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今日の筆洗

2016年12月13日 | Weblog

<金金金の世の中で 泣くのは弱い者ばかり 涙をふいておいでなせえ 恨みを晴らす仕事人>。中村吉右衛門さんの「鬼平犯科帳」もついに幕となるほど、テレビ時代劇の衰退を聞く中で、引用をためらったが、こちらは藤田まことさん主演、中村主水の「必殺仕事人」のナレーションである▼<金金金の世の中>ゆえか。また、「金」である。漢字一文字で一年の世相を表す恒例の「今年の漢字」。今年は「金」が選ばれた▼リオ五輪での日本勢の金メダルラッシュからの連想だろうが、清水寺の森清範貫主の揮毫(きごう)した「金」を「キン」と読むよりも「カネ」とため息まじりに読んだ人の方が多いかもしれぬ▼「 金」が選ばれたのは、二〇〇〇年、一二年に続いて、三回目。「今年の漢字」で最もひんぱんに選ばれている漢字である。いずれも五輪年という事情もあろうが、人の生活を残酷なまでに左右する「金」という漢字はどの年であろうと、頭に浮かびやすいものだろう▼この漢字が選ばれやすい、もう一つの理由は政治とカネの問題のせいかもしれぬ。富山市議会議員による政務活動費の不正受給。家族でホテルに宿泊し、政治資金の公私混同を問われて東京都知事をお辞めになった人もいた▼<泣くのは弱い者ばかり>。政治とカネの問題が絶えぬ限り、その漢字は、いつの世も「今年の漢字」の常連であり続ける。