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今日の筆洗

2022年12月07日 | Weblog

「古事記」にある八咫烏(やたがらす)とは神武天皇の東征の際に熊野で道案内をした三本の足を持つカラスのこと。三本の足は天・地・人を表していると伝わる▼日本サッカー協会がシンボルマークとして採用したのは一九三一(昭和六)年というから百年近い歴史である。日本代表メンバーの胸のエンブレムにいる八咫烏は今どんな顔をしているか。サッカーW杯カタール大会。ここまで信じられないほどの健闘を見せた日本だったが、クロアチアにPK戦の末に敗れた。惜しかった▼風が冷たいが、霞が関の文部科学省の前に行ってみよう。諸説があるが、日本サッカーの歴史はこのあたりにあった工部省工学寮(現在の東大工学部の前身の一つ)で一八七〇年代に始まったとも伝わる▼英国人技師から手ほどきを受け、ボールをうまく扱えない学生たちを想像してみる。この場所から日本サッカーは世界を目指す旅に出たのだろう▼ここまで約百五十年の旅。あのカラスめ、道案内はなるほど正確だが、慎重に前へ進むタイプらしい。今大会、強豪ドイツとスペインを破った。かつての低迷期を思えば、頬をつねりたくなる出来事だが、それでもベスト8の壁を破るのはまだ早いというのか▼テレビの前で泣いたサッカー少年たちが大勢いるだろう。カラスとの旅はやがて君たちに引き継がれる。大きなお世話だが、PKの練習もお忘れなく。