今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

しばらく時計屋さんです

2013年08月21日 23時24分48秒 | インポート

Img_247234 カメラが一段落ですので、作業待ちでした各種の腕時計を片付けてしまおうと始めました。これは私の私物のセイコー・クォーツの鉄道時計です。当時、新品で購入して一度もメンテナンスをしていませんでした。この頃のクォーツユニットは、機械部分にはちゃんと石が使われています。分解して、注油をして行きます。

Img_247462 裏側の受けにも注油をしておきます。

Img_247566 文字盤を取り付けて針を付けます。カレンダーのない時計は、針のタイミングは楽ですが、クォーツの場合は、秒針をインデックスにピタリと止めるのは意外に難しいのです。

Img_247643 この時計(7550-0010)を購入したのは30年ぐらい前だと思います。価格は確か1万円。所有している、ホンダS800のダッシュボードにラリーメーターを模してゴム板で受け(電車の運転席の時計置き)を作って、車から離れる時には取り外せるようにしていました。オープンですからね。流石に、自動車の振動にもビクともせず、正確無比に動いてくれました。文字盤のデガールはプラモデルの流用。

Img_247848 次からは、笹原ペンさんから来ている大量の時計。これはスイスのHEUER(ホイヤー)となっていますが、雑貨時計のような作りなので、安物のユニットが入っていると思いきや。なんとETA製のユニットが入っている本物でした。しかし、残念なことに電池を換えても動いてくれない。パルスは発振していますので、メカ部分に問題があるので、分解して注油をして行きます。

Img_247924 金めっきのETAユニットです。小さいユニットですが、カレンダー機構は瞬時に切り替わる高級なメカ。すべて組み直して、秒針だけ付けてテストをしています。

Img_248271 100円ショップに並んでいそうな雰囲気ですよね。新品の電池を入れて快調に作動しています。

Img_248355 次は、中華ものでしょうか? スケルトンの懐中時計です。地板はETAのように金めっきをされていて高級感があります。眺めていれば、時計の作動原理が理解できる? お勉強時計。メーカーや型番は一切ありません。しかし、程度は悪くはないので、注油とテンプの洗浄をしてあります。

Img_248434 右がケースに入れて完成したスケルトン。左は、オリエントの万年カレンダー付き自動巻き時計。ちょっと大きくて派手ですので、私は腕にはめる勇気はありません。その他、クォーツ時計の電池交換とクリーニングをしています。

Img_248667 これは、大阪のご常連さんから送られて来たセイコーTYPEⅡという普及クラスのクォーツ時計です。7546-8070で1977年製の初期のクォーツですが、ユニットは非常に頑丈で、現在でも、何の問題も無く動いているものが多いです。私も一つ使っています。ケースやベルトには手垢がゴッテリと詰まっていますが、大きな傷や文字盤の劣化はありませんが、風防ガラスには傷があります。

Img_248743 すべて超音波洗浄をして汚れを落としてからケースとベルトを研磨をしてヘアーラインを再生させています。

Img_248964 研磨をしたベゼルに新品の風防ガラスをリングで圧入してからケースに圧入しておきます。

Img_249055 昨日メンテナンスをした鉄道時計のムーブメントと比べてみます。あら、眺めは殆ど一緒ですね。鉄道時計の方は、削り出しのケースの中央に小さな機械が収まっているだけです。しかし、キャリバー№は4550Aで5石ですが、左のTYPEⅡは7546Aで4石です。中央、赤いルビーが入っていないホゾがありますね。

Img_249234 カレンダーを取り去って、ホゾ穴に注油をしておきます。この頃のユニットは、まだまだ手が込んでいて、機械式ユニットと同様な部分が多くあります。

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文字盤と針を取り付けて完成したユニット。電池は、今からすると大きく厚いSR43SWが使われていますが、これでも、以前のSR44SWよりは薄くなっているのです。電池の小型化が進んだことが良く分かります。

Img_249544 ベルトは、磨耗は少なかったですので、ヘアーライン再生で新品のような感じになりましたね。ケースに取り付けて完成です。

Img_249634 セイコー・スポーツマン17の金めっき非防水ケースをO/Hしています。過去に何度かのO/Hを受けていますが、特に大きな磨耗はないようです。超音波洗浄をして行きます。

Img_249766 輪列はスムーズで、ザラ回しも軽く作動します。ガンギ車に注油をして、最後にテンプを取り付けます。

Img_249844 再び命を吹き込んで、元気良く動き始めました。この瞬間が一番楽しいひと時です。

Img_250001 1964年-10月の製造ですから、ちょうど東京オリンピックが開催されていた時ですね。PENで言うとPEN-Wがこの年月の製造個体が多いです。マーベルよりも、ケースが大型化していて当時の流行が分かります。EGP(金めっき)ケースは、消耗が激しく、良好な状態で現存しているものは少ないですが、この個体もかなりキズだらけですが、ラグのめっき剥離は少ないので、研磨で少し見られるようになりました。文字盤は過去の乱暴な分解でキズと変形がありますので、新品と交換したいところ。風防は汎用新品を取り付けています。使用されたEGPモデルは、竜頭がちびているのが普通ですが、これもローレットが摩滅して巻きにくいです。デット部品を探さないと・・ベルトは、当時の定番はチープなカーフのチョコ色でした。やはりこの色が一番似合うと思います。間違ってもワニ革ベルトなどは付けない方が良いですね。

週末は、別の精密部品の組立を依頼されていますので、ブログはUP出来ません。

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