1本が規格外の太いものが無理にねじ込まれていると・・ねじ山壊しているなぁ・・

 

スリ割りの半分が欠落しているのでやっと分離しました。無理にねじ込んで折ってしまったと。

 

後群の絞り側のコーティングが痛んでいますが、もっとひどいのが多いですから仕方がないレベルです。

 

良く写っていなかったのですが、前群がいけません。曇りが大きいです。

 

 

バルサムもかなり黄変していますね。

 

 

2枚張り合わせのバルサムが変色しているのが分かります。本来は分離をして再接着が良いのですが・・

 

シャッターは羽根が開いた状態で止まってしまう。分解は受けているのですがね。

 

長くなるので割愛。すでにシャッターユニットは完成しています。

 

 

ピントリングのイモネジは雌ネジが破損したので大きなネジを締め込んだのではなく、単純に紛失したので苦肉の策だったようです。痛んだ雌ネジを修正して本来のM1.7で締めておきます。

 

組立完成。裏蓋内部は汚れが目立ちました。圧板の腐食を磨いてモルトを貼って終了。

 

遅れて来たPENマニアさんが送ってこられた個体のうちでは、残念ながらレンズは一番良くなかったかなぁ・・。着実にコレクションを増やしていますね。

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委託品を入手されたPEN-FT(B)の巻

2015年12月04日 21時07分15秒 | ブログ

何だか、久しぶりにPENに戻って来たような気がしますね。この個体は、有名中古屋さんの委託品だったPEN-FTブラック #2757XXです。結構ラフに使い込まれた印象の個体で、トップカバーがヨレヨレにへこんでいます。ご依頼にはないですが、ちょっと手を入れておきますか・・

なるべく修正をしてみました。歪はありますよ。画像の撮り方で見え方が変わります。そこで、色入れの塗料が劣化をして、上から艶消し白をタッチアップされています。FTの色入れ塗料は完全な艶消しではなく半艶です。また、経時により白は若干黄ばみを帯びているのが普通です。

そこで、すべての色入れをやり直しておきました。

 

 

本体は分解歴があって、露出計ユニットは基板別体タイプに交換されています。

 

ギヤ受けのネジロックが外されているということは・・

 

 

シャッターユニットとシャッター幕も分離されていると・・

 

 

シャッターバネのテンションを上げているようです。ネジロックに注意。疑問は、シャッターバネが変更前の条数の少ないタイプが付いています。早い個体は23万台でも変更後のタイプとなっており、27万台では、ほぼ間違いなく変更後が付いているのが普通です。さて?

まぁいいや。本体の洗浄をして、巻上げ関係を組み立てて行きます。

 

 

 シャッターユニット完成。結局この個体はシャッターバネを強く張って、露出計を補修用の基板別体タイプに交換されて、最後はピント調整をされています。たぶんSSでのフルコース修理ではないのかな? ハーフミラーも交換されたかも知れません。全然フルコースになっていないけど・・

 前板関係は特に問題はありませんが、スクリーンが最後期に使用されたツノ無しタイプになっていました。各部の使用部品が何か引っかかるのですね。君は何をされて来たの??

 

前板を留めるネジが変です。中期までのスリ割ネジを使用していた時は、使用個数5本のうち2本(シャッターダイヤル側)は長さが短いネジが使われていますが、後期の+ネジに変わった時点で、すべて長いネジに統一されました。ところが右の2本は完全に短く表面処理も異なりますので明らかに規格外。このネジでトルクを掛けるとねじ山を壊します。また、左の4本も微妙に寸法が違います。なぜ短時間のオーバーホール中にネジを紛失するのか? 私には理解できません。

 付属の38mmは#4050XXと設計変更後のタイプです。すでに分解歴がありますが、ヘリコイドの回転重いとガタのお訴えがあります。両方ともヘリコイドグリスの硬化と抜けが主原因ですので、グリスを入れ換えますが、ガタは構造上、摩耗もあって完全に消すことは困難です。グリスがホワイトグリス以外のグリスを追加されたものか、摩耗によって色が変質しています。

 

 

露出計は補修部品に交換されていましたが、すでに感度低下がありました。なぜか、調整されていたはずのピント調整がずれていました。他の色入れに合わせてタイマーレバーの色入れもやり直して完成。

PEN-FTのカタログ。国内フォーミュラカーの歴史には詳しくないが、黎明期の葉巻型は好ましいスタイル。鈴鹿開催の風景かな? 車体カラーのセンスは良いとは思えないが・・

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