東京大学運動会ヨット部

東大ヨット部の現役部員によるブログです。練習の様子、レース結果、部員の主張から日記まで。

追ってきた背中、目指すべき姿

2021年11月11日 18時08分32秒 | レース反省

 

お世話になっております。3年470クルーの工藤光生です。

長くなってしまいましたが、読んでいただければと思います。

 

先日行われました全日本学生ヨット選手権の結果報告をいたします。

 

470級 全6R 最終成績

全72艇

4791 13 古橋/齊藤 35(PRP)-73(UFD)-62-35-25-51  計281点

4692 14 調/工藤  58-54-59-31-47-5 計254点

4579 15 鈴木/廣瀬   41-41-24-36-16-60 計218点

大学別順位 全24校

1位 日本大学 133点

2位 早稲田大学 215点

3位 慶應義塾大学 362点

17位 横浜国立大学 746点

18位 東京大学 753点

19位 東北大学 831点

 

1日目は北西の風で、10 knot前後の安定した風で3Rが行われました。2日目も同様に北西の風でしたが、朝は10 knotほどだった風が昼にかけて16 knotほどまで上がり夕方にかけて徐々に落ちるという、蒲郡特有の傾向を示しながら3Rが行われました。3日目と4日目は、北東の風が安定せず、海上待機をしたものの、レースは行われませんでした。

 

470チームとしては、目標としていた「全日本シングル」には遠く及ばない結果となってしまいました。

1日目は、2年ぶりの全日本という舞台で艇団に揉まれケースも多発し、悔しさが残りました。しかし前日の反省を生かした2日目は、ケースをなくし成績も比較的安定しました。みんながほどほどの位置にいる。誰かが叩いていても誰かが前を走る。

3艇の実力が高い水準で揃っている、という今年の470チームの良さを少しだけ発揮出来たのではないかと思います。

 

そんなふうに日々チームが成長している実感を抱いていたからこそ、3日目4日目にレースが行われなかったことは残念だった。

自分たちの実力、そして自分たちがずっと追いかけてきた先輩たちの実力を全国にもっともっと知ってほしかった。

本当に悔しかった。APAのホーンは無情ですね。

 

 

自分は、レギュラーとして同期の調とともにレースに参加させていただきました。

1日目は、艇団に対する立ち回りに苦戦しました。

前日までの練習や過去のレース解析から、蒲郡の北西の風はブローとともに左右に10度程度フレが入り続ける海面であるという分析のもと、レースの中盤までは真ん中で展開しフレを掴んで走るという方針を立てていました。

その方針にそって、艇団の中で乱れた風と汚い波の中で我慢して走りました。

後からトラッキングを見たら、スタボレイ付近の列の中で誇張でなく30秒で2つずつ順位が落ちてました。地獄でした。

海面と風の乱れで船の滑りも悪く艇内の雰囲気もめっちゃどんよりしてたと思います。

そして、第3Rではクローズのなんでもないポートスターボで避けさせて2回転。

前を通れるかギリギリとなった時点で受ければ良かった。あれだけ風位で勝っていれば相手はすぐにしんどくなって返すはずだった。

そしたらタックしてまた外に出せば良かった。

その2タックを厭わないためにずっとタック練習をしてきたのに。

調、本当にごめん。

 

2日目は、反省を活かしフレッシュを掴んで外に伸ばして艇団の端でレースを展開するという方針を調と共有して望みました。

風も上がり自分たちが得意とする風域だったので走っているだけでも楽しかった。自分たちの実力を1日目よりも発揮できているという実感がありました。

そんな中で迎えた第6Rでは、スタート直後に右に大きく展開し、右に残っていたへダーブローに合わせてタックをしたところ、1上を4位で回航、抜かれる艇を最小限に抑え5位でフィニッシュ。運が味方しすぎたレースではありましたが、全日本という舞台で5位。

本当に気持ちよかった。

秋イン決勝でも関東470でもシングルが取れずに悔しかったけど。全日本まで溜めていたのかも。

あと、結果的には抜かれてしまいましたが、普段はランニングではミートしないような日大と並走し、ロッキングを間近で見れたことも大きな収穫でした。彼らの速さを実感すると共に自分たちのやってきたことが間違っていないことがわかって自信になりました。

 

このようなかけがえのない経験をすることができたのも、普段から多大なる支援をいただき現地にまで足を運んでくださったLBの方々、海に出れないながらも陸上でサポートをしてくれた同期や後輩、そしてともに海上でレースに臨んだ4年生のみなさんのおかげです。本当にありがとうございました。

 

陸上では下級生をまとめ上げ、ヨット部にサポートを充実させその大切さを伝えてくれた足立さん。学連で培ったレース運営の観点から海面の位置や風の傾向を教えてくれた古関さん。1年間主将として部を率いて、全日本ではエースクルーとしての知見を遺憾なく発揮してくれた長岡さん。3人のサポートは本当に頼りになりました。

 

微軽風のボートスピードと安定した成績でチームを支えてくれた智貴さん。チームリーダーとして470チームをまとめながら、強風のボートスピードと経験値でたびたび爆発的な成績を見せてくれた古橋さん。2人の実直にヨットに向き合って、4年生になってもグングン成長する姿はかっこよかったです。

 

どれだけ叩いても常にレスキューから笑顔で励ましてくれた下重さん。正確で丁寧な動作と後ろからも追い上げるコースで安定した成績をとっていた廣瀬さん。経験値からくるコースとミスのない動作で強豪校とも渡り合っていた崇さん。僕は先輩たちからクルーのいろはを教わり、絶対に抜かしてやると思って練習してきました。間近に迫ったと思った背中は遂に追い付かずじまいのように思います。同期クルーがいない僕には実質同期みたいな存在でした。切磋琢磨できて本当に楽しかったです。

 

4年生の先輩方は常に身近な存在でした。

先輩たちの優しさでここまで成長できました。

先輩たちの暖かさで笑顔が絶えませんでした。

先輩たちのひたむきさで強くなれました。

本当にお世話になりました。これからは、プレイヤーではなくコーチとして練習にきてください。

 

 

最後に、、、新470リーダーとして思うところを述べようと思います。

僕と調は、レギュラーとして4692に乗って六大戦秋イン予選決勝に出場させてもらいました。

秋イン決勝では1日目に3Rで100点以上を稼ぎましたが、先輩たちになんとか全日本に連れてきてもらいました。

その経験はかけがえのないものでした。

 

 

関東でのレースで実感した、ボートスピードに動作、ケースへの意識などの詰めの甘さ。

 

去年、470チームは6点で全日本を逃しました。「凡事徹底」の差で負けました。

この1年間、古橋さんはケーストラブルに対する意識を口を酸っぱくするほどおっしゃっていました。

正直、それでは攻めた練習ができないと思うこともありました。

でも、秋イン決勝で8Rの末13点差で全日本出場を決めた今なら痛いほどわかります。

 

 

全日本で痛感したビックフリートの戦い方。

 

今回の全日本、特に1日目はレースに出ただけのように思います。

戦うことができず、ケースが多発してしまいました。

もしかしたら、2年前に西宮で先輩方は同じやるせなさを感じたのかもしれません。

全日本で戦うチームになりたい。より「高みへ」行きたい。

 

 

今後の東大ヨット部で、全日本インカレを経験したことがあるのは僕たち2人だけです。

チーム全員が秋イン最終レースの緊張や全日本第1レースの高揚を理解し、それを見据えた練習を行うことは一筋縄ではいかないでしょう。

しかし、先輩方が与えてくれた経験を風化させずに伝えなければいけません。

 

 

経験を踏まえてチームに目標を共有し、なおかつ自分も上達する。

 

 

先輩たちの思いを背負って、後輩たちの指針となれるよう精進していきます。

今後とも応援よろしくお願いいたします。

 

新470チームリーダー 工藤光生