今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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Seiko Sportsmatic 5 DX ブラック文字盤仕様の製作

2013年01月10日 19時40分08秒 | インポート

Dscf034503 北海道のINOBOOさんから新しい指令が来ました。セイコースポーツマチック5DX 25石の文字盤ブラック仕様を作ります。送られて来た個体は7619-9010 1966-9月製のモデルです。外観は、年代相応の使用キズは多いですが、致命的なダメージはありません。風防は黄ばんでキズが多いですね。機械は、作動はしていますが、マイナス165秒/日で、テンプの振り角や片振りのデータが変です。脱進機などに問題がありそうです。

Dscf034602 裏蓋を開けてみます。手垢汚れは付着していますが、それほど多くはないレベルです。パッキンゴムは硬化してカチカチの個体もありますが、弾性は残っています。ケースから機械を取り出します。

Dscf034803 全て分解をして、超音波洗浄をしてあります。この個体は、ハック機能が付いているタイプです。

Dscf034902 輪列を組んで行きます。ピンセット先のガンギ車とアンクルが微妙に変形しているようです。念のため輪列の歯車はすべて交換して組んで行きます。

Dscf035002 さぁっと飛ばしていますよ。カレンダーの日車、曜車を組んで、デッドストック新品のブラック文字盤で組んでいます。隣はオリジナルのシルバー文字盤。ケースは、簡単に研磨してから洗浄をして、日送りボタンを組み込んであります。

Dscf035101 う~ん、こんなところですかね。片振りなしのブラス4秒/日。姿勢差も出ますので、少し進み気味に調整をしておきましょう。

Dscf035201 自動巻き機構と回転錘を取付けたところ。キャリバー7619Aは、回転錘のベアリングは磨耗は少なく、地板に接触はしていません。後は、風防を新品に交換してケーシング完了としますが、風防が到着していませんので今日はここまでです。

Dscf035301 リューターで研磨をしたケースにインナーリングと新しい風防をセットして、ベセルリングを圧入して留めます。

Dscf035401 完成したケースに文字盤に傷が付着しないように注意をしながら、機械をセットしています。新しい防水パッキンをシリコンオイルを塗布して溝にセットします。接合面の腐食は少ないですから、ある程度の防水性は確保できると思います。

Dscf035501

これで完成ですね。となりは先週仕上げた私の普段使いのスポーツマチックです。どちらも搭載している機械は7619Aですが、このシリーズは、ケースや文字盤などの違いにより、多くのモデルが存在します。ブラック文字盤は精悍なイメージでなかなか良いですね。風防は、純正と汎用品ともすでに入手不能のため他機種の流用品を使用しました。計測寸法は微妙に差がありましたが、何とか使用することが出来ました。本来は、文字盤外周のリングは磨きでは無く、ブラック仕上げの可能性が高いですが、今回はシルバー文字盤仕様をそのまま使用しています。PENが作られていた60年代の機械式時計が欲しい方はお問合せ頂ければ製作致します。

http://www6.ocn.ne.jp/~tomys800/