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にゃんこな日々

ネコ風ライフをつらつらと・・・

【観劇】『吉例顔見世興行』

2007年12月17日 | STAGE
『吉例顔見興行』昼の部
第一 将軍江戸を去る 一幕三場
幕末、西郷と勝により江戸城無血開城の約定が交わされ江戸は戦火を免れたが、上野寛永寺で恭順の姿勢を取る徳川慶喜だが、血気に逸るものたちに動かされ一度は決めた水戸への退隠を延期しようとしていた。そんな慶喜を諌める伊勢守の言葉にも耳を貸さず、慶喜との目通りを願いやってきた山岡鉄太郎とも会おうとはしない慶喜に、山岡は怒りを挑発する言葉を聞えるように発し目通りを許されると斬られることも覚悟の上で、慶喜を諌め水戸への蟄居を促す。

なんでもこの作品は昭和になってから創作され、初演されたものだそうで、そのせいか私の抱いていた歌舞伎とイメージが薄く普通のお芝居のように楽しめました。しかもこの物語いいですわ。登場人物が全部男というなんとも男くさい・・・もちろん物語も男くさい物語です(笑)。二幕目の山岡が慶喜を諌める場面は無茶苦茶渋い。これぞ男泣き。キュンときます。

第二 勧進帳
これぞ歌舞伎ってやつですね(笑)。物語は有名なんであらすじは割愛。この話弁慶が主役なのはわかってましたが、まさかここまで義経の出番が少ないとは(笑)。なんかただ弁慶に殴られるだけみたい。しかも弁慶酒飲んで踊っちゃうんですねぇ。知らなかった。ラスト飛び六方で花道を行く弁慶かっこいい。三階で見える花道短いのが残念でしたが、それでも生で観る六方かっこいい!これは何回見ても楽しめるだろうなぁ。機会があればまた生で観てみたい。

第三 義経千本桜 一幕 すし屋
源氏に敗れ追われる身となった平維盛がすし屋弥佐衛門に匿われ弥助と身分を偽りすし屋で奉公していた。ところがそれが頼朝の家臣梶原景時に知られ間もなくこの店へやってくるという。なんとか維盛を逃がそうと考える弥佐衛門だが、悪行三昧で弥佐衛門から感動された息子権太が事の次第を知り、訴人をするために維盛を追う。やがて梶原景時の一行が維盛の首を差し出せと弥佐衛門の元にやってくるが・・・。

この物語いい!維盛を隠居所へ逃がす中盤から終盤にかけての展開はもう最高に面白い。段の名前が「すし屋」ってなんとも間が抜けた名前なんだけど、面白い!もうちょっとネーミングどうにかなんなかったのかって思うくらいです(笑)。畳みかける面白さ。そしてラストは泣けます。マジでウルウルきちゃいました。『義経千本桜』って文楽でもあるんですが、これと同じ「すし屋」の段もあるんだろうか?あるんだったら観てみたいな。

第四 二人椀久
大阪の豪商椀屋久兵衛が遊女松山太夫に入れあげて家運を傾け、家族に座敷牢に閉じ込められ、その後気がふれて町をさまよい水死したと言う実話を元に浄瑠璃、芝居などにされたものの、舞踏版。気がふれて町をさまよう久兵衛が夢の中で愛しい松山太夫と出会い昔を偲んで恋模様を演じる。
というお話なんだそうですが、舞踏ということで、話がわかるようなわからないような・・・(^^; しっとりとした出だしに、さすが歌舞伎の役者さんってこういうのまでやらなきゃいけないんだよなぁ、手の動きとか裾さばきとかきれいだなぁ・・・と思ってみつつ、途中ちょっぴり睡魔が・・・。中盤華やかな頃を思い出しているらしい踊りの所で持ち直しました。どうやらしっとり系の日本舞踊は私には鑑賞無理と判断出来ました(笑)。
歌舞伎初体験な一日。堪能致しました。
次回は大阪松竹座。今回は四人でワイワイとこんなにラフに観ていいの?な鑑賞だったのですが、今度は一人。しかも1階席と座席は豪華になってます。さてどうなることやら・・・(笑)。

-2007.12.16 京都南座 -

【観劇】『夢のひと』

2007年12月17日 | STAGE
『夢のひと』
作:わかぎゑふ。
演出:マキノノゾミ。
出演:升毅。渡辺いっけい。神田沙也加。安倍麻美。

舞台は昭和10年の大阪にある女郎屋「梅川」。ここに下宿する風変わりな三越の社員久我山。まさか久賀山が女郎屋に下宿しているとは知らずに大阪赴任のため下宿を紹介してもらうためにやってきた彼の友人で軍人の牧岡。そして広島から売られてきた少女千代と「梅川」の女郎を母親にここで生まれここで育ち、そして自分も女郎として生きる明美。戦争に翻弄される時代の中の二組の男女の物語。

この作品は1年前に初演された作品だそうで、「すごくいいよ。」とお勧めいただいての観劇。すごく泣けるからハンカチは必携と言われていたので、怒涛のごとく押し寄せる悲劇のお話だとばかり思ってました。(^^; ところが・・・やっぱりこの作品も松竹新喜劇テイスト。おもろうてやがて悲しくって、でも希望があって・・・。やっぱりいいですわ。升毅さんって硬軟なんでも出来る人なんですねぇ。この作品ではすごくいい役でかっこよかった。渡辺いっけいさんは・・・「顔でかい」ってのが今回の印象でして(笑)。まぁ、この方も上手いのは当たり前な俳優さんですもんね。しかも役柄は「あぁ、いっけいさんだ」とこれまたぴったりの役柄で(笑)。なんかねぇ、この人ってドラマで犯人の役とかもやってるんですけど、優しくっていい人で真面目。っていうイメージが私の中では固定されてるんですよねぇ。キャストの名前見て一番危ぶんでいた神田沙也加さんが無茶苦茶よかったのがびっくりでした。(^^; 『ドラゴン・ヘッド』で目眩を覚えたのが嘘のようです(笑)。まぁ、あれから5年近く経ってるんだから成長してなくってどうする?って感じですが、でもすごい。いいんだ。顔がはっきりと見える前の方の席で、くっきりしっかりぱっちりの目にやられちゃいましたよ。いい目してますよぉ彼女。これからが楽しみの女優さんです。来年は東京、北海道と公演があるようですので、近場の方はぜひぜひ。あ・・・でもこれどうだろ?関西風味って気がするんだけど。関西風味がお嫌いでなければどうぞ(笑)。
夢のひと

-2007.12.14 吹田メイシアター -

『新・京極噺』

2007年12月01日 | STAGE
『新・京極噺』

講壇:神田京子
『古怪談 耳袋より』収録作品『寸分違わぬ 河童のこと』より

講壇って昔演芸番組でちらっと見ただけで、一体どういうものなのかはっきりとはわかってないんですが、いわゆる語りですよね。面白可笑しく物語を語るんですよねぇ・・・。この方の芸がいいんだか、悪いんだかわかんないんですが、なんか面白くない。しかも笑わすってのをメインに持ってきてるのはいいんだけど、講壇って語りで笑わせて落とさないといけないんじゃないんですかねぇ。それなのに小細工で落とそうとして、しかも致命的なミスをやらかしちゃったんですよ。この方。(^^;
まず物語に登場の河童の話をしている一組。で、その中の一人が河童を目撃してその絵を書いた。その絵がこれだ!と見せるところで、なんとこの方マジでその絵を楽屋に忘れてきたと言う。でも、その絵がなくても何ら差支えないんだろうと思って見てたら、最初に登場の一組と違う登場人物の話の中で、前にある封筒を客席の一人に開けてもらうという流れになりその封筒の中には一枚の河童の絵。最初の絵と全く同じ絵だ!という落ちだったようなんですよねぇ。もうびっくりです。(^^;
ま、最初の絵がちゃんとあったとしても、話が見えてこないから面白くはなかったでしょうけどね。

落語:春風亭昇太
『どすこい』収録作品『四十七人の力士』より

『どすこい』読んでるからわかるっていうことより、この方は上手いし面白かった。『どすこい』の絡め方がまた上手いんだ。今話題の朝青龍の話から流れて、相撲取りを目指す小学生の話に流れ、そしてなんとも強引な形で『四十七人の力士』へ(笑)。ただ小学生が図書の時間に京極作品読むってパターンはどうよ!?いいのかそれで!?とは思うものの『どすこい』自体がそれでいいのか!?って言うような内容なんでよしとするしかないだろう。オチは原作通りなんで『四十七人の力士』のオチだけなんで、面白いわけがない(笑)。それでもこの人の落語は楽しかった。ぜひとも普通のをじっくりと聞きたいですね。

狂言:大蔵流茂山千五郎家
京極夏彦書下ろし・新作狂言『豆腐小僧』

小学校の頃に学校で生の狂言を観たことがあるんですが、そんな記憶は遠い昔(笑)。なんか面白い感じだったなという記憶しかない。だから今回は初めて見るような感覚での鑑賞だったんですが、いやぁ、面白い。わかりやすいしオチちゃんとあるし(笑)。それと狂言って物語で笑わせるのと、言葉遊び的な笑いもあるんですね。時間的にも30分ほどと見やすい長さでよかった。もう一本くらい見たいなと思えるくらいがいいのかもしれませんね。

私は京極ファンですが、なんせ俄かなもので、なんでこういう『京極噺』なんてのが生まれたのか全然わかんない。わかんないんだけど、とりあえず「講壇」「落語」「狂言」の三つを一度に観られたからいっか・・・っていうのが全体通しての感想であります(笑)。次こういうのあったら行くか?って言うと微妙(笑)。

-2007.11.29 堺市立栂文化会館-

【観劇】文楽

2007年11月23日 | STAGE
本日の演目
第2部
1.源平布引滝
・音羽山の段
平清盛により、京都鳥羽の離宮に押し込められた後白河法皇を奪回し挙兵しようと目論む清和源氏の嫡流である多田蔵人行綱は、音羽山で盗賊に襲われた松波検校という琵琶法師を助ける。この松波検校も元は源氏の侍。法皇を奪回し平家を討つために装束を借りたいという行綱の言葉に、盗賊により深手を負った松波検校は、最後に自らが役に立つことを喜び息を引き取る。

・松波琵琶の段
松波検校に変装し離宮に入りこんだ行綱はそこで、かねてより行綱を手引きするために離宮に入り込んでいた娘小桜と出会う。しかし二人が話しているところを目にした仕丁の平次により小桜が拷問されることになる。拷問される娘の姿を目の前にして、平次から代わりも拷問するか、琵琶を弾くかと迫られた行綱は乱れる心を抑え琵琶を弾くが、最後には耐えきれず駆け寄って娘を抱きしめてしまう。

・紅葉山の段
離宮から逃げ出した行綱は、以前布引滝で、見逃してもらった平重盛と再会する。そしてここでもまた重盛は、「雌雄を決するのは後に戦場で」とまたしても行綱を見逃すのだった。

メインは「松波琵琶の段」
ここで、琵琶を弾くように言われた行綱が琵琶を弾くシーンがすごい。なんと左手の指が動くんだ!もちろんそれようの左手に交換しているんですけど、これは感動ですよ。文楽人形ってあそこまで細かい工夫がされてるんだ。そしてこの段は、三味線の見せどころの多い段らしいんですが、その解説通りに素晴らしかった。琵琶を弾くシーンでは三味線の音が琵琶の音に聞こえるように特殊な駒を付けて弾いているそうです。見ているとどうやらギターでいうブリッジの位置に何かかませていたようでした。

そして休憩をはさみ、私が絶対に一度は観たかった『曽根崎心中』
2.曽根崎心中
・生玉社前の段
恋仲である天満屋の遊女お初と平野屋の手代徳兵衛は生玉社で偶然に出会い、やつれきった徳兵衛が心中をお初に語る。叔父でもある平野屋の主人が妻の姪を2貫目の金を持参金に徳兵衛と結婚させるためにその金を徳兵衛の継母に渡してしまったことで、主人に不平を言うと4月7日までに金を返し、大阪の町を出て行けと言う。なんとか郷里に帰り継母から金を取り返したが、友人である油屋九平次が窮状を訴えられその金を貸したが返してもらえずにいるという。そこへ伊勢参りから帰ってきた九平次が通りかかり、徳兵衛は金の返済を迫るが、証文のすべてを徳兵衛に書かせ印だけをついた九平次は、印はその証文に書かれた日付以前に失くしたもので、その印がつかれているということは、徳兵衛が証文を偽造したのだと衆人の前で徳兵衛を痛めつける。

・天満屋の段
天満屋へお初を訪ねた徳兵衛は、死ぬ覚悟を伝える。お初は徳兵衛を人目を忍び部屋に引きいれ縁の下に忍ばせる。そこへ九平次がやってきて本人が聞いているとも知らずに徳兵衛の悪口を言いだす。縁の下で悔しさに耐える徳兵衛を足で制したお初は、徳兵衛の身の潔白を訴え、徳兵衛は死して身を立て、自分も一緒に死ぬと言う。そして店の者たちが寝静まったあと二人は手を取り合い店を後にする。

・天神森の段
二人手を取り天神森へとやってきたお初と徳兵衛は、帯で体をくくり合わせ最期の時を迎える。

「九平次!てめぇって奴はなんてぇ奴なんだぁ!」って・・・ハイ。私この物語全然知りませんでした(笑)。これだけ有名なこの物語あらすじすら知らないってのは珍しいなと我ながら思います。だからこそ観たかったんですけどね。
解説によりますと、なんでも歌舞伎だと極悪非道の九平次が何のお咎めもなしってのは、やはり許せないだろうということで、近松の原作にはない、九平次の家から失くしたと言っていた印がみつかり九平次の悪事がばれるというのがつけ足されているそうです。「死ななくてもいいんだよ!」という言葉はすでに遅く・・・というこちらの方が憐れみは増しますよね。
物語としては、やはり『源平布引滝』の時代物よりも『曽根崎心中』のような世話物の方が面白いですね。

今回は半額鑑賞券ではなく、普通に2等席を購入。
そしてオペラグラス持参で出かけたのですが、案外それで十分かも(笑)。
半額鑑賞券当たらなければ、今後2等席でオペラグラス使用で観るようにして、少しでも多く足を運びたいな・・・なんて思います。

-2007.11.19 国立文楽劇場-

【観劇】ラックシステム其の十参『お見合』

2007年11月18日 | STAGE
ラックシステム其の十参『お見合』
作・演出:わかぎゑふ。
出演:生田朗子。朝深大介。野田晋市。千田訓子。他。

料亭「前田」は創業百年を向える老舗で、創業以来お見合い専用の部屋として使われている「蕾の間」は毎日のようにお見合いカップルを迎えていた。ところがやっと女将業が板に付いてきた長女の花菜が妊娠。そこで遠縁の朝子が女将代行としてやってくる。それで丸く納まるはずが、主人である啓太郎には、何かそれ以外に考えがあるようだった。何組かのお見合いカップルに料亭「前田」の主家族に、従業員。「前田」創業百周年のイベントを目の前に、繰り広げられる人間模様。

パンフレットを読むとこの作品の前作があるようだ。だけど前作を観てなくっても十分に納得の出来る面白い作品でした。ラックシステムのわかぎゑふ作・演出作品っていうのは、これが初体験だったんですが、いやぁ、やはり土曜日のお昼、学校から帰ってきて松竹新喜劇を見ながらお昼ごはんを食べていた私には、見事にツボでした(笑)。おまけに年代的にもぴったんこなノリですわ。
そしてラスト近くに織り込まれた泣きの部分で、私は「おぉ!これは松竹新喜劇じゃないか!?」と確信いたしました。本もいいし、役者もいい。おまけに完全な大阪弁芝居。大阪弁じゃない芝居もあるのかな?あったとしてももちろんOK。今後チマチマとお出かけさせていただきます。しかもパンフレットを買うと終演後日替わりで選ばれるサイン担当の役者さんのサインがもらえるというなんともうれしい企画。劇場も劇団もなんともアットホームは雰囲気で、「また来るよ!」と言わずにはいられない劇団です。
この劇場もいいんですよ。世界館
来年3月の公演は『罪と、罪なき罪』。なんと劇団☆新感線の粟根まことさんが出るそうで、これは絶対に行きますよ。劇団☆新感線の中では粟根さん好きなんだ。

-2007.11.16 世界館-

【観劇】『円生と志ん生』

2007年10月29日 | STAGE
『円生と志ん生』
作:井上ひさし。演出:鵜山仁。
出演:角野卓造。辻萬長。塩田朋子。森奈みはる。他。

昭和20年。すっかり落語がしにくくなり、住みにくくなった日本を離れて、待遇がかなりいいらしいという評判の関東軍の慰問部隊に参加してはるばる満州へとやってきた円生と志ん生。噂通りの待遇に喜んだのもつかの間。ソ連軍の侵攻により日本軍はあっさり敗走し、大連の町は閉鎖され、二人は多くの日本の民間人と共に、大連に置き去りにされてしまう。そして二人がここ大連でとにかく日本に帰るんだと必死に生きた600日のお話。

いきなり歌い出したのにはびっくりした。ミュージカルとまではいかないまでも、どうやら音楽劇らしい(って帰ってきてこの作品を観ようと決めたチラシをよく読むと「音楽劇」って書いてある。しっかり読んでおけよ自分)でも、結局最後まで歌う必要があるのかどうかわからないままだった(笑)。作、井上ひさし。出演、角野卓造。辻萬長。そしてチラシの「円生と志ん生の大連地獄巡り!」「まさに、大爆笑の大悲劇!」って言葉につられてこの作品のチケット買ったんですが・・・。
ふむ・・・。笑ったけど大爆笑まではいかなかったなぁ。戦争の悲惨さや、為政者のいい加減さを訴える部分も描きこまれてはいるんだけど、なんなんだろうなぁ・・・う~ん・・・と・・・あ、長い!(笑)。なんかごった煮みたいなんですよね。決してわかりにくくはないし、かったるくもないんですが、芯がない。出演者がみんなガチでうまいもんだから、まとまりすぎて面白みが薄いって気もする。会場を見渡すとかなり客の年齢層が高い。なるほど・・・納得。決して面白くない作品じゃないし、好評による再演っていうのもわからなくもない。でも、私にはどうもはじけたところがなくって、物足りなかった。ガチすぎるんだなぁ。きっと。

-2007.10.28 兵庫県立芸術文化センター 中ホール-

【観劇】『散歩する侵略者』

2007年09月30日 | STAGE
『散歩する侵略者』
作・演出:前川知大。
出演:岩本幸子。浜田信也。盛隆二。國重直也。宇井タカシ。

日本海に面した小さな港町。地元の夏祭りが終わると、加瀬真治は性格が一変し、脳の障害と診断された。妻の鳴海は戸惑いながらも状況を受け止める。ジャーナリストの桜井はこの町が軍事的な緊張状態にあることを知り、旧友で警察官である船越浩紀を尋ね、この町で起きた惨殺事件を知る。やがて町には真治の症状によく似た奇病が流行りだすのだったが・・・。

上記あらすじは、チラシ・・・っとフライヤーって言うんでしたっけ?(^^;
からの引用です。
これ、そのまんま引用しなければあらすじ書けません。大まかに言えば、上記の通りなんですよ。でも、これだと「なんじゃ?その物語は?」って感じで、この作品の持つ緻密さが伝わってこないんですよね。たぶん、このあらすじだけだと、観に行く人少ないんじゃないかな?。
私はこれお薦めされて観に行ったのですが、席についてこのあらすじ読んだとき、一瞬頭の中固まりました(笑)。
ところが、簡単で単純なセットの上で淡々と物語が進むにつれ、いろんなセリフや流れがちょっとづつ心に引っ掛かっていく。上のあらすじに少し足すと(っていうかコレがメインかも)、地球を訪れた宇宙人が地球のことを知るために、人々と話をし、その会話の中から、いろいろな概念を盗んでいく。ところがその概念を盗まれた人は、その概念が欠如した状態になってしまう。という物語の流れなんですが、概念を盗られると人はどうなるのか?盗られる概念により、とんでもないことになる。「う~ん・・・深い」などと思いながら観ていてラスト近くになり私の心が大きく揺さぶられる。「そうか~!!」そしてラスト、彼が盗もうとした言葉は一体なんだろう?その言葉は観ているものに委ねられる。それも劇中で「とにかく行動を起こさなければ!」と訴えられるところにつながっているのか。
本当に素晴らしい作品でした。脚本の確立した面白さもあるけれど、役者たちの力量が素晴らしい。私はほとんど商業演劇と呼ばれる大きな芝居しか観に行かないのですが、こういう小さな(失礼)劇団と名前の通っている役者さんたちとの力量の差というのは、素人ながらも何本か観ているとおのずと見えてくる。で、その時払ったチケット代で、「ま、○○円だから」と、たまに観に行った小さな芝居では妙な納得をしているのですが、今回はこの金額でこれだけのモノを観られたっていうのは、すごく得した!って気分です。なんでもこれが大阪初公演だそうなんですが、今回で大阪でもファン増えたんじゃないかなぁ。

-2007.9.29 HEPホール-


【ライブ】『青春の吹奏楽 名曲セレクション 70'sヒットパレード』

2007年09月21日 | STAGE
『青春の吹奏楽 名曲セレクション 70'sヒットパレード』
指揮:飯森範親。
演奏:大阪市音楽団。
進行:秋山紀夫。

吹奏楽をやってる人にはどうやら定番と呼べる曲ばかりのようなのですが、吹奏楽は好きだけど、さすがに大昔からの定番しか知らない私には初めての曲ばかり。とは言え、もしかしたらどっかで聴いてるかもしれませんけどね。

1.音楽祭のプレリュード(A.リード)
2.吹奏楽のための民話(J.A.コーディル)
3.マスク(F.マクベス)
4.インヴィクタ序曲(J.スウェアリンジェン)
5.吹奏楽のための第1組曲 変ホ長調 作品28-1(G.ホルスト)
6.シンフォニア・ノビリッシマ(R.ジェイガー)
7.朝鮮民謡の主題による変奏曲(J.B.チャンス)
8.交響的断章(V.ネリベル)
9.アルメニア・ダンス パート1(A.リード)

今日演奏された中では、3曲目の『マスク』がすごくいい!私はこういう曲大好きだ。CD探そうかなぁ。で、4曲目の『インヴィクタ序曲』・・・『大江戸捜査網』のテーマを思い出したのは、私だけでしょうか?(笑)。似てるんだ。
7曲目の『朝鮮民謡の主題による変奏曲』もよかった。「アリラン」が主題になってるから、聞き覚えがあるっていうせいもあるかもしれませんが、打楽器がいいんですよねぇ。そういえば一番気にいった『マスク』も打楽器が大活躍でリズムがかっこよかったなぁ。
アンコールはこれこそ定番中の定番『星条旗よ永遠なれ』。このアンコールはうれしかった。そして、起こる手拍子。だけど、途中ちょっぴり静かになるところで、指揮者が手拍子を静止。そして盛り上がりに観客席に向かって指揮。そう、観客の手拍子も一緒に指揮なさってくれて、余計に楽しかったです。

生で吹奏楽を聴きながら思ってたんですが、吹奏楽って映画とマッチしてるって感じしますよね。アカデミー賞の授賞式のように後ろに大きなスクリーンがあって、映画の映像が次々と流れて行っても全然違和感ないように感じる曲ばかり。もしかしたら映画のワンシーンで使われてる曲があるかも・・・。一緒に行った映画好きの友人も同じように思ってたそうです。
ライブはやっぱりいいですよねぇ。そしてこうして幾つもの音が重なって一つのモノになる音楽っていいなぁ。

- 2007.9.21 いずみホール -


【観劇】『エレンディラ』

2007年09月15日 | STAGE
『エレンディラ』
原作:ガブリエル・ガルシア=マルケス。
脚本:坂手洋二。
演出:蜷川幸雄。
出演:中川晃教。美波。瑳川哲朗。國村隼。

舞台は南米コロンビア。インディオ・ワユ族の血を引き不思議な力を持つ祖母と暮らすエレンディラは、ある風の強い晩、火事を出してしまう。家は全焼し、家財のすべてを失くした祖母は、エレンディラに多額の損害賠償を課し、その負債返済のために彼女を娼婦として売るようになる。砂漠を廻りテントを張り、そこで次々とエレンディラに男の相手をさせる祖母。そしてエレンディラの美しさは砂漠中の評判となり、彼女のテントにはいつも長い男たちの列が出来ていた。ある日その評判を聞いた青年ウリセスもエレンディラに興味を覚え、彼女のテントを訪れる。二人は出会った途端恋に落ちる。二人の仲を阻む祖母。二人が出した結論は祖母殺し・・・。この二人の物語は伝承となり、一人の作家の手により小説となる。しかしその物語を綴った作家は、悲しい恋人たちの本当の結末を知りたくて、30年後の今、彼らの物語を辿りはじめる。

なんでもこの作品は映画化もされてるくらい有名なようで・・・。でも全然私は知らなかった。(^^;
ただ単純に、蜷川演出で國村さんが出てる。ってだけで観たくって、何の予備知識もなく出かけていったのですが・・・。
6時半開演で、劇場に着いたのは6:20頃。危ない危ない。と思いつつ劇場の前に書かれた開演と終演の時間を横目に劇場に入る。座ってすぐに開演。薄い幕の後ろを変な魚が飛んで、バスタブまで飛んで・・・妙な作品を観に来てしまったのか?という不安が頭の中を過る。そして、薄い幕が開き、出てくる出演者たち。だか、なんと異形の人が多いことか・・・。ここで私の不安は二乗に。(^^; でも、その後物語は不思議な感じではあるのですが、私にもわかりやすく進行。ところがお目当ての國村さんが登場しない。う~ん・・・と思いつつも舞台は1幕が終わり休憩へ。時計を見ると7時半すぎ。終演時間確か20時30分ってなってたと思ったんだけど、休憩かぁ~・・・とぼーっと考えながら2幕が開くのを待つ。2幕が開き、舞台を楽しみながらも、國村さんはどこに出てくるんだ?とすごく不安になってくる。そして「エレンディラ~」という中川晃教さんの叫びで幕が下りる。「え?終わり?」一瞬呆然とする私に答えるかのように「只今より15分の休憩です」のアナウンス。「あれ?」とりあえずトイレに行き、ロビーでパンフレットを購入。席に戻りパラパラとパンフレットめくっていて・・・作曲:マイケル・ナイマンというのを見つけ、「あぁ~!そういやそんな曲だ・・・」と単純に思い、「え~!石井愃一さん出てるんだぁ~」「おぉ!あのカメラマン役ってあがた森魚さんなんだ!」とまぁよくもここまで、いい加減に芝居見てきたなと我ながら呆れながら3幕目を迎える。で、やっと登場の國村さん。「かっこええ~」。もう出て歩いてきただけでかっこいいんだ。この人の醸し出す雰囲気っていうのが、私を捉えるんでしょうねぇ。もう内容どうでもいいや、國村さん観られたからって思えるくらいの登場でした(笑)。ところがこの3幕、國村さんの登場で私の集中力が高まったからなのか、本当にグググっと引き込む勢いの舞台だったのか微妙なラインで國村さんに偏ってる私にはどちらとも言えないんですが、物語は俄然面白みを増す。主演の中川晃教さんは劇シネ『SHIRO』で歌声を聞いているので、上手くて当たり前な感じがあるため、生で聴くとやっぱりいい声だなぁ~と単純に感じただけで、あまり大きな感動はなかった。ところが瑳川哲朗さん。1曲歌われるんですが、すごい!上手い!ミュージカルとかもかなりご出演なさってるんで、上手いの当たり前なんだけど、「同じく伊坂十蔵」としか認識していない私は大きく感動。もちろん歌の素晴らしさだけではなく祖母役としてこの芝居をひっぱってる感もあり、歌って良し演じて良し、すごいキャリアの人ですね。終演は22時半。どうやら2を見損なっていたようで・・・(笑)。劇場に入って4時間。上演時間は休憩抜くと約3時間半。かなり濃厚な作品です。國村さんは一体いつ出るんだ?という焦りの中で観ていたので、十分堪能出来なかった感じがあるのですが、面白い作品でした。出来ればもう全部わかっているので、もっと細かい部分を楽しむべくもう一度観たいですね。

-2007.9.14 シアターBRAVA!-

【観劇】文楽

2007年08月10日 | STAGE
今年の初め「府民のための芸能・芸術半額鑑賞会」っていうので、初めて文楽を観に行ったのですが、また応募して当たったので半額で観て参りました。

本日の演目
第2部
1、鎌倉三代記
大坂冬の陣、夏の陣を元にしたお話で、時代を鎌倉時代に置き換え、北条時政は徳川家康、佐々木高綱は真田幸村。三浦之助は木村重成(は私は知らない・・・(^^; 悲運の武将で有名なんだって・・・)。時姫は家康の孫の千姫。源頼家は豊臣秀頼。となってるそうです。
「入墨の段」と「絹川村の段」の2幕だったのですが、2幕目の「絹川村の段」はつらかった・・・(^^; なんと2時間。そして物語は面白くないことはないんですが、坦々としていて、どうも今ひとつ派手さがない。おまけに聞いていたイヤホンガイドでも、この物語はわかりにくいって言ってたんですが、わかりにくいことはないんですが、母子や、恋慕の情を募らせる女の心の機微なんていうのが絡むものだから、何度睡魔に襲われたことか・・・。

2、釣女
なんとか、「鎌倉三代記」を睡魔との闘いで乗り切ったあとの作品は、元は狂言だということで、面白く楽しい作品で、物語も単純。独身の大名が同じく未婚の太郎冠者を連れて西ノ宮恵比寿神社を訪れると夢のお告げを受け、足元に落ちていた釣り竿を垂れると、美女がかかり、同じく太郎冠者が釣り竿を垂れるとなんと今度は醜女がかかる。その場で祝言をあげ喜び踊る大名と美女のすきを狙ってなんと太郎冠者は美女を連れ去り、怒った大名と醜女が後を追いかけて終わり。

あぁ、やっぱりこういう方が私には向いてるわ(笑)。
でも、前回に観た『冥途の飛脚』は、OKだったんですけどねぇ。なんでだろう・・・。寝不足ではなかったんですけどねぇ・・・。ま、この物語が私に合わなかったってことかな。
こんなことなら、第一部の夏休み文楽特別公演の『金太郎と大ぐも退治』『瓜子姫とあまんじゃく』にしておけばよかったか・・・。
11月には『曽根崎心中』があるんですが、これは半額チケットが当たったら・・・ではなく、2等席で我慢して、オペラグラス持参で行こうかなって思ってます。

-2007.8.6 国立文楽劇場-