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今日の筆洗

2022年12月03日 | Weblog
 一九九六年アトランタ五輪の男子サッカー。大会序盤のリーグ戦で日本に金星を献上したブラジルの監督は試合後「ドリームチームはバスケットボールの話であって、サッカーにはない」と語った。バスケより番狂わせが多いサッカーでは、スター揃(ぞろ)いのチームも時に負けるとの趣旨らしい▼サッカージャーナリスト後藤健生(たけお)さんの著書によると、点の入りやすいバスケは、得点が好機の数におおむね比例。押している側が勝つ。点が入りにくいのがサッカー。一方的に攻め続けて無得点の試合もあれば、ただ一度の好機でネットを揺らすこともある。その不条理ゆえ挑戦者は勇気を持ちうる▼アトランタでは他の試合に負け、決勝トーナメントに進めなかった日本。今回のワールドカップ(W杯)では二つ目の金星をあげ、進出を決めた▼ドイツに続きスペインも撃破。ピンチが少なかったのに敗れたコスタリカ戦を含め、不条理な競技の妙味を知った気がする。W杯の決勝トーナメントも四度目。初勝利がほしい▼後藤さんの著書によると、W杯は大会が進むにつれ実績ある国が順当に勝つ傾向がある。約一カ月の長丁場。けがの選手の代わりがいる層の厚さや、チームの調子のピークを大会後半に合わせる余裕がいるらしい▼不条理を強いつつ、長くやることで実力に報いんとするのが神の指針。真価はこれから問われるらしい。