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今日の筆洗

2024年06月26日 | Weblog
スーパーに並ぶ西瓜(すいか)を見ていると昔に比べ、ずいぶんと小ぶりである。昔ながらの堂々とした大きなのもあるにはあるが、今の主役は小玉やはなからカットされているものか▼永井荷風の句が浮かぶ。<持てあます西瓜ひとつやひとり者>。お一人暮らしの荷風さん、大きな西瓜は食べきれなかったのかもしれぬ。最近の西瓜が小さくなっているのも単独世帯の増加と無縁ではあるまい。大勢の家族が集まって大きな西瓜を分け合う。もはや白黒写真の遠い日か▼<西瓜ひとつ>を持てあます時代を2024年版の高齢社会白書にあらためて思う。毎日、誰かと話をするという一人暮らしの高齢者は38・9%にとどまったそうだ▼1週間に1回未満もしくはほとんど話をしないという方は14・7%。結構、いらっしゃる。高齢の一人暮らしでは西瓜ばかりか会話を分け合うことも難しい▼話なんぞ無用、静かでけっこうという方もいらっしゃるのだろうが、一日、誰とも話さないというのも少々心配である。孤独は知らぬ間に心と体に悪い影響を及ぼす▼米国の古い映画館で見知らぬおばあさんと2人きりで映画を見るということがあった。日曜だったのでこの方も一人暮らしと想像する。上映後、この人が話しかけてきた。「ひどい映画だったわね」「ひどいですね」。話しかければ、「会話1回」なのだが、これがなかなか難しい。