ちょっとブレーク。キングセイコーの歩度調整をしていましたが、2日で+1秒まで詰めましたので良しとしましょう。このケースはワンピースケースで裏蓋は開かないために、画像の位置に歩度調整用のビス孔があります。密閉用のビスを取り付けますが、防水用のパッキンかOリングが風化して無くなっています。とりあえず、ゴムシートからパッキンを作ってビスを取り付けます。
そこでこれもINOBOOさん所有の片耳PENですけどね。トップカバーと巻き上げダイヤルカバーの位置関係がおかしいとのことです。吊環を外して観察していますが、確かに↑のダイヤルカバーとトップカバーの下面が揃っていませんね。しかし、←を見るとダイカスト本体との接合部分は一杯ですから、これ以上はトップカバーは下に下がりません。そもそも、巻き上げダイヤルとトップカバーの隙間も空き過ぎのような気もしますが、三光やこの片耳辺りまでは、このような個体も存在はします。私は、このダイヤルカバーはオリジナルではない気がします。
トップカバーを分離してみると・・・すごい砂ですね。海砂だと思うのですけど、海水浴に行って砂浜にカメラを落としたのかも知れませんね。あれだけ隙間が空いていれば当然ですけど。
カメラを引いて撮影します。砂の他にホコリや油汚れがひどいですね。すべて分解して洗浄します。
すでにシャッターユニットをO/Hして洗浄した本体に組み込んでいます。巻き上げダイヤルのカバーですが、普通に組立てると→のようにカバーと密着せず大きく隙間が空いてしまいます。部品を観察すると、このカバーは後期のオリンパスで製造されていた頃の部品だと思いますね。三光PENの頃は横からの熱カシメでしたが、この片耳PENの頃になると上部からのビス留めになります。しかし、部品自体は肉厚で金型は別のものです。画像の部品は、金型の改良により、非常にシャープな仕上がりとなっています。よって、留めビスの位置が微妙に異なるので、そのまま組むと合わないのです。これは修正をして合わせることになります。
巻上げダイヤルカバーはトップカバーに合わせて位置を修正しています。この頃の駒数ガラスはモールド製ではなく挽き物ですので持病のクラックは起きません。両面を研磨して使用しています。駒数針は三光と同じ金めっき仕様ですね。腐食がありましたので、再めっきをするつもりでしたが、研磨をしたところ▲部分はほぼ良好となったので、このまま再使用としています。針のつまみなどは画像のように腐食が進んでいます。すべて研磨をしてから組み込みます。
この個体はft表示ですから里帰り機ですね。ローレット部分のアルマイト剥離が激しいです。再アルマイトの方法もありますが、メッキと違い再アルマイトはきれいには上がりません(特に彫刻文字のつぶれ)のでローレットの谷部分に堆積するアルマイトの酸化粉を削り取って塗装をします。
タッチアップ塗装をしたピントリング。彫刻文字と絞り指標▼の塗料が劣化していますので、入れ直してあります。三光PENからすでにレリーズボタン、フィルム位置彫刻、巻き戻しダイヤルノブなどの変更点があります。
昨日の台風は近年にない風の強さでした。今日はホンダライフとバイクを見てやりました。またまたブレークタイムをしています。ユニットを入れ替えたペンダントウォッチですが、風防にクラックが多数入っているので交換をします。たぶん中国辺りの組立で、無理にはめ込んだのでしょう。φ20mmの新品の風防です。そのままでは入らないので、画像のようなグラスヒッターという挿入工具を使いますが、この工具を使うと爪でつまんだところが傷になる場合があるのであまり使いません。セイコーの防水モデルの場合は専用にリングを締め込むタイプのSSTがありますので傷を付けることはないのですが。
風防はこのように挿入が出来ました。これで完成ですが、デッドストック品なのでプライスタグが付いたままですね。中身のユニットの価格からしてすごい値段だなぁと思います。
ではカメラに戻ります。コニカC35のブラックとシルバー(アルマイトなのでクロームではない)ですね。これをM6ライカのパンダ仕様にせよ。とのご指示ですねぇ。では始めますよ。
とは言っても、通常の修理とは勝手が違います。一見後ろに写っていたシルバーの個体に見えますが、じつはブラックの個体にシルバーの裏蓋と底蓋を取付けて茶色のシボ革をはがした状態です。↑は、ライカレンズに雰囲気を似せるために赤いボッチを取り付けるため、真鍮のダボを植え込んだところです。以前はボッチに差し込みの突起がありましたので孔加工だけで済んだのですが、今回のボッチは逆のタイプなので、位置決めと接着のためのダボが必要なのです。しかし、このボッチに意味はありません。ただの飾りです。
で、赤ボッチを接着してあります。この部品はいつも支給して頂くのですが、なんの部品でしょうね? 距離の彫刻文字の色を変えています。ライカとは白と黄色の順番が逆のようですがmとftの表示が逆なので・・黄色の色は本当は違うでしょうが、私のところには本物が無いので雰囲気ということで。セルフタイマーレバーですが、今回の2台の製造時期の違いで材質が変更されています。左が真鍮にクロームメッキ、右はアルミのワンパンチにアルマイトです。どっちがどっちだったかなぁ? ブラックに塗装しますので真鍮のものをめっきを剥離して使用します。
シボ革をオリジナルに戻して接着しました。C35はブラックモデルであっても何故かセルフタイマーレバーはクローム仕様となっていますので、めっきを剥離してブラックに塗装してあります。
え~と、ご指示とおりに組立ててみましたがイメージとおりになりましたでしょうかね? M6のパンダとは、トップカバー上のレバーやダイヤルがパンダの目に見えると言うことかな? 良く分かりませんが、ノーマルの個体と比較して、ちょっとインパクトが強くなっているようですね。いつもながらINOBOOさんの想像力と遊び心には関心しますね。これでC35パンダの完成です。9/26