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今日の筆洗

2016年01月18日 | Weblog

 作家の椎名誠さんのエッセーに「ひるめしのもんだい」という作品がある。問題は何を食べるか▼よく分かる。たくさんの選択肢から一つだけを決めるのは難しい。「ぼくの昼食時というのはいつも大変な迷いと愁いと疲労と悔恨の中で終始している」▼レストランなどで食事を終えたのに、店を出た後もショーケースのサンプルメニューを再び見つめていらっしゃる方がいるが、あれもよく分かる。迷った末に選択した品で本当によかったのか。食後にも確認しているのだろう。なるほど、選択には「迷いと愁いと疲労と悔恨」を伴う▼電力自由化の話題である。これまでは地域ごとに決まっていた電力会社と契約すればよかったのだが、四月以降は新規参入の電力会社とも契約できる。選べる。ラーメン屋さんしかなかった町にカレーライス屋さんや定食屋さんなどが続々と出店する▼選択が増えれば、サービス、価格の競争も生まれ、消費者にはありがたいのだが、どれを選べばいいのかという悩みも生じる。携帯電話とセットならお得ですとか、ガソリンの値引きもあるという惹句(じゃっく)に頭が混乱する。損をしてはならぬと焦りもする▼考え抜くしかあるまい。お薦めの電力があればよかったのだが、正直、当方もよく分からぬ。契約後もショーケースの前でため息をつくかもしれない。「選べる」という幸せな悩みだとはいえ。