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今日の筆洗

2022年12月10日 | Weblog

中東リビアの若き軍人として王制を倒す革命を一九六九年に起こし、最高指導者に上りつめたカダフィ大佐。二〇一一年の反政府デモで国は内戦状態に陥り、北大西洋条約機構(NATO)軍の空爆支援を受ける反体制派に追い詰められ、殺された▼長く反米を掲げた独裁者で米側に「狂犬」と呼ばれ、一時は核開発を進めた。軍籍を離れて国を治めるようになっても大佐を名乗った理由は諸説あり、革命の初心を忘れないためとも。国営テレビは公式な表現として「偉大なる革命の指導者にして兄たるカダフィ大佐」と呼んだ。国は「兄」が率いる一家−▼北朝鮮メディアが最近、新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)を父親の金正恩(キムジョンウン)総書記と一緒に視察する少女の姿を伝えた。名は報じていないが、第二子らしい。共同通信によると、現地メディアが使った呼称は「尊貴なお子さま」▼娘公開の意図をめぐり、後継者のお披露目なら早すぎると首をかしげる専門家もいる。核・ミサイル開発を続けて次の世代を守る意思表示との見方もある▼カダフィ氏は核開発をやめ、欧米との緊張緩和で経済発展を図ったが結局、政権は崩壊。北朝鮮のメディアは「圧力に屈服して核を放棄した結果、破滅した」と論じたという▼牙を抜かれた中東の「兄」の轍(てつ)は踏むまいと思っているらしい、極東の尊貴な子の父。隣人は憂えるばかりである。