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今日の筆洗

2016年01月29日 | Weblog

「ふたをすると、ふたつ減るものは何?」。最近、同僚から出されたなぞなぞだ。頭をひねったが、さっぱり分からない。ただ、テレビを見ていて「ふたをすると、増えるもの」なら見つかった▼画面に映っていたのは、甘利明さん。週刊誌が報じた疑惑について記者会見をしている。曰(いわ)く、大臣室などで業者側から現金を二度受け取ったが、秘書に適切に処理するよう指示した。曰く、業者側から提供された五百万円のうち三百万円を秘書が使ってしまった▼甘利さんは「秘書に責任転嫁することは、自分の美学に反する」と大臣を辞任したが、どんな業者かもしかと分からぬのに現金を受け取るというのは、その「美学」に反しなかったのだろうか▼気になったのは、甘利さんが「(今の小選挙区制度では)いい人とだけつき合っていたら落ちてしまう。来る者拒まずでないと当選しない」とも語っていたことだ。もし「来るカネも拒まず」というのが実態ならば、制度に問題があるのではないか▼安倍政権でも何人もの大臣が政治とカネをめぐって批判にさらされてきたのに、問題の源(みなもと)にふたをしたままでは、政治不信は増すばかりだ▼冒頭のなぞなぞの答えは「八」。ふたをすると「六」になる。なぞなぞは答えを聞けば「なーんだ」となるが、政治とカネをめぐる謎は、政治家の答えを聞くと、かえってもやもやが増える。


今日の筆洗

2016年01月28日 | Weblog

 ベルリンの奇跡。そう語り継がれるサッカーの試合がある。一九三六年八月、ベルリン五輪の日本対スウェーデン戦。誰もが優勝候補のスウェーデンの勝利を疑わなかった。当時の日本は国際大会経験に乏しく、戦術、技術でも世界レベルにはなかった▼前半、日本は2対0とリードを奪われたが、開き直ったプレーで追いつき、残り時間五分でついに逆転。そのまま勝利した。大番狂わせである▼スウェーデン放送のアナウンサーはこう実況した。「説明できません、信じられません。日本人! 日本人!…」。アナウンサーにはその後「ヤパーナ(日本人)」なるあだ名がついた。『ベルリンの奇跡 日本サッカー煌(きらめ)きの一瞬』(竹之内響介・小社刊)に教わった▼この試合も終了間際の決勝ゴールだった。男子サッカーのアジア選手権。日本はイラク戦に勝利し、リオデジャネイロ五輪出場を決めた。ナイスゲームだった▼前評判はそれほど高くなかった。「谷間の世代」。不愉快な評を、選手は試合を積み重ねるごとに成長し、鮮やかに蹴り返した▼ベルリンの奇跡を起こした日本代表も本番までは苦戦が続いた。直前のドイツ二流チームとの練習試合でも連敗。そこから守備を大幅に見直し、奇跡につないだ。いつの世も勝利の裏にあるのは対応、修正。加えて前向きさであろう。八十年後のリオの奇跡を期待してしまう。


今日の筆洗

2016年01月27日 | Weblog

 民主、共和両党びいきがはっきりしている米国では、あらゆるものを「民主党っぽい」とか「共和党っぽい」と区別したがるそうだ。コーヒーにさえ「っぽい」がある。共和党支持者は地元のコーヒー店に通い、民主党支持者はスターバックス▼自動車はどうか。知り合いの米国人に聞けば、最も民主党っぽいのは燃費のよいトヨタのプリウスで、最も共和党っぽいのは米フォードの巨大で頑丈なピックアップトラックやマスタング。鵜呑(うの)みにはできぬが、そういうイメージがあるらしい▼そのフォードが年内に日本から撤退する。日本とは歴史的になじみ深く、一時期はお手本でもあった。大正期、日本初のタクシー車両はT型フォードだったし、ホンダ創業者の本田宗一郎さんがその道を目指したきっかけは幼き日に見たフォード車だったと聞く▼米映画「ブリット」でスティーブ・マックイーンの運転する深緑色のマスタングに「いつかは」と夢見た世代もいる▼TPPの追い風があっても、日本では売れぬと判断した。かつては魅力的だったフォード車のいかつさや強さという「っぽさ」が今の日本では敬遠されたか▼もっとも撤退の判断も分かる。少子高齢化。若者には車に興味を持つ余裕さえない現在の日本である。今回の件、日本がフォードをではなく、フォードが日本を見限った「っぽい」話でなければよいのだが。