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今日の筆洗

2016年12月26日 | Weblog

 その遊戯は、かの孔子様が発明されたという驚くべき説があるそうだ。麻雀(マージャン)である▼思索と弟子との問答の間のお慰みのために考案したそうで、三元牌(さんげんぱい)の「白(はく)」は「孝」、「発(はつ)」は「信」で、「中(ちゅん)」は「仁」と孔子の教えである三つの徳にそれぞれ当たるという▼事実とすれば、おろそかにできぬ高尚なゲームのような気もしてくるが、根拠はないそうだ。一九二〇年代、米国での普及を狙い、麻雀の格式や品位を強調する宣伝作戦があったようで、孔子も引っ張り出されて、この珍説が広まったらしい。『麻雀の誕生』(大谷通順著・大修館書店)に詳しい。そういえば今も「中国語勉強会」とか「社内意見交換会」といかめしい言い訳を用意して、消えていく四人組がどこの会社にもいるか▼この高い公職にある二人は麻雀に対し、いかなる言い訳もできまい。福岡県飯塚市の斉藤守史市長と田中秀哲副市長である。長年賭け麻雀に興じ、ときには市職員が業務にいそしむ平日の日中にもポン、チーとやっていたとはあきれる▼同じ卓には、市と関係のある業者もいたと聞けば、口利きや便宜供与を疑われても仕方あるまい▼「子曰(しいわ)く、其(そ)の身正しければ、令せずして行われる。其の身正しからざれば、令すといえども従わず」。孔子の教えからすれば、市行政を率いるにはおよそふさわしくない「正しからざる」二人である。