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今日の筆洗

2016年01月19日 | Weblog

 【場違い】。字引で見れば、真っ先に出てくるのは「場所が違うこと。その場にふさわしくないこと」(「広辞苑」)で、「場違いの発言」が例示されている。見合いの席で国際問題でもぶってしまったか▼【場違い】の語源はJR神田駅近くの神田紺屋町にあるという。かつて、このあたりには染物屋が軒を並べ、浴衣や手ぬぐいを染めていたそうで、ここでの流行が江戸の流行を決めるといわれるほどのファッション発信地となっていた。染め物の「本場」であり、それ以外の地域で染められた物は「場違い」と呼ばれた▼「場違いな芋を売りやがって、たきつけを惜しむから生焼けでガリガリの芋だ。その芋食って腹下して、死んだやつが何人いるかわからねえんだ」は落語の「大工調べ」。ひどい焼き芋を売っていた大家の「場違い」をなじる▼当時の芋の本場といえば、埼玉の川越だろうが、豚カツの本場はどこか。いろいろ考えられるが、廃棄物処理業者でないことは間違いない。冷凍カツの不正横流し問題である▼カレーチェーンに処分を依頼された廃棄物処理業者から食品卸会社が冷凍カツを購入し、スーパーなどに流した。人が口に入れる物とは、およそ縁のない業者から仕入れて売る。これ以上の「場違い」はなかろう▼事実解明を待つが、裏に潜むのは欲にまみれた錬金術か。場違いで、お門違いな話である。