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今日の筆洗

2022年12月19日 | Weblog

第一次世界大戦のクリスマス休戦は英軍、ドイツ軍の命令や指示ではなく、複数の戦闘地において双方の部隊の間で自然に発生したと伝わる▼ある戦闘地では一曲の歌が一時休戦を導く役割を果たしたそうだ。一九一四年のクリスマスイブの日、ドイツ兵の一人が前線の近くにやって来て「きよしこの夜」を歌った。最初はドイツ語。次に英語で。この兵の職業は歌手だったそうで英軍にもよく聞こえた。これに応えて今度は英軍の兵が「きよしこの夜」を歌い始めた。こうして撃ち合いは終わり、双方の軍は無人地帯へ退いたのだという▼クリスマス休戦はほどなく終わり、両軍の戦闘は激化するのだが、一時であれ、戦争の最中に銃を置いたのは人の起こした奇跡だろう。そんな奇跡はまず起こらないらしい。ウクライナである▼ウクライナのゼレンスキー大統領がロシアに対し、クリスマス前までの撤退を求めていたが、ロシア側は撤退はおろか、クリスマス休戦についても応じる気はないらしい▼電力インフラを攻撃し、停電による寒さを味方にウクライナの戦意を弱めたいロシアにはこの時期の休戦など念頭にないのだろう。わずかな憩いも与えてくれぬ▼ロシアから「きよしこの夜」が聞こえないのならば、せめて、国際社会がウクライナの越冬支援に一層の力を入れたい。<朝(あした)の光輝けり ほがらかに>と祈りを込めて。